=== 新春随筆 ===
南米・MACHU PICCHUへの旅 |
|
東区・郡元支部
(介護老人保健施設ひまわり) 野元 域弘
|
|
旅が好きであちこちに行ったが,5大陸の中で南米だけは行ってなかった。4月末に「椎間板ヘルニア」で腰痛のため突然歩けなくなり,「もう旅に出るのは無理だ」と断念した時もあった。しかし,職場の先生方,理学・物理療法室の強力なリハスタッフの熱心な治療のお陰で,7月末には少し歩けるようになり,希望が持てるようになった。年と共に体力の衰えを感じる事が多くなったので,自分の足で歩ける内にできるだけ遠い所に行っておきたいと思い,今年は旅仲間からよく勧められるアンデス山脈の奥深くに築かれた謎の空中都市「MACHU PICCHU」への旅を思い立った。
「今行かないと行くチャンスは無い」と覚悟し,9月8日,鹿児島空港を飛び立ち,夕方羽田空港で関東組と合流し深夜便でロサンゼルスへ(飛行時間10時間20分)。夕暮れのロサンゼルス空港に降り,一泊した。翌日午後,ペルーの首都リマへ(飛行時間8時間25分)。深夜ホテルに着き,4時間ぐらい休憩後,バスでピスコへ。標高600メートルの砂漠地帯。1930年代に発見され,700以上の地上絵があるとされる「ナスカとフマナ平原の地上絵」を軽飛行機(セスナ機)で1時間30分,遊覧飛行する。よく揺れて飛行機酔いして,自慢の絵ではっきり見えたのは数個だった。バスに揺られて3時間30分でホテルに帰った。翌日は,午前リマ市内観光をして,もう20数年前になり記憶も曖昧になってきたが,1990年頃,日系人の大統領として名を馳せたアルベルト・フジモリ氏が執務した大統領府等を見学した。
昼前にリマから空路クスコへ(飛行時間1時間20分)。クスコは,1200年代後半に栄えたインカ帝国の首都で,海抜3,400メートルの高地にあり,天空都市とも呼ばれ,「剃刀の刃一枚も通さない」と言われるほど,隙間なく組まれた石造りの街である。一昨年の10月,マチュピチュ「発見」100年,インカ帝国展が鹿児島の黎明館で開催され,数体のミイラを見たり,縄を使った記録法や3D画像を見て感動したのを思いだした。インカの石組技術の巧みさが残るサント・ドミンゴ教会,市街の中心にありスペインに征服された後,この広場からスペイン式の街造りが行われたとされるアルマス広場,鳴り響く鐘は,南米一の大きさを誇るカテドラル,宗教美術博物館の土台に埋め込まれている12の角を持つ12角の石等を見学した。その後,バスで2時間揺られオリャンタイタンボ駅へ。そこからペルー鉄道の高原列車で待望のマチュピチュ駅へ(所要時間約1時間40分)。待望のマチュピチュ村に着いたのは鹿児島を出て4日目の夜だった。
翌朝,駅から中型・中古の観光バスに乗り,曲がりくねった山道を,上から他のバスが降りてくると離合できずバックしてやり過ごす狭い道を登り1時間ぐらいでマチュピチュの登山口(海抜2,280メートル)に着いた。
 |
写真 1 マチュピチュ村にて
(2015年9月12日)
|
 |
写真 2 イグアスの滝,アルゼンチン側の
悪魔の喉笛(2015年9月14日)
|
 |
写真 3 イグアスの滝,ブラジル側
(2015年9月15日)
|
ここからインカ帝国の飛脚が走り登ったという狭い舗装されていない道(いわゆるインカ道)を4時間登ったり下ったりしながら,観光説明を聞きながら歩いた。時々,アルパカ(ラクダの一種?と聞いた)と出会いながら,当時,農耕に利用されていたとされる水路も回った。坂はかなりの勾配があり,道も凸凹ありで,石段も小さかったり大きかったり不揃いで足・腰に応えた。最後頃は,救急車を呼んでもらおうかと思うほどしんどかった。何とか歩ききり,現地案内人に「これでマチュピチュの全てを観ていただきました」と言われた時は達成感があった。眼の前に広がる光景は何度もテレビで観たが,やはり現地に来て観ると,緑が映え,壮大・雄大で,遠くまで来た甲斐があったと疲れが吹っ飛びすごく感動した(写真1)。
もうこんな遠方まで来る事は無いと思い,最後に来年オリンピックが開催されるブラジルまで飛行機で飛び,ナイアガラ(カナダ・アメリカ),ビクトリア(ジンバブエ・ザンビア)と共に世界3大瀑布と言われるイグアスの滝を観に行く事にした。イグアスの滝はご存じのごとく,滝幅4.5キロメートル,最大落差80メートル,水量毎秒6万5千トンの世界最大水量を誇り,「巨大な水」と呼ばれ,アルゼンチンおよびブラジルの両国に跨った世界遺産になっている。まずアルゼンチン側から「悪魔の喉笛」と言われる滝壷で凄い瀑布を浴び,虹を見て満喫し,続いてボートに乗り込み,滝壷に近づきバケツをひっくり返したような瀑布にズブ濡れになって笑い,楽しんだ。
翌日は,ブラジル側からヘリコプターに乗り,空から滝幅を観察し,降りて瀑布を浴びながら徒歩で滝の周囲を散策して堪能し,3大瀑布の中でも最も水量が多い事を実感し旅を締めくくった(写真2・3)。

|
このサイトの文章、画像などを許可なく保存、転載する事を禁止します。
(C)Kagoshima City Medical Association 2016 |