随筆・その他
真 夜 中 の 映 画 鑑 賞
|
|
|
今回リレー随筆のバトンをいただき,文章が苦手な私に随筆なんて書けるのか,とても不安ですが,次の先生へバトンをつなぐことを目標にがんばります。
これまでに執筆された先生方の随筆では趣味のお話が多く,さて私に趣味ってあったかなあと振り返ってみると,一つありました。映画鑑賞です。と言ってもそこまで映画に詳しくないのですが,映画とのおつきあい・思い出を振り返りながら,飽きっぽい私が続けられている理由を考えてみたいと思います。
私と映画の初めての出会いは,金曜ロードショーと日曜洋画劇場です。私が小学生の頃は,夜9時就寝という厳しい家庭のルールがあり,普段はどんなに遊びたくても9時には母親に叱られながらも布団に入らないといけませんでした。ただし,金曜ロードショーと日曜洋画劇場の日だけはルール適用外となり,両親と一緒に映画を観ても良く,とてもワクワクしていました。夜更かししてもいいという特別な雰囲気が大好きでした。ジブリ映画は特に好きで,父親に録画してもらい,ビデオテープが伸びてしまうまで繰り返し観て,セリフを覚えたものです。当時,たくさんの映画が放映されていたと思うのですが,思い出すのは「エイリアン」,「グーニーズ」,「ジョーズ」,「バタリアン」,「ペット・セメタリー」,「13日の金曜日」,「ダーティハリー」,「ビバリーヒルズコップ」,「ゴーストバスターズ」シリーズなどなど,ほとんどが小さい子どもには怖い(であろう)映画ばかりです。恐くて夜眠れなくなるくせに,毎回ドキドキしながら観ていたから印象に残ったのかもしれません。また,怖い映画は大抵夏休み中に放映されるため,家族や田舎に帰省してきた親戚たちと「わぁ,ほらほら来るよ!」,「きゃー!」と騒ぎながら楽しんだのも,懐かしい思い出です。
高校,大学時代は友人と自転車で映画館まで出かけ,ポップコーンを一緒に食べ,帰り道で映画の感想を話しながら盛り上がるのがいつもの決まりでした。中学・高校の頃は,世紀末ものの「インデペンデンス・デイ」,「アルマゲドン」,「ディープ・インパクト」などが流行り,「マトリックス」シリーズが始まった頃でした。高校の休み時間には,キアヌ・リーブスのことを「あんな格好良い人いないよね!」と友達とワイワイ話していました。男子が教室の隅でマトリックスのポーズを真似して,女子に笑われるというのが定番でした。「タイタニック」も当時大ヒットしていて,ブラッド・ピット派だった私は,同時期に公開されていた「セブン・イヤーズ・イン・チベット」の方をこっそり観に行っていました。大学生の頃は「ハリー・ポッター」,「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズが始まりました。毎回,同じ学科の友人二人と映画館へ観に行っていましたが,大学卒業後はそれぞれお互いに住む場所が遠く離れ,一人で観に行くようになり,とても寂しく思ったことを覚えています。
結婚後,子どもが生まれるまでは主人と映画を観に行っていましたが,子どもが生まれてからは夫婦二人の時間はなくなり,DVDを借りてくる元気もなく,映画鑑賞から遠のいてしまっていました。ですが,観たい映画がなかったわけではなく,上の娘が7カ月ぐらいになった頃にふと,夫から「レイトショーでも行ってきたら」と言われ,あぁそれなら行けるかな,と1年ぶりぐらいに映画館へ足を運んでみました。最初は子どもに悪いな,とか,夫一人で大丈夫かな,とか後ろめたい気持ちや不安でいっぱいでした。しかし,娘を寝かしつけてから,足音を忍ばせて車に乗り込み,夜中に一人で映画館まで走る間,好きな音楽を好きな音量で一人だけで聴けるということが本当に贅沢に感じられました。そして,ポップコーンとドリンクを買って,お客さんの少ないレイトショーで映画だけに集中できる時間は,なんだか独身時代に戻ったようでとても新鮮でした。それからは,1~2カ月に1回くらいの頻度で,レイトショーを観に行くようになり,それを楽しみに仕事と育児を頑張れるようになった気もしています。夫も「最近見たい映画はないの」と声をかけてくれるようになりました。お陰で,それまで仕事と育児に疲れていても,映画館からの帰り道には「子ども達はいい子で寝ているかな」「また来週も頑張ろう」と思えるようになりました。
家族,友人と一緒に観ていた映画を,一人で観るようになり,観る映画の内容も少し変わりました。以前は,ハッピーエンドの洋画を中心に観ていました。それは今も同じですが,加えて邦画も観るようになり,面白い作品がたくさんあることに気がつきました。最近観た中では,「TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ」,「シン・ゴジラ」が面白かったです。邦画には,日本に住む人なら「あーあるある」と思わずにやっと笑ってしまうネタが盛り込まれており,時事ネタも理解しやすいので,親しみやすさがあるように思います。
こうして振り返ってみますと,映画鑑賞という趣味は,自分が置かれている環境によって,一時的に遠のくことはあっても,テレビ・レンタル・映画館とそれぞれの良さがあり,またいつでも楽しむことができる趣味だと感じました。また,小学生の頃から映画を見続けてきたお陰で,最近流行りのリブート作品(「ジャッジ・ドレッド」,「トータル・リコール」など)の元ネタもわかり,リブート版も楽しむことができています。最近では,「インデペンデンス・デイ」続編の映像の凄さに,時の流れを感じた次第です。自己紹介欄に書くには,あまりにもベタな趣味で恥ずかしいですが,これからもひっそりと楽しみ続けていきたいと思います。拙い文章にお付き合いくださり,ありがとうございました。
| 次号は,鹿児島大学病院 小児外科の山田和歌先生のご執筆です。(編集委員会) |


|
|
このサイトの文章、画像などを許可なく保存、転載する事を禁止します。
(C)Kagoshima City Medical Association 2016 |