今年も知人や患者の方々から受験や異動などに関する悲喜こもごもの報告があり,我が事のように励ましたり喜んだりの春でした。寒さ厳しい季節が終わり一面の桜に酔いたくなる今回の「誌上ギャラリー」へは大山先生から川辺町の水辺の夕景が届きました。日頃撮影ドライブに付き合わされ,いえ,同行させてもらう甲斐もあったと身内贔屓をご容赦ください。
「論説と話題」では日本医師会医療情報システム協議会についてご参加の先生方から報告をいただきました。医療分野におけるIT推進政策の指針「日医IT化宣言2016」や各地のIT利用事例報告,今後の医療専用ネットワーク構想等の内容です。ご一読をお勧めいたします。
「医療トピックス」は精子を通じて胎児に悪影響を与える薬剤の解説です。男性への投薬から妊娠を考える珍しい視点で勉強になりました。
「学術」ではまず医療センターの薗田先生に非在留外国人の緊急入院受入れの現状を提示していただきました。言語や文化,保険等の背景が異なる患者の受入れにはまだ医療提供側・行政側とも課題が多々ありそうです。今村病院分院からの学術報告はサンゴ状腎結石に対し1人の術者で行える内視鏡併用手術手技の有用性についてです。恒例となったコロッケ会症例検討は一見元気そうな外見と症状の乖離に戸惑う男子中学生のケースです。
「医師会病院だより」,今回は外科部長の石崎先生から同科の現状報告と引き続いての患者紹介依頼をいただいています。
「随筆・その他」は古庄先生の貴重な長期連載「切手が語る医学」バングラデシュ編に続き,小田原先生には東京都立広尾病院事件経過2回目と医療法務研究協会設立の話題を通じて医療事故調査制度を論じていただきました。医療と法律の接点についてはいよいよ知らずに済ませられない時代となってきたようです。他にも下川先生の観察眼と珍しい花の写真が楽しい「幸福の木の花観察日記」からは甘い香りと蜜の味が感じられるようですし,武元先生からのかくれ貧血シリーズともいえる起立性低血圧とビタミンB12欠乏の関連を示す症例報告,テニス大好き田平先生の長編リレー随筆「フェデラー対ナダルの決勝戦を観て思ったこと」,と硬軟取り混ぜた内容で大変読み応えがあります。
「区・支部だより」には中央支部新年会,西区・北区の区会模様をお届けいただきました。各所盛会とのこと,何よりですね。
「各種部会だより」は第3回鹿児島市産婦人科・泌尿器科連携研究会における不妊症関連講演の要旨,第4回鹿児島市在宅医会事例検討会および平成28年度鹿児島市医師会学校医会総会・講演会の開催報告です。
「各種報告」には書面決議を含む理事会・諸委員会・平成28年度第2回鹿児島市特別支援連携協議会・検査センター主催学術講演会・母子保健講習会・介護認定審査会合議体長懇談会・支部長会の概要をいただきました。
「附属施設だより」は医師会病院,検査センターの実績報告です。引き続きご紹介ご利用のほどよろしくお願いいたします。その他,当会の動きについても報告しておりますのでご覧ください。
「鹿市医郷壇」兼題は「顔(つら)」です。鹿児島弁を自在に操られる常連先生方の軽妙かつタイムリーな郷句と選者の樋口先生の評を楽しみに毎号拝見しています。
お手元に本誌が届く頃には当地でも桜の見頃を迎えていると思われます。9月を年度始まりとする国の多いなか,一年の会計や学校運営をこの花が美しい4月で区切るのは何とも我が国に似つかわしい風情が感じられるとお思いになりませんか。平成の御代も何年まで続くかは分かりませんが生まれたての29年度,会員の皆様とご家族に益々のご発展がありますように。
(編集委員 關根さおり)

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