編集後記


 新年を迎えて早1カ月。暦の上では立春ですがまだまだ寒さが続きます。
 節分には歳徳神(としとくじん)のおられる今年の恵方,北北西を向いて恵方巻きを頬張った方もいらしたことと思います。福を巻き込み,また福を切らない意味から,巻き寿司を包丁も入れず話もせずに一気に食べる作法ですが,もともとは大阪の花柳界の風習を,海苔問屋協会組合などが節分のイベントで行い広めたことで普及したようです。
 誌上ギャラリーは島原湾に面した御輿来(おこしき)海岸の風景です。荒涼とした海岸を飛ぶ一羽のトビが印象的です。
 論説と話題では「第53回九州首市医師会連絡協議会」が報告されました。地域包括ケアシステム推進における在宅医療と,熊本地震を顧みた災害時の連携の2つをテーマに掲げ,日本医師会横倉会長の医療政策についての特別公演や,九州旅客鉄道唐池会長の「ななつ星」に関する文化講演も行われました。
 医療トピックスでは自動車の運転に対して制限のない,第二世代抗ヒスタミン薬の4種類が紹介されました。また適応疾患が同様の抗アレルギー薬にも,自動車運転の制限に関する注意喚起文はないとのことです。
 学術は,鹿児島市外科医会秋季例会症例検討会での「興味ある症例」と,鹿児島市内科医会例会講演会での消化管疾患におけるレーザー内視鏡についてのご講演が報告されました。またデュピュイトラン拘縮に対する新しい注射療法も紹介されました。従来,手術が治療の主流であったデュピュイトラン拘縮ですが,2015年よりコラゲナーゼ注射治療が保険適応になりました。
 コロッケ会症例検討会では毎号興味ある症例が提示されます。私も何とか診断に挑戦しますが,解答を見てはいつも脱帽しています。
 医師会病院だよりでは,2年前に開設された地域包括ケア病棟が紹介されました。医師とコメディカルスタッフとが協力して患者の自立を助け,また地域医療連携室が在宅医療との架け橋として活躍されています。
 随筆その他では,古庄先生からは珍しいインドの医学切手をご紹介頂き,武元先生からは「かくれ貧血」であるビタミンB12欠乏症の診断ポイントを解説していただきました。
 リレー随筆は中ア先生のミュージカルの勧めです。先生の豊富なご経験から,様々な趣向を凝らした舞台の様子などミュージカルの魅力が熱く語られています。私も機会があれば是非一度は行ってみたい気持ちになりました。
 本号では過去1年間の誌上ギャラリー作品がまとめて掲載されています。毎号すばらしい作品をご提供下さる鹿児島ドクターズフォトクラブの先生がたには感謝申し上げます。
 各種部会だよりでは鹿児島市刀圭会秋季例会や,12月に沖縄で開催された「日本医師会女性医師支援センター事業九州ブロック別会議」などの様子が報告され,日本医師会女性医師バンクの運用状況や,各学会と共催される医学生・研修医のサポート体制,また九州・沖縄各県における女性医師支援の取り組みの現状などが紹介されました。
 各種報告では「第33回市民健康まつり」が鹿児島アリーナで盛大に行われた様子や,札幌で開催された「第47回全国学校保健・学校医大会」,大阪で行われた「全国医師会勤務医部会連絡協議会」などについて報告されました。
 鹿市医郷壇では毎号,会員先生がたのご投稿をお待ちしております。
 ついに悲願の日本人横綱が19年ぶりに誕生しました。一方,米国では異様なムードの中トランプ大統領が就任し,これまでとは全く異なる理念の新政権が始動しました。世界はこれからどこに向かい,そして将来どう検証されるのでしょう。巷の不安が杞憂に終わることを願います。

                             (編集委員 森岡 康祐



                                              

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