[緑陰随筆特集]

「私たちの健康は私たちの手で」
〜50年のあゆみをふりかえって〜

     鹿児島市食生活改善推進員連絡協議会 会長 三反田千代子

 これまで,私たち鹿児島市食生活改善推進員連絡協議会は,貴会主催の「市民健康まつり」に平成5年の第10回から協力団体として参加させていただき,市民の皆様へ食を通した健康づくりを推進してまいりました。

「第32回市民健康まつり」にて
(鹿児島市食生活改善推進員制度発足50周年記念式典時上映スライドより)

 「市民健康まつり」では,朝食メニューや1日のバランス食,郷土料理等を展示し,具だくさんのさつま汁の試飲をしてもらったこともありました。また,県民交流センターで開催された第28回では,調理室を利用して「郷土のお菓子づくり」教室を開催しましたところ,多数の親子にご参加いただき,大変好評で私たちも心地よい疲労感と充実感を味わったものです。近年では食事バランスガイドを使った体験型コーナー,1日にとりたい350gの野菜の展示,加工食品に含まれる食塩相当量の掲示,減塩のコツなどをお伝えしているところです。
キッチンカーでの普及活動
 さて,私たちは,昭和35年に鹿児島市中央・山下保健所で栄養改善推進員養成講座(栄養教室)が開講され,昭和40年に現在の食生活改善推進員が誕生してから,昨年(平成27年)ちょうど50周年という節目を迎えました。10月の記念式典では,鹿児島市医師会 猪鹿倉会長様より心温まるご祝辞をいただき,自らの活動を更に深めていこうという想いを強くした次第です。心より感謝申し上げます。
 私たち食生活改善推進員は,「私たちの健康は私たちの手で」をスローガンに,バランスのとれた食生活で,健康づくりの輪を広げるためのボランティア活動を行っています。栄養教室が始まった昭和35年頃,栄養士は,キッチンカーに乗って,市民の皆さんへ「油や有色野菜,たんぱく質やカルシウムをもっととろう!」と,油料理,野菜料理,スキムミルクの普及などを行っていました。この後,推進員もキッチンカーに同行し,料理の補助を行っていたそうです。
 現在まで3,835人が養成され,自分達が住む地域を中心に自らの健康,家族の健康はもとより,お隣さんお向かいさんへの声かけ運動を行ってきました。昨年,401人の推進員が活動した回数は延26,507回,声かけした人数は延112,693人でした。これまでの活動を,少しご紹介します。

昭和53年 よい食生活をすすめる「牛乳・乳製品摂取のための講習会」開催,6つの基礎食品を焼きつけた絵皿を頒布。
昭和63年頃 お隣さん,お向かいさんへの声かけ運動や,一人暮らしの方とのふれあい,近所の方を誘ってのバランス料理の講習会も始めました。
平成12年 メンズキッチン・ヤングキッチンが始まりました。現在も地域福祉館など30カ所で開催し,地域の皆さまにとても喜ばれています。平成27年は2,500人を超える方が参加されました。
平成15年 「鹿児島県8020運動」推進の一員となり,歯の健康のための活動を始めました。
平成16年 魚食普及のための講習会を始めました。
平成17年 食育基本法が制定され,食事バランスガイドを手にバランスのとれた食生活の普及や,親と子の食育教室も始まり,食育推進に取り組んでいます。
平成18年 「おはら祭」に参加し,食生活のスローガンプラカードをもちながら,元気はつらつ楽しく踊りました。現在も参加しています。
平成20年 「ねんりんピック鹿児島2008」では,「薩摩汁・豚汁」で全国から来られた方々におもてなしをしました。
各保健センターで郷土料理教室が始まり,豚骨やじゃんぼ餅など身近なようで,なかなか作らない郷土の料理は大好評です。
平成22年 糖尿病,高血圧予防教室が始まりました。減塩や適正体重維持のために,ご近所のお宅を訪問して,みそ汁塩分濃度や腹囲をはかり,メタボチェックをするなど,生活習慣病予防の取組をしています。
平成23年 市協議会独自の活動目標を掲げました。活動目標は,1.朝食を食べて元気になろう,2.野菜をもう一皿増やそう,3.めざそう,まずは食塩マイナス1g,4.郷土料理を伝承しよう,です。
平成24年 夏休みに小学生を対象とした親子郷土料理教室を開始しました。
平成26年 第二次かごしま市食育推進計画では「共食(きょうしょく)」という言葉が盛り込まれ,家族や知人などと共に食事をする時間を持つことの大切さを伝えています。

 


 
料理教室やイベントでの様子

 その他,鹿児島市の健康づくり月間である11月に各保健センター等で開催されるイベントでは,バランスのよい献立や,1日にとりたい野菜の量の展示,調味料の塩分濃度の表示,郷土のお菓子の紹介などをしています。
 昨年,50周年を記念して,これまで地域のさまざまな料理教室で紹介してきた献立を「食改さんのお手軽健康レシピ」として編集しました。今後,広く市民に役立てていただけるように,普及していく予定です。
 近所で食事のことをおしゃべりしているおせっかいそうな女性をみかけたら,ひょっとしたら私たち食生活改善推進員かもしれません。皆様の健康を気遣ってのおしゃべりですので,どうぞお耳をおかしくださいませ。そして,市民の健康づくりを担う一員としてこれからもよろしくお願いいたします!
 最後になりましたが,親子郷土料理教室で子ども達と一緒に作った「さつまぼうろ」と,食改さんのお手軽健康レシピより一品ご紹介します。暑い夏,おつまみにもいいかもしれませんね。どうぞ召し上がれ!

 
にがごいのいーあげ(4人分)
(にがうりのいり豆腐)

 にがうり    1本
 こんにゃく   60g
 豆腐      150g
 にんじん    60g
 油       大さじ1
 ■砂糖     大さじ1
 ■淡口しょうゆ 大さじ1
 ■塩      1g
 かつおぶし   適宜
【作り方】
@にがうりは縦切りにし,種とわたを除いて薄切り。こんにゃくは短冊切りにしてさっとゆがく。人参は太目のせん切り。豆腐は水気を切っておく。
Aフライパンに油を熱し,にんじん,こんにゃく,にがうりを炒め,豆腐は大き目にくずして加え,炒める。
B調味料を加え,手早く炒めあげる。
※にがうりは,表面につやがあり,緑色が濃く,イボがつぶれていないものがベスト!
  さつまぼうろ(8個分)
 薄力粉     150g
 重曹      小さじ1/2
 卵(Mサイズ)  1個
 砂糖      100g
 ごま油     少々
 
【作り方】
@薄力粉に重曹を加えてよくふるう。
Aボールに卵をわりほぐし,砂糖を2〜3回に分けて入れながら混ぜ合わせる。
BAに@の粉を入れて軽くまとめ(混ぜすぎない),冷蔵庫で30分以上寝かせる。
C生地を6等分にし,手にごま油をつけて丸く成形する。クッキングシートを敷いた天パンに,間をあけて並べ,150〜160℃のオーブンで10〜12分焼く。
【1個あたり】エネルギー131kcal








このサイトの文章、画像などを許可なく保存、転載する事を禁止します。
(C)Kagoshima City Medical Association 2016