=== 新春随筆 ===
病棟臨床検査技師の導入と予測効果について |
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新春のお慶び申し上げます。
鹿児島市医師会の先生方におかれましては,ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。また,日頃から鹿児島県臨床検査技師会の運営に際しまして,心温かいご理解とご支援を賜り心から感謝申し上げます。
さて,日本臨床衛生検査技師会はチーム医療の一環として病棟臨床検査技師導入の事業に力を注いでおります。現在,臨床検査技師が取り組んでいるチーム医療は,感染制御チーム(ICT),栄養サポートチーム(NST),糖尿病療養指導等であり,最近では,検査結果説明・相談の依頼が多くたいへん好評価を得ております。
今回は,医師不足,看護師不足が加速するなか,臨床検査技師として臨床や患者の様々なニーズに応える試みとして,臨床現場「病棟」で求められている医療業務!それに対応するための病棟臨床検査技師の導入と予測効果について説明いたします。
病棟臨床検査技師の業務内容は,翌日の採血管準備,早朝採血,主治医への採血結果説明,血糖や尿糖などのPOCT(Point Of Care Testing)検査,心電図検査,血液ガス,微生物等の鼻腔検体採取,NST,ICT,糖尿病療養指導,患者の送迎,検査に関する物品管理,中央検査室との連携,各種の問い合わせ電話等の対応,夜勤看護師への状況報告,緊急時の代理検査オーダー,POCTの機器管理などがあげられます。その他として事務的業務補助,面会者の対応など業務範囲も広く,今までに経験したことのない多様な業務に困惑することもあり得ると思われます。しかしそのような時こそ冷静に判断する能力を身に着ける必要があると思われます。
次にその効果として,採血においては空腹時がいいのか,食後採血なのか(早朝採血は患者にも負担〜眠たい)あるいは血糖負荷試験のタイミングなどを病棟臨床検査技師が考慮することによって,患者の負担軽減を図ることができる。また,看護スタッフにおいては採血にとられていた時間を他の看護業務に費やすことができ,特殊容器など間違えやすい検査の準備と対応ができ,検体採取ミスの減少に繋がるなど期待されます。なによりコミュニケーション向上の手掛かりとなり病棟と検査室間の信用度が高まると確信します。
この激変する医療の中で病棟臨床検査技師業務は確実に前進しております。その背景には病棟の多忙な業務を少しでも軽減するために医療従事者としてのチーム医療に対する思いがあります。特に救急患者搬入時には中央検査室で検体を受け取り検査するだけでなく,直接,救急室の現場に出向き医師や看護師とともに,一緒に患者を観て検体採取そして,検査実施に繋げることが大切であります。そして,人の気持ちをくむ医療を目標としてチーム医療向上の為に,「気は高く,心は広く,頭は低く」この姿勢で臨床検査技師として医療業務に挑みたいと思います。
最後に,鹿児島市医師会の先生方のチーム医療一員として,しっかりと臨床検査技師の仕事をこなすことができるような技師会活動を行う所存でありますので,ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

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