編集後記

 この一年の世相を反映し、話題になった言葉、流行語大賞に、トリノ五輪金メダリスト荒川静香選手の「イナバウアー」が選ばれました。他には、健康志向を反映する「メタボリックシンドローム」、爽やかさの象徴である「ハンカチ王子」などが選ばれています。けれども新聞紙面上で多く見られたのは、偽装、裏金、談合、いじめ、虐待、自殺だったように思われます。先行きの見えない暗い現実があるからこそ優雅な「イナバウアー」に惹かれ、癒されたのだと思います。ご両親が荒川選手に贈った過去・現在・未来を表わす三粒のダイヤのイヤリングも人気があり、よく売れたそうです。人々のあやかりたい心情がよくわかります。
 誌上ギャラリーは有馬先生の「高千穂の御神楽」です。ユーモラスな感じです。
 挨拶は前会長林茂文先生の「退任のご挨拶」です。在任中の思い出、医師会でのご苦労された歴史が語られています。先生の真摯な思いが伝わってきます。本当に有難うございました。
 論説と話題は鹿児島市医師会会員受賞祝賀会です。14名の先生方のご功績ならびに尽力に対して栄えある表彰がなされました。副会長市来健生先生の年末感想「そう言えば色々ありました」では、一月の役員選挙に始まり、代議員会、総会、九州首市医師会連絡協議会など副会長、会長職務代理としてご多忙で、活躍されたことがよくわかります。耳鼻咽喉科医会会長朝隈先生は「年末感想」で市町村合併により市内の開業医がかなり遠方の学校検診を担当することになり、負担が増大したと述べられています。4月に鴨池にオープンした「夜間急病センター」についても報告され、患者数が1.6倍増え、大きな役割を果たしているが、問題点もあるとの事です。臨床検査センター、医師会病院、看護専門学校からも一年間の活動報告がなされています。
 医療トピックスはくすり一口メモで、薬剤の経管投与(簡易懸濁法)についての紹介です。
 学術は内科医会例会講演会より愛媛大学内科野元教授の「日常よくみるふるえの診断と治療」です。ふるえにもいろいろあり、診断と適切な治療薬の選択と用量の設定が重要なようです。
 随筆・その他は朝倉先生のハーヴェー・クッシングの物語[11]です。ボルチモアの外科クリニック神経外科部門で働くこととなり業績をあげ、カサリン・クロウエルと結婚します。息子も生まれますが、二ヵ月後に母親との別れがありました。
 切手が語る医学は、ハンガリーの医学の先駆者たちと、ヴエトナムの英雄伝説の切手です。古庄先生いつも珍しい切手を紹介していただきありがとうございます。
 脇丸先生の実録・なんとなく「最初」のまたは「最後」の端にで、ご自身の戦前戦後の大変な体験を淡々と語っておられます。
 各種報告は、理事会、委員会、支部長会のほか、市民健康まつり、全国医師会勤務医部会連絡協議会、幼稚園・保育園との懇談会、全国学校保健・学校医大会、四医師会病院連絡懇談会、四医師会検査センター運営協議会の報告もされています。
 この号が会員の皆様のお手元に届く頃には、新会長も決定していることと思います。今年も残りわずかとなりました。来るべき新年が会員の先生方にとってより飛躍の年になりますようにとお祈り申し上げます。
(編集委員 下川 優子)


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