編集後記


 熊本地震の発生から1カ月が経過しました。ニュースで知る限り,まだまだ復興にはほど遠く避難所やテントでの避難生活を余儀なくされている方々が多くいる現実があります。5年前の東日本大震災の時とは異なりすぐ隣の熊本県での出来事であり,鹿児島でも大きな揺れを経験したことでとても身近な出来事として感じられます。わたしたちも真剣に日頃より備えをしておくことが必要だと思います。被災地の一日も早い復興を心より願います。
 「誌上ギャラリー」は馬場先生より「みやまきりしま」をいただきました。韓国岳火口の絶壁に自生している様に美しさと力強さを感じます。
 「論説と話題」は鹿児島市医師会病院の現状について鹿児島市医師会会長の猪鹿倉先生にご寄稿いただきました。「医師会会員のための紹介型病院を原則」のもと今年度の事業計画として,@会員との連携を深め,安全で質の高い誠実な医療を提供していくとともに,地域の中核病院として地域医療支援の役割を果たすべく努めること,A急性期病院として救急診療の円滑な運営,高度医療を確実に実施していくとともに,地域包括ケアシステムに対応した機能の充実に努めること,Bがん連携指定病院として診断・治療から緩和ケアまで連続性を持った患者受け入れ機関として機能充実を図ることを報告していただきました。医師確保が急務であるようです。また,築30年が過ぎた本院の建て替えが将来におけるビジョンの中心になっているようです。鹿児島市医師会病院院長の園田先生からは医師会病院の現状について詳細に報告していただきました。財務の回復を図りつつ,人材の保持という困難な局面を乗り切っていってほしいものです。大迫先生からは熊本地震への災害派遣報告をしていただきました。被災地の避難所の現状,問題点があげられています。全国から様々な分野でのサポートチームが集結し活動されている状況に頭が下がります。
 「くすり一口メモ」は桐野先生にビグアナイド系薬剤と乳酸アシドーシスについて教えていただきました。ヨード造影検査を行う際に注意が必要で,検査前後2日間はビグアナイド系薬剤を休薬することが重要です。事前に服用の有無を必ず確認しましょう。
 「学術」は術前3DCTを活用し安全に施行された完全鏡視下右S8区域切除術,大血管浸潤疑腫瘍へのSalvage手術の経験,特発性血小板減少性紫斑病合併乳癌における周術期管理,術前CT-Angiography及び術中ICG蛍光法を用いてNavigation Surgeryを行ったS状結腸癌の1例を報告していただきました。貴重な報告ありがとうございます。
 「医師会病院だより」では上野先生に放射線科の紹介をしていただきました。日々の診療ありがとうございます。
 「切手が語る医学」には,今回も古庄先生から中国と台湾の切手を紹介していただきました。いつもありがとうございます。
 「リレー随筆」は,秋元先生が5年前の東日本大震災時に第1救護班として経験された状況をリアルに伝えていただきました。困難を伴う状況の中,迅速な対応,なかなかできるものではありません。今後はDMAT隊員としてのご活躍を期待しています。
 「各種部会だより」では,鈴木先生より鹿児島市小児科医会会長就任の挨拶をいただきました。小児医療も大学,病院,開業医などのオール小児科で支えていく必要があります。鹿児島で働く小児科医の確保が重要課題のようです。
 青色発光ダイオード(LED)開発でノーベル物理学賞を受賞した南九州市知覧出身の赤崎 勇先生が若者に向けて語りかける「本当にやりたい事をやりとげる あきらめない心を」という言葉が本人の筆跡で刻まれている記念碑が宝山ホール前花壇に設置されました。将来あるこどもたちの心に響いてほしいものです。


                                 (編集委員 今村 直人

                                              

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