編集後記


 梅雨も明けて8月,夏真っ盛りです。7月にドイツで開催されたユネスコ世界遺産委員会では一時は協議が難航しましたが,無事に「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼,造船,石炭産業」が世界遺産に登録されました。これで鹿児島は「自然遺産」と「文化遺産」の両方を持つ県となりました。今年の夏休みは新しく「世界遺産」となった旧集成館,寺山炭窯跡,関吉の疎水溝が大勢の観光客で賑わうことでしょう。
 「誌上ギャラリー」は橋口先生から「夏の空」をいただきました。雲ととんぼの映る青い水面がとても涼しげです。
 「論説と話題」は「第6回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会」の報告です。総合診療医の育成,2017年度から導入される新専門医制度,2025年問題,などに関連したテーマのもと「超少子高齢化社会」に対するプライマリ・ケアや地域医療の取り組みなどについて討論されました。
 「緑陰随筆特集」にはたいへん多くのご寄稿をいただきました。テーマは歴史,社会,哲学,健康,スポーツ,自然,紀行など多岐に渡り,いずれも読み応えのある正に珠玉の数々です。
 「医療トピックス」では近年新しく開発された経口抗凝固薬について,種類と特徴をワルファリンと比較してご紹介いただきました。
 「学術」には南風病院の大平先生から,非常にめずらしい下腸間膜静脈−下大静脈シャントが原因の代謝性脳症の症例が報告されました。臨床所見と画像検査から病態が解き明かされていく様が克明に記されています。
 「医師会病院だより」では一昨年に開設された「緩和ケア科」が,患者さんとご家族の事情に配慮したきめ細かいケアを実践し,また急性期治療を担う医師をサポートされていることなどが紹介されました。
 「切手が語る医学」には古庄先生から今号も珍しい切手をご紹介いただきました。海外の医療にちなんだ切手の,何と多彩なことでしょうか。
 「リレー随筆」は萩原先生が仕事上,動脈硬化予防の必要性を感じて始められたジョギングが,今ではすっかり生活習慣として定着したお話です。月100kmのジョギングは私にはかなり高いハードルですが,意外な効能もいろいろとありそうです。
 「各種部会だより」では「鹿児島市内科医会総会」での鹿児島大学心臓血管・高血圧内科学,大石教授の難治性高血圧の治療についてのご講演,「鹿児島市外科医会総会」での鹿児島大学小児外科学,家入教授の小児外科における内視鏡手術についてのご講演,「鹿児島市医師会勤務医会総会・研修会」での飯塚病院消化器内科,赤星先生の最先端内視鏡機器についてのご講演,また「医学生・研修医等をサポートするための会」での福井大学医学部附属病院救急部・総合診療部,林教授のご講演の様子などが紹介されています。
 2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて「新国立競技場」建設問題は迷走した末に,ついに白紙撤回となってしまいました。先の「国立競技場」のように末永く国民に親しまれる「文化遺産」となるような,すばらしいスタジアムが完成することを願っています。
 まだまだ暑さが続きます。会員諸先生におかれましては本号を一服の清涼剤に,この夏を清々しく過ごされますことをお祈りいたします。

                                   (編集委員 森岡 康祐



                                              

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