天
城山古狸庵
優し娘酒が入ったや酔漢いなっ
(優しこ 酒がいったや とらいなっ)
(唱)内気な男は側べ寄い付けじ
(唱)(いめな男は そべ寄いつけじ)
お酒が入ると豹変する人がいます。最初はおとなしく飲んでいますが、深酔いをするともうだめです。
女性の酔っぱらいは始末に負えません、介抱するにしても触ったところが悪いだのセクハラだのと困らせます。本人は覚えていませんので、次からは飲ませないようにしましょう。薩摩郷句は意外性を尊重します。面白い句でした。
地
紫南支部 二軒茶屋電停
優しち思もて娶ろたて酷め合っ
(優しち ともてもろたて ふてめ合っ)
(唱)猫被いとな見抜けんじ後悔
(唱)(ねこかぶいとな みぬけんじくけ)
後の「五客二席」の句のようにお見合いの時は優(しおら)しくするようにと、親からも言われていますのでできる限り優しそうに振る舞います。女性にしたら一世一代の演技をして気に入られるようにします。それを見抜けなったのは仕方のないことです。嬶天下もよろしいのではないですか。この句もやはり意外性のある句です。
人
清滝支部 鮫島爺児医
転婆娘も着物で優しゅ宮へ参っ
(いなばごも べべで優しゅ みへまいっ)
(唱)内股て歩りっ大人せなった所作
(唱)(うっまてさりっ おせなったしょさ)
着物(べべ)とあるから七五三ではないかと思われる。かねての洋服と違い、立ち居振る舞いが窮屈ですので、活発に歩くわけにはいきません。そこが女らしさを作る要因でしょう。気分はもう一人前のレディーです。大人になっても優しい娘でいて欲しいものです。
五客一席 清滝支部 鮫島爺児医
頑固爺が優しゅなれば心配な家族
(頑固じが 優しゅなれば せわなけね)
(唱)何か病気じゃなかかち思っ
(唱)(ないかやんめじゃ なかかち思っ)
五客二席 城山古狸庵
見合ん時か優しゅせえち言っ聞せっ
(みえんとか 優しゅせえち いっかせっ)
(唱)男勝いが親へすれば心配
(唱)(おとこまさいが おへすればせわ)
五客三席 川内つばめ
演技上手男ん前じゃ優し娘
(演技じょし 男ん前じゃ 優しこ)
(唱)嫌われんごっ精一杯な芝居
(唱)(きらわれんごっ せっぺな芝居)
五客四席 上町支部 吉野なでしこ
見合写真まこて優しよか娘
(みえ写真 まこて優し よかおごじょ)
(唱)作い笑れどんしっ写ちさせっ
(唱)(作いわれどん しっうちさせっ)
五客五席 川内つばめ
お年玉貰ろ時丈な優しゅし
(お年玉 もろとっぶんな 優しゅし)
(唱)足が痛てどん正座で待っ
(唱)(足が痛てどん きんきんで待っ)
秀 逸
上町支部 吉野なでしこ
転婆娘も晴れ着を着れば優し態
(てんばごも 晴れ着を着れば 優しふ)
清滝支部 鮫島爺児医
受験生優しゅ祈っ神籤ず引っ
(受験生 優しゅ祈っ みくず引っ)
正月じゃち管巻奴も優しゅし
(しょがっじゃち やまいもほいも 優しゅし)
予防注射優しゅすれば痛とあ無し
(よぼちゅうしゃ 優しゅすれば いとあのし)
揉め事も優し挨拶ち仲良ゆなっ
(もめごっも 優しえさち なかゆなっ)
城山古狸庵
転婆娘も成人式にゃ優しゅし
(いなばごも 成人式にゃ 優しゅし)
初節句着物を着た娘ん優しゅし
(はっぜっく いしょを着たこん 優しゅし)
川内つばめ
金よっか優し人ち願ごた親
(ぜんよっか 優し人ち ねごた親)
雪だるま優し顔でメタボ腹
(ゆっだるま 優しつらで メタボばら)
作句教室
樋口 一風
(これから郷句を始めたい人の為に)
初心者の陥りやすい病があります。
@解説型A報告型B因果型C独善型D詰込型。まずこの五タイプがあります。
@解説型
よく言えば理論的、悪く言えば当たり前の事を解説しただけ。
「仲人(なかだっ)の嘘も両家(まんぼ)ん縁結(えんむす)っ」そうですねというタイプの句。
A報告型
ある事柄を報告しただけで、「朝起っ顔(つら)をば洗(あ)るっ飯(め)す食(た)もっ」と日常を五七五に並べただけ。
B因果型
物事の因果関係を言っただけの句。「七十歳(ななじゅ)なっ運動神経(うんどしんけ)あ鈍(に)ぶけなっ」
C独善型
作者個人にとって興味があっても、一般的でない事柄や、仲間内だけの話題」などを自分の信念を他人に押し付ける。同類に(押しつけ型)(説諭型)など。個人の意見を押し付けると嫌味になります。
D詰込型
引っ越しのトラックのように、詰め込めるだけ詰め込んである。たった十七音字の箱に何でも詰め込むのは無理な事です。焦点を絞り、できるだけ無駄な枝葉はそぎ落として十七音字にまとめてみましょう。
薩 摩 郷 句 募 集
◎3 号
題 吟 「 試験(しけん)」
締 切 平成28年2月5日(金)
◎4 号
題 吟 「 ランドセル 」
締 切 平成28年3月5日(土)
◇選 者 樋口 一風
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892-0846
鹿児島市加治屋町三番十号
鹿児島市医師会 『鹿児島市医報』 編集係
TEL 099-226-3737
FAX 099-225-6099
E-mail:ihou@city.kagoshima.med.or.jp |
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