[緑陰随筆特集]
鹿児島市CKD予防ネットワーク:管理栄養士派遣制度と24時間蓄尿
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鹿児島大学衛生学・健康増進医学
鹿児島市CKD予防ネットワークプロジェクト会議
堀内 正久
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夏,真っ盛りの暑い日々が続いていることかと思います。紙面を借りて,平成26年から開始された「鹿児島市CKD予防ネットワークプロジェクト会議」について,市医師会員の皆様にご報告を申し上げます。特に,本ネットワークの登録医でない先生方におかれましても,本事業について知っていただき,大所高所から,ご指導をいただければと思っています。
本ネットワークに対するご要望(アンケートを実施)として,管理栄養士派遣制度の設立がありました。ご要望に応える形で,平成29年4月から,管理栄養士派遣制度を開始しております。外来栄養食事指導料は,ご存知のように,平成28年度から,一律130点から,初回260点,2回目以降200点と,大幅に引き上げられています。そのような追い風のある中,外来でのCKDを中心とした栄養指導の実施にあたって,栄養士会との協議の元,CKD予防ネットワークとして,管理栄養士派遣制度を開始しました。また,これを契機に,「24時間蓄尿」法の利用を推進できればと考えています。24時間蓄尿に関しては,入院患者においては,感染の機会が増えることから導入が消極的になる一方,外来においては,ガイドライン(2012 CKD診療ガイドライン,P52)に記載されるよう,積極的な利用が求められています。折角の機会ということもあり,派遣制度に登録された13人の栄養士さんと,保健所や大学の関係者で,24時間蓄尿を経験してみました。栄養士さんの中には,1日食塩摂取量が2.5gという方がおられました。ご本人に聞いてみると,調味料としての食塩は一切使用していないとのことでした。また,保健所や大学の関係者1人が,食塩摂取量が20g近い値を示しました。ご本人は,味噌汁好きで,毎食2杯の味噌汁を飲む習慣があったとのことでした。早速栄養指導を受けられて,食塩摂取量が10g以下になりました。現在行われている外来栄養指導は,食品摂取質問票(FFQ)が中心です。クレアチニン補正の随時尿での食塩摂取量の推定も行われています。一方,手間はかかりますが,予防医学の観点からは,精度の高い数値(食塩,カリウム,リン,たんぱく質摂取量)が得られる24時間蓄尿法は,栄養評価の基本になると考えています。
本ネットワークでは,医師会員の先生方のご要望に応える形で,管理栄養士派遣制度を構築し,より有用な制度となるように柔軟に対応ができればと考えています。登録医の先生をはじめ,医師会員の先生方の積極的なご利用をお願いする次第です。
連絡先:鹿児島市医師会 地域医療課
(電話:226-3737)


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