天
清滝支部 鮫島爺児医
ランドセル中じゃスマホが威張っ居っ
(ランドセル 中じゃスマホが いばっおっ)
(唱)時代が違ごち爺もけ驚っ
(唱)(時代が違ごち じもけたまがっ)
小学生にスマホを持たせるなんて、私ども昭和一桁生まれには想像のつかないことです。
スマホは母親と子どもの連絡用に必要らしい。大人だけでなくて小学生にも必需品になってきそう。そのうちに母親をスマホでこき使ったりしそう。現代の世相がよく詠み込まれています。
地
城山古狸庵
御守いが背中け揺れちょいランドセル
(御守いが 背中け揺れちょい ランドセル)
(唱)お八幡やら天神様も
(唱)(おはっまんやら 天神さあも)
爺ちゃん婆ちゃんが、孫の為にと御守りを授かってきます。戴いた御守りに申し訳ないので全部付けました。家族の愛情が背中で揺れています。ほほえましい句です。
人
川内つばめ
年金ぬ遣い繰っ孫いランドセル
(年金ぬ やいくっ孫い ランドセル)
(唱)粗雑品をば贈いわけいかじ
(唱)(おろえしなをば やいわけいかじ)
最近のランドセルは結構いい値段がします。可愛い孫の為には少しでも良い物をプレゼントしたいので、無理もしなければなりません。介護保険の天引きなどされた、年金生活者には簡単ではありません。庶民の心情を詠んだ句。
五客一席 紫南支部 二軒茶屋電停
行っ違げで両家かあ来たランドセル
(いっちげで まんぼかあ来た ランドセル)
(唱)言違げじゃっとか聞っ違げじゃいか
(唱)(ゆちげじゃっとか きっちげじゃいか)
五客二席 上町支部 吉野なでしこ
ランドセル買かて何度も背負わせっ
(ランドセル こかて何度も かるわせっ)
(唱)長すかかったや後ちゃ疲れた孫
(唱)(さすかかったや のちゃだれた孫)
五客三席 城山古狸庵
爺婆が買たランドセルどま使こたせじ
(じばがこた ランドセルどま つこたせじ)
(唱)今時の児とセンスが合わじ
(唱)(いまどっの児と センスが合わじ)
五客四席 清滝支部 鮫島爺児医
ランドセル未来の夢が詰まっちょっ
(ランドセル 未来の夢が つまっちょっ)
(唱)親ん夢ずい上乗せをしっ
(唱)(親ん夢ずい うわのせをしっ)
五客五席 川内つばめ
子供ずいブランド物のランドセル
(こどんずい ブランド物の ランドセル)
(唱)親ん見栄をば子い背負わせっ
(唱)(親ん見栄をば 子いかるわせっ)
秀 逸
上町支部 吉野なでしこ
カラフルで誠て賑けランドセル
(カラフルで まこてにっぎゃけ ランドセル)
清滝支部 鮫島爺児医
ランドセル猫い宛ごっ遊び出っ
(ランドセル 猫いあてごっ あすびでっ)
ランドセル戦時中をば思め出せっ
(ランドセル 戦時中をば おめだせっ)
ランドセル一年生の春い輝っ
(ランドセル いっねんせいの はいひかっ)
城山古狸庵
お弁当ん温もゆ背中けランドセル
(おべんとん ぬくもゆせなけ ランドセル)
ランドセル頭下げたや本が出っ
(ランドセル びんたさげたや 本がでっ)
川内つばめ
西洋のセレブも欲しちランドセル
(西洋の セレブもほしち ランドセル)
ランドセル桜ん下い良映えっ
(ランドセル 桜ん下い ゆはえっ)
作句教室
今月の投句から 樋口 一風
古してん慣れた方が良かランドセル
(ふるしてん なれたとがよか ランドセル)
この句について少し考えてみましょう。
句としては、ちゃんと五七五にもなっていますし、句の意味もその通りで良く分かりますので、別に変える必要もありませんが、人間の存在が薄いです。そこで中七を次のように変えたらどうでしょう。
古いかどん背中と気が合ランドセル
(ふいかどん せなと気がお ランドセル)
背中を擬人化すると、ランドセルが背中に慣れて愛着のあるのが分かります。
これも絶対ではありませんが、面倒くさくても推敲してみると、一味も二味も違ってきそうです。
薩摩郷句鑑賞 90
大か地震床ずれ婆を先き負るっ
(ふとかなえ 床ずればばを さきかるっ)
黒岩 涙月
長い間病床にいると、背中などに褥瘡ができる。いわゆる床ずれである。今は、望みどおりの寝具があるが、昔は農村などでは、藁布団を作って、敷布団の下に入れてやり床ずれを軽くしてやったものである。そういう病人は、寝起きも自由にならないので、地震の時、いの一番に安全な場所へ連れて出したわけであろう。病人に対する家族の温かい気持ちが滲み出た句。
叱れば叱い真似もきっすい悪戯坊
(がればがい 真似もきっすい きかんたろ)
牛留 万年
新しく入学した一年生たちも、やがて三週間になる。ぼつぼつ学校生活にも慣れ、友達ができたり、新しい集団で遊びが始まったころである。そうすると、結構やんちゃも出てくるもの。
担任の先生にも慣れてくると、中には「けすった子」がいて、やんちゃを叱られると、叱る先生の真似をするようなのもいるものである。
※三條風雲児著「薩摩狂句暦」より抜粋
薩 摩 郷 句 募 集
◎6 号
題 吟 「 口紅(すばべん)」
締 切 平成28年5月6日(金)
◎7 号
題 吟 「 突然(ひょかっ)」
締 切 平成28年6月6日(月)
◇選 者 樋口 一風
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892-0846
鹿児島市加治屋町三番十号
鹿児島市医師会 『鹿児島市医報』 編集係
TEL 099-226-3737
FAX 099-225-6099
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