随筆・その他

切手が語る医学(192)

【 20世紀の医学の進歩:The human genome project 】


          南薩医師会
(加世田病院) 古庄 弘典


ノーベル賞受賞者のプロフィール
モーリス・ウィルキンス(Maurice Frederick Wilkins):イギリスの生物物理学者
  1962年ノーベル生理学・医学賞;核酸の分子構造および生体における情報伝達に対するその意義の発見
  ニュージーランド生まれ。6歳の時イギリスに引っ越す。ケンブリッジ大学で物理学専攻。
  戦後,ロンドンでX線回析によるDNAの構造研究を始めた。クリックとワトソンはウィルキンスらのX線回析の写真を参考にして,DNAの二重螺旋構造を推定し,1962年にノーベル生理学・医学賞を受賞することになった。

フレデリック・サンガー(Frederick Sanger):イギリスの生化学者
  1958年ノーベル化学賞;インスリンの構造研究
  1980年ノーベル化学賞;核酸の塩基配列の決定,2度受賞した最初の人物
  イギリス・グロスターシャー州出身。ペプチドの末端アミノ基にジニトロフェニル基を結合させると黄色く着色することを利用して,インスリンの一次構造の特定に初めて成功した。
  1980年には,ジデオキシヌクレオチドを用いたDNAの塩基配列の決定法の発明により2回目のノーベル化学賞を受賞した。

ウォルター・ギルバート(Walter Gilbert):アメリカ合衆国の物理学者・生化学者
  1980年ノーベル化学賞;核酸の塩基配列の決定
  マサチューセッツ州ボストン生まれ。
  フレデリック・サンガーと核酸のヌクレオチド配列を決定する方法を考案した。

キャリー・マリス(Kary Banks Mullis):アメリカ合衆国の生化学者
  1993年ノーベル化学賞;DNA化学での手法開発への貢献(PCR法の発明)
  ノースカロライナ州レノア出身。
  PCR法によるDNAの増幅方法を考案した。後に好熱菌のDNAポリメラーゼであるTaqポリメラーゼを用いる改良法が開発され,世界の分子生物学の進展に大きな影響を与えた。

上から ウィルキンス,DNA螺旋構造,サンガーとギルバード,マリス,DNA螺旋構造
パラオ(1999年) シート(5種連刷)





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