編集後記


 10月10日は,1964年の東京オリンピックの開会式を記念した体育の日でした。小学校の頃はいつも運動会があり,突然,6年生になって足が速くなり,短距離競技のトップでテープを切ってゴールする快感を知りました。高校時代の記録は100メートル11.9秒でしたが,今はどのくらいのタイムで走れるのか興味はあるものの,肉離れが怖くてチャレンジしないままです。
 さて,今回の「誌上ギャラリー」は,永井俊治先生の「冠岳花川公園の蓮苑」です。一見して中国旅行の思い出の作品かと思ったら,いちき串木野市の公園ということでびっくり,綺麗な中国風の庭園の散策をしたくなる1枚でした。「泥中の蓮」という故事があるように,蓮は泥水の中で成長して美しい花を咲かせ,花言葉は「清らかな心」,「神聖」だそうです。
 「論説と話題」は,九州ブロック学校保健・学校医大会と九州学校検診協議会の報告です。本年度から始まった運動器検診に対して,鹿児島県医師会と当会が先駆的に取り組んでいます。私も,問診票で異常項目にチェックのある児童を検診し,事後処理(整形外科専門医への紹介)したら,新たな側弯などの運動器障害の児童が見つかり,時間は掛かりますが,運動器検診を始めて良かったと感じる一人です。
 「トピックス」は会員表彰についてのお知らせです。表彰された先生におかれましては,長きに渡り,地域医療ならびに当会のために活動してくださり,誠にありがとうございました,そして,表彰おめでとうございます。
 「学術」は3題。一つ目は,内科医会例会での鹿児島大学大学院の糖尿病・内分泌内科の出口尚寿助教の糖尿病性神経障害に関する講演要旨です。
 糖尿病三大合併症の中で最も高頻度で,早期には両側性下肢遠位部の自発痛・しびれ感・錯感覚・知覚鈍麻などの感覚異常がみられます。私は,足底の砂の上を歩いているような感覚がとれないと訴える患者さんを神経内科の先生に紹介したら,糖尿病性神経障害と診断がつき,患者さんが自覚していなかった糖尿病が同時に発見された経験がありました。
 他の2題はいずれも今村病院分院からで,古田 茂先生の「いびき・無呼吸外来」の平成25年3月から約3年の実績の報告と,西垂水和隆先生の誌上症例検討Q&A(3回目)のレポートです。
 「医師会病院だより」は,毎回,医師会病院の診療業務などの一端を紹介しています。今回は,山口剛司先生が,ペースメーカーを使用中の患者さんのMRI撮像時の注意点などを解説し,生理機能検査室の日常業務について盛本真司室長が紹介しておられます。スタッフのみなさんの努力の結果は,「附属施設だより」で毎月報告されていますので,こちらもご確認ください。
 今回の「随筆・その他」は盛りだくさん。古庄弘典先生は,191回目の切手が語る医学として切手コレクションの紹介を,武元良整先生は,多数の訴えのある患者さんを精査し,原因が潜在的鉄欠乏と判明した貴重な症例の報告を,小田原良治先生は「死亡診断書記入マニュアルと医師法第20条・21条」に関する論文を,林 敏雄先生は,20年前に訪れたリオ・デ・ジャネイロを今回のオリンピック放送で見た風景と比較した回想旅行記を投稿くださいましたので,ご一読ください。また,小代 彩先生は,「真夜中の映画鑑賞」と題した随想で無事にリレーのバトンを繋いでくださいました。
 「天高く馬肥ゆる秋」という言葉の天高くとは,雲がなく,空が高く感じられるということで,空気に水分が少ない事を意味します。当然,皮膚も乾燥しますので,多めの保湿剤の使用を心掛けてください。

                             (編集委員 島田 辰彦


                                              

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