編集後記


 秋の味覚といえば,松茸や栗・秋刀魚などいろいろ思い浮かびますが,鹿児島では“秋太郎”でしょうか。ご存じの先生方も多いでしょうが,これは一般的にバショウカジキとよばれる魚のことで,少しあっさりしたマグロという感じ。毎年9月下旬くらいから市場に出回り始めます。今年はなかなかお目にかかれないなと感じていたら,ここ数年なかった台風の連発のせいで魚が散ってしまい,例年より漁獲高がかなり減ってしまったとのこと。刺身に日本酒の組み合わせをこよなく愛する私にとっては少し寂しい秋となりました。
 今月の「誌上ギャラリー」は宇根先生よりお寄せいただきました“五家荘のつり橋”です。橋そのものも趣深いですが,背景の青い空に映える紅葉の鮮烈さが強く秋の季節を感じさせる一枚ですね。
「論説と話題」では8月21日に大分市で開催されました第64回九州学校保健学会の模様を,村上先生・川畑先生にご報告いただきました。
「医療トピックス」では中島先生から最近よく耳にするバイオシミラーについて製品名を挙げてご紹介・ご説明いただきました。
「学術」では8月17日に行われた鹿児島市内科医会症例検討会に提示された症例の要旨を中村先生にご報告いただくとともに,今給黎総合病院消化器内科の吉永先生から播種性糞線虫症の一例と,鹿児島生協病院総合内科の山口先生から髄膜炎・感染性心内膜炎を合併したMSSA菌血症症例をご紹介いただきました。貴重な症例のご紹介ありがとうございました。第4回目となるコロッケ会の誌上症例検討Q&A,内容はお読みになっていただくとして,毎回いい診療トレーニングになります。今後も出題よろしくお願いいたします。
「随筆・その他」では4人の先生からご寄稿いただきました。古庄先生からは【20世紀の医学の進歩:The human genome project】と題して,先日発表されて話題になっているノーベル賞受賞者関連の記念切手をご紹介いただきました。小田原先生からは“医師法第21条(異状死体等の届出義務)判定基準は外表異状である”と題して実際の判例を参考に,当時の判決の問題点を踏まえたうえでの医師法第21条の解釈について詳細に解説していただきました。武元先生からは“TVで見た症状と「同じ」です”と題して,貧血の2症例をご紹介いただきました。リレー随筆は山田先生から“小さな彼氏”と題して,母親から見た息子さんの成長の様子を微笑ましく綴っていただきました。
「各種報告」では,鹿児島県地域医療構想の方針決定について,熊谷・米盛両理事よりその経緯についてご報告いただきました。
 「鹿市医郷壇」11号の題吟は「耳(みん)」でした。毎回感心して拝見しております。楽しい作品のご投稿ありがとうございました。
 招致が決まった時の浮かれ気分はどこへやら,エンブレムのデザインや,メイン会場の新国立競技場の設計やり直しなど最初からケチがついてばかりの東京五輪ですが,ここにきて会場整備・建設費の試算の見込み違いによる予算の大幅見直しや,ボート競技にいたっては会場の場所決定すら迷走する状態で,“本当に大丈夫か?”と心配になります。小池知事は豊洲の問題も抱え,着任早々大変でしょうが,五輪開催に関しては時間的猶予もありません。日本全体が心待ちにしている一大イベントであり,一刻も早く諸問題に決着をつけ,円滑な準備・運営の舵取りをお願いしたいものです。

                             (編集委員 寺口 博幸


                                              

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