生理機能検査室紹介
生理機能検査室は、身体の機能に関する検査を行う医療施設です。検査技師が専用の機器を用いて、頭部、心臓、肺、腹部、甲状腺、乳房、血管(頸部・四肢動静脈)、神経などの身体機能を評価します。検査業務は、医師の指示に基づいて検査が行われます。主な検査としては、超音波検査で心臓や腹部、甲状腺、乳房、血管の検査を行い、呼吸機能検査で肺・気管の機能検査を行い、筋電図検査で神経・筋肉の検査を行います。又、人間ドック検査も行っています。これらの検査は、病気の早期発見や治療効果の評価、生活習慣の改善に役立ちます。
【有資格】
・日本超音波医学会認定超音波検査士
循環器領域:5名、消化器領域:4名、体表領域:2名、血管領域:3名
【所属学会・団体】
・日本臨床衛生検査技師会
・日本超音波医学会
・日本超音波検査学会
・日本心エコー図学会
【心電図検査】
(1)安静心電図検査
検査目的
安静時心電図検査は、心臓の電気的活動を評価するために行われる検査であり、以下のような目的があります。
- 心臓のリズムや心拍数を測定し、不整脈などの異常を検出すること。
- 冠動脈疾患や心筋症など心臓に病気がある場合に、その病気の程度や進行状況を評価すること。
- 健康診断などでの定期的な検査として、早期発見・早期治療につながる心臓の異常を発見すること。
- 安静時心電図検査は、非侵襲的な検査であり心臓の健康状態を評価するための初期のスクリーニング検査として広く用いられています。
検査内容
両手足首と胸部に電極を付けます。電極は、心臓からの電気信号を読み取るために使用されます。リラックスした状態で検査を行い、心電図計により心臓の電気信号が記録されます。検査時間は通常、数分程度で患者様には検査中、動かないように指示されます。
心電図波形の特徴や心拍数、不整脈などが評価され、異常がある場合は医師によって適切な対応が行われます。
(2)マスター運動負荷試験
検査目的
マスター運動負荷試験は、安静時心電図検査では見逃される心臓疾患を発見するための検査であり、循環器系の状態を正確に評価するために重要な検査となっています。
負荷試験により、心拍数、心電図波形を評価します。冠動脈疾患や不整脈などの心臓疾患を発見することができます。患者が負荷による疲労やストレスを感じた場合には、負荷を中止することができます。
検査内容
- 安静時の心電図を測定します。
- 踏み台昇降運動を開始します。負荷レベルは、患者様の年齢・体重・性別によって決まります。
- 負荷中、患者様の症状や体調の変化を監視します。
- 負荷が終了したら踏み台昇降運動を停止し、患者様の状態を観察しながら心電図の測定を行い、回復期の状態を評価します。
- 検査結果は、心電図波形や心拍数、症状の有無などに基づいて評価されます。検査時間は10分程度。
(3)自律神経機能検査
検査目的
自律神経機能検査は、交感神経と副交感神経のバランスを評価し、自律神経系の異常を検出することです。自律神経は、心拍数や血圧、消化器官や呼吸器官の運動など、体内の自動的な調節機能を担っています。この自律神経系が正常に機能していることは、健康維持に不可欠です。自律神経機能検査は、自律神経系の異常が症状や疾患の原因になっている場合、早期発見や適切な治療のために重要な役割を果たします。また、生活習慣病やストレスによる自律神経の乱れを知るためにも行われます。
検査内容
心拍の変動性を評価し、交感神経と副交感神経のバランスを評価します。心拍変動は、自立神経系の活動性やストレスレベルを反映します。
【超音波検査】
超音波検査は、医療現場で広く使用され、非侵襲的な検査です。以下に、超音波検査の主な目的をいくつか紹介します。
- 心臓の検査は、構造や機能を詳しく調べる検査です。心臓の弁の動きや心筋の厚みなどを評価することで、心臓の状態を確認することができます。
- 腹部の検査は、腹部の状態を詳しく調べる検査です。腎臓、肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、消化器などの内部の構造や病気を検出することができます。
- 血管の検査は、頸部血管や四肢動静脈の内部の状態を詳しく調べる検査です。動脈や静脈の血流速度や血管の狭窄状態を評価することで、血管疾患を検出することができます。
- 体表の検査は、甲状腺や乳腺の病気を検出します。また、皮膚や筋肉などの体表部分の状態を詳しく調べる検査です。皮膚や筋肉の状態を評価することで疾患や外傷の程度を確認することができます。各検査時間は、20分~30分程度です。
(1)心臓エコー検査
検査内容
心臓の構造や機能を詳しく調べる検査です。胸骨の上部から超音波探触子を当て、心臓を撮影し、心臓の弁の動きや心筋の厚み、拡張や収縮の動きを評価します。心臓エコーは、心臓病や弁膜症、心筋梗塞などの診断に有用です。絶食の必要はありません。
(2)腹部エコー検査
検査内容
腹部の内部の状態を詳しく調べる検査です。腹部に超音波探触子を当て、腎臓、肝臓、胆嚢、膵臓、脾臓、消化器などの内部の構造や病気を検出することができます。腹部エコーは、肝臓病、胆石症、膵炎、腎臓病、消化管疾患などの診断に有用です。
検査の前は、6時間以上絶食となります(検査が午前中の時は、朝食を抜いて下さい)。
(3)頸動脈エコー検査
検査内容
頸部の血管内部の状態を詳しく調べる検査です。超音波探触子を当て、頸動脈の内部の血流速度や血管の狭窄状態を評価することができます。頸動脈エコーは、脳卒中、頸動脈解離などの診断に有用です。絶食の必要はありません。
(4)四肢血管エコー(上・下肢血管)検査
検査内容
四肢の血管内部の状態を詳しく調べる検査です。超音波探触子を当て、動脈や静脈の内部の血流速度や血管の狭窄状態を評価することができます。四肢血管エコーは、血管狭窄症、血栓症、動脈硬化症などの診断に有用です。絶食の必要はありません。
(5)体表エコー検査
検査内容
乳腺や甲状腺、その他の体表部位の検査が含まれます。 乳腺エコーは、乳房内部の構造を評価するための検査です。乳腺の組織や腫瘤の有無、大きさ、位置などを評価します。また、乳癌の早期発見に有効であり、乳房の定期的な検査に用いられます。
甲状腺エコーは、甲状腺の形状や大きさ、組織の特性を評価するための検査です。甲状腺には、結節や腫瘤、炎症、嚢胞などが生じることがあり、甲状腺エコーでこれらの異常を検出することができます。
その他にも多くの部位の検査が含まれます。例えば、皮膚の損傷や腫瘤、嚢胞の有無、リンパ節の腫れや炎症などを評価できます。これらの検査は、診断や治療のための情報を提供する上で重要な役割を果たします。絶食の必要はありません。
【トレッドミル検査】
検査目的
- 虚血性心疾患(狭心症など)の診断及び重症度評価治療効果の判定
- 虚血性心疾患のスクリーニング検査
- 心臓リハビリテーションや生活指導、不整脈の評価など
検査内容
- 手前に動いてくるベルトの上を歩いてもらい徐々にスピードと傾斜を加えて心臓に負担をかけます。
- 心電図と血圧モニターの監視下において医師と技師が状態を見ながら検査の説明を行いますので安心して検査に望めます。
- 目標心拍数を設定して歩いて頂きますが辛くなればいつでも検査は中止できます。
検査当日は食事を摂られて下さい。
検査時間は30~40分程度です。
【ホルター心電図検査】
検査目的
- 自覚症状と心電図との対応
- 不整脈の診断
- 虚血発作(狭心症など)の診断
- 不整脈、狭心症などの治療効果判定
- 心臓ペ-スメーカー作動確認など
検査内容
携帯用心電図により睡眠中も含めて24時間にわたり心電図をメモリに記録します。
機械の装着中はお風呂やシャワーの使用はできません。
それ以外はいつもと同じ生活を続けて下さい。
機械の装着と説明で約15分程度です。
【24時間自動血圧計検査】
検査目的
- 高血圧の程度の判定
- 高血圧の治療効果
- 白衣高血圧の診断
- 高血圧や低血圧と自覚症状の関係など
検査内容
血圧測定のためのカフを腕に巻き肩から小型の記録装置を携帯します。
30分ごとに自動で血圧測定を行い24時間メモリに記録します。
機械の装着中はお風呂やシャワーの使用はできません。
それ以外はいつもと同じ生活を続けて下さい。
機械の装着と説明で約15分程度です。
【血圧脈液検査】
検査目的
動脈硬化の早期指標となる簡便なスクリーニング検査です。
- 閉塞性動脈硬化症(ASO)
- 糖尿病
- 高血圧
- 動脈硬化症
- 冠動脈疾患
- 脳動脈疾患など
検査内容
両手両足にカフを巻き同時に血圧を測定しPWV(脈波伝播速度:心臓から押し出された血液により生じた拍動の伝播速度)とABI(足関節上腕血圧比)の2項目を測定します。
検査時間は3分程度です。
【呼吸機能検査】
検査目的
呼吸に関する機能が障害されたときその程度と内容を検査します。
手術前の呼吸状態を評価し麻酔中に起こる可能性のあるトラブルや術後の合併症などの危険を避けるための検査としても行われています。
検査内容
当院では肺気量分画測定、フローボリュームカーブ、機能的残気量測定、肺拡散能検査、基礎代謝率測定(予約制)などの検査を行っています。
検査の実施には患者様の協力が不可欠であり正確に呼吸機能を調べるために測定時には担当技師がかけ声をかけて誘導させていただきます。
装置内を清潔に保つためスパイログラフィー用フィルターを用いるなど安全性に努めています。
【脳波検査】
検査目的
脳波検査は、脳の機能を評価するために行われ、脳の神経細胞が発する微弱な電気信号を記録することによって得られます。この検査は、脳の活動や病態を調べるために用いられます。
脳波検査は、以下のような目的で行われます。
- 脳波は、てんかん発作の原因や発作の種類を特定するために使用されます。
- 脳波は、脳疾患の診断にも役立ちます。例えば、脳腫瘍や脳炎のような疾患において、異常な脳波が観察されることがあります。
- 脳波は、脳死の診断にも用いられます。脳波がフラットライン状態を示す場合、患者は脳死と診断されることがあります。
検査内容
- 患者の頭皮に電極を取り付けます。これらの電極は、脳の電気活動を測定するために使用されます。
- 電極が取り付けられた後、患者様は仰臥位で脳波の記録を開始します。通常、検査は20分程度です。検査中、患者は目を閉じてリラックスするよう指示されます。
- 脳波の記録は、コンピューターで処理され脳の電気活動がどのように変化しているかを分析します。この分析された脳波を医師が診断します。
【筋電図検査】
検査の目的
神経の障害や断裂、筋肉のけいれんや萎縮などを診断します。
検査内容
- 当院では針筋電図、誘発筋電図、体性感覚誘発電位、視覚誘発電位、聴性誘発電位などの検査を行っています。
- 針筋電図検査は筋肉に直接針を刺したり、誘発筋電図や体性感覚誘発電位は神経を電気で刺激するため多少の苦痛を伴う検査です。視覚誘発電位は視覚刺激、聴性誘発電位は音刺激を行います。
- 筋肉の興奮状態、神経の伝導速度や誘発された波形を確認し病態を把握し診断します。
- 聴性誘発電位は脳死判定の診断にも用いられます。
検査の実施には患者様の協力が不可欠であり安心して行われるよう努めます。
心臓ペースメーカーなどを使用している場合は検査前に申し出て下さい。
針筋電図に使用される針は完全滅菌されており1回限りの使い捨てですのでご安心下さい。
【重心動揺計検査】
検査の目的
めまいや平衡障害など体の揺れを客観的に分析します。
揺れの大きさや方向、スピード、規則性などから病体の障害部位(内耳、脳、その他)の推定及び重症度を検査します。
検査内容
床においた平らな台に脚を揃えて立ち1分間ずつ開眼時と閉眼時の記録します。
検査時間は10分程度です。
【人間ドック関連検査】
(1)聴力検査
検査目的
耳の聴力障害を診断するために行われます。
検査内容
患者様は、両耳にヘッドホンを装着し、異なる周波数と音量の音を聴きます。聴力検査には、純音聴力検査、音声聴力検査、言語聴力検査などがあり、当院では、純音聴力検査を使用します。
(2)眼底検査
検査目的
目の疾患(白内障や網膜剥離、眼底出血、視神経乳頭異常、その他)の診断に行われます。
検査内容
患者様のあごをあご受けに乗せて、あご受けを上下させ患者様の眼の位置に合せます。内部固視標を設定し、撮影したい部位に患者様の眼を誘導します。片眼ずつ撮影致します。
3)眼圧検査
検査内容
眼球の内部の圧力を測定します。眼圧が高くなると緑内障などの病気になる可能性があります。当院の眼圧検査は、非接触型の方法(空気圧力法)です。
以上が、聴力検査、眼底検査、眼圧検査の目的と内容です。これらの検査は、早期発見や適切な治療につながるため、健康管理の一環として定期的に受けることが推奨されます。