[緑陰随筆特集]
「 お 灸 女 子 」
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鹿児島県鍼灸マッサージ師会 理事(副広報部長) 鈴木 睦美
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ライフスタイルにさまざまなものを取り入れる女性の事を「○○女子」と呼びマスメディアでもいろいろ取り上げられていますが,ここ数年「お灸女子」も女性雑誌やテレビなどのマスメディアにいろんな形で登場するようになってきました。
私自身の職業が鍼灸あん摩マッサージ指圧師ということもあり,セルフケアとしてのお灸が広まってくれることはとても嬉しいことだと思っています。日本各地で「お灸講座」が開講され「お灸女子」と呼ばれる若い女性が増えている中,私のところへもカルチャースクールの方から依頼があり今年の春からお灸によるセルフケアの簡単なやり方講座を開講することになりました(写真1)。開講のご要望があっての募集だったのであっという間に募集定員に達しました。
お灸の一番の効果は「気の力を増やす」ということにありますが,気を巡らせることで冷えやむくみ,筋肉のこりなどの血行不良を解消するというのが狙いです。
お灸は東洋医学の治療法の一つですが,「気・血・水」の3つのバランスを整えるのに大変効果的です。健康な状態だと気は「経絡」を通じてスムーズに流れ全身に行き渡りますが,どこかに不調があるとその流れが滞ってしまい,凹みやこりになりツボとして身体の表面に現れます。このような身体の皮膚の反応を探しそこにお灸をすえる,心地よい温かさがじんわり伝わりリラックスする,そんなちょっとした動作が自分に対するいたわり効果として人気を呼んでいるのだと思います。
お灸そのものも火を使わないタイプのものや花の香り,緑茶の香り,木香の香りなどまるでお香を焚いているような女性向けに香りを楽しむお灸など用途や好みに合わせていろいろな種類のものがあります。
一般的に鍼灸院やドラッグストアなどで購入できるお灸は誰でも気軽に行えるように安全面にも配慮したものがほとんどとなっています。「台座灸」はもぐさを和紙で包んでパルプの上に載せたもので,燃えているもぐさが肌に直接触れることがないので火傷をする可能性が少なく,熱さもほんのり温かいものから段階別に取り揃えられています(写真2)。
お灸に関する書籍も豊富に出回っており,「お灸女子一年生」「美肌お灸」「お灸で冷えとり」「妊活お灸」「たのしいお灸」などタイトルも女性の目を引くものが沢山あります(写真3)。お灸のパッケージも雑貨のようにカラフルな可愛いデザインであることも女性に興味を持ってもらえる一つとなっているようです(写真4)。
お灸は,冷えや凝りに特に効果がありますが,お灸を続けていたらなんだか肌色が明るくなったとか,顔のむくみが取れて小顔になった気がするとか,顔つきが優しくなったと人に言われた,など女性にとってとても嬉しい変化がおこり,美容の面からも見直されるようになってきました。ツボを温めることで得られる身体の変化は,まず見た目に現れやすく健康そうに見えるということが美容にとって一番大切なことだと認識できる一面でもあります。
自分の肌をよく見つめてそっと撫でることが習慣になり,さらにツボを探すことが楽しみになることでしょう。お灸をすえるたった5分のリラックスタイムが元気の源となり,毎日簡単にできるセルフケアとして,ますます広まってくれることを願っています。
さらに美容の面からも,ツボを温めるお灸の習慣が病気を防いで,健やかな「かごしま美肌美人」がもっともっと増えてほしいと思っています。

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