編集後記


 先週の福岡での学会会期中に,懇親会場からの送迎バス内で地震アラームが一斉に鳴り出しました。車内は一時騒然となり,熊本の大地震を知りました。続く深夜の本震では大分にまで被害がおよび,東廻りの陸路も断たれた結果,延泊して福岡空港からの臨時便で鹿児島に戻れました。熊本では医療機関も被害を受け,他県からDMATの派遣や患者さんの転院など医療の連携がなされました。被災された方々には心よりお悔やみ,お見舞い申し上げますとともに,被災地の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
 「誌上ギャラリー」には大勝先生から「夕日に染まる桜島」をいただきました。日頃馴染みの深い桜島ですがその表情は実に多彩で,赤く染まった桜島の絶妙な瞬間が見事に捉えられています。
 「論説と話題」には猪鹿倉先生から3期目の会長立候補所信表明をいただきました。多くの課題を抱える中,引き続き医師会運営の舵をお取りいただきたいと思います。また鹿児島県糖尿病対策推進会議から「SDMカスタマイズド鹿児島2016年版」が紹介されました。2型糖尿病患者への初回経口薬使用についてのフローチャートが示されています。患者さん個々の状況に応じて,必要な時には専門の先生にご相談ください。
 「医療トピックス」は,鹿児島市医師会病院で2月から開始された,院外処方箋への検査値表示の取り組みです。薬剤師が検査値を確認することで副作用の予防や早期発見につながります。今後,運用する医療機関の増加が見込まれ,処方医,病院薬剤師,保険薬局薬剤師との医療連携がさらに深まるようです。
 「学術」には野口病院の村上先生から頸部超音波検査を行う際に特に重要な甲状腺疾患,副甲状腺機能亢進症,頸部リンパ節腫大について,超音波所見を中心に詳述されました。超音波検査は侵襲のない検査ですが多くの情報が得られ,特に頸部においては甲状腺や副甲状腺の疾患,リンパ節の疾患の診療に有用とのことです。また,今給黎総合病院の臼元先生からは「脳梗塞を発症した凝固第Z因子欠乏症の1例」をご報告いただきました。出血性素因があっても脳梗塞を発症しうることを示す貴重な症例報告です。
 「医師会病院だより」では外科部長の石崎先生から外科の近況についてご報告いただきました。医師会病院外科では早くから鏡視下手術に積極的に取り組まれ,肝胆膵外科では豊富な経験に基づく実績があります。多くの患者さんのご紹介をお願いいたします。
 「随筆・その他」では,今号でも古庄先生から海外の珍しい切手をご紹介いただきました。いつもありがとうございます。リレー随筆には鹿児島大学医学部・歯学部附属病院の井上先生から「随筆回走」をご寄稿いただきました。先生のこれまでのスポーツとの関わりについて回想され,現在はランニングに行き着かれたようです。私の場合はストイックにやらないことが長続きの秘訣,などと勝手に納得しています。
 「区・支部だより」には各区長,支部長の先生から,新年度を迎えての退任・就任のご挨拶をいただきました。また各支部会が盛会のうちに開催された様子なども報告されました。
 「各種部会だより」では鹿児島市内科医会3月例会で,本号「学術」に掲載された村上先生の頸部超音波検査についてのご講演があり,内科医会会員のみならず他科の先生にとっても大変有意義であったようです。
 「鹿市医郷壇」では皆様のご投句を熱烈募集中です。会員の先生がたからの,たくさんのユニークな作品をお待ち申し上げます。
 地震による被災地の惨状を連日の報道で知るにつけ,まずはライフライン,インフラが早急に復旧されて,被災された方々には1日も早く平穏な生活が戻ることを願って止みません。

                                 (編集委員 森岡 康祐

                                              

このサイトの文章、画像などを許可なく保存、転載する事を禁止します。
(C)Kagoshima City Medical Association 2016