新年度のはじまる4月は,人生の節目の季節です。3月に銀婚式を迎えた我が家は,3人の子どものうち,4月から2番目の長女が管理栄養士として就職し,末息子も大学へ進学するため,子育てが新たなステップに突入した感じです。
誌上ギャラリーは,相良有一先生のさっぽろ雪まつりの「ライトアップされた氷の寺院」でした。3年前,雪まつり開催直前の札幌を訪れた時に会場を見学しましたが,重機を使っての雪積みや足場の上で多くの人が働いている雪像の巨大さに感嘆した思い出があります。
挨拶はお三方で,鹿児島大学大学院先進治療科学専攻神経病学講座神経解剖学分野に着任された柴田昌宏教授の就任挨拶が最初です。先生の研究のさらなる発展を祈念しております。今村正人前副会長勇退に伴って生じた欠員補充選挙で就任された新名清成副会長と古謝将一郎理事は,挨拶の中で医師会病院経営改善について抱負を述べておられます。
論説と話題は3題です。一つは,医師会病院の大腸がん治療に関する嬉しい話題でした。日本経済新聞社の実力病院調査で,私たちの医師会病院が県内は唯一,全国ベスト50に入り,しかも東京都立墨東病院,NTT関東病院に次ぐ高い評価でした。診療部長の大迫政彦先生をはじめとするスタッフの真摯な診療の賜物と思われます。この報告でさらに症例が増える事を期待します。もう一つは,日本医師会医療情報システム協議会の報告で,前半はマイナンバー(社会保障・税番号制度)に関するシンポジウムでした。それぞれの役所が管轄している年金,医療,介護,税務といった個人情報を共通番号で一元的に管理して行政事務を大幅に簡素化し,ミスのない公平で効率的な行政サービスの実現を目指した制度ですが,情報漏洩,なりすましによる詐欺被害などが懸念されます。日本医師会は,医療関係用にマイナンバーとは別の共通番号を使用して情報漏洩などを防ごうという立場で提言をしています。後半は病診連携に成功した地域からの報告でした。全国の医療機関で共通形式の電子カルテを利用し,患者さんを共通番号で管理すれば,どこの医療機関でも病歴や治療歴を確認することができて,災害時にも避難先でも迅速に適切な治療を受けることができる究極の病診連携の時代が来るのもそう遠くないのかもしれません。
各種報告の中にある学校保健講習会に関連して,内科校医の先生に大切なお知らせが2つあります。一つは健診内容の変更で,座高と寄生虫の有無の検査が必須項目から削除された一方で,運動器に関する検査が必須項目になります。運動器健診方法については日本医師会の学校保健委員会等にて検討中で,整形外科専門医でなくても簡便で的確な診断ができる方法が,年度内には発表予定です。もう一つが,学校におけるアレルギー疾患への対応です。文部科学省は3月に県・市町村教育委員会経由で各学校に学校給食における食物アレルギー対応指針,学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン要約,研修用DVD,エピペントレーナーを配布しました。また,本県教育委員会のホームページには,アレルギー疾患検討委員会で検討していた本県独自の「学校のアレルギー疾患に対するQ&A」と「食物アレルギー緊急時対応マニュアル」が発表されています。4月以降,学校現場でのアレルギー疾患対応,特に食物アレルギー・アナフィラキシーに関して研修を学校保健委員会,衛生委員会等で行う必要が出てくるものと思われますので対応をよろしくお願いします。
鹿市医郷壇の選者をお務めいただいた永徳天真先生の突然の訃報に際しまして,これまでの永きに亘るご指導に感謝申しあげ,心よりご冥福をお祈りいたします。
いよいよ,春本番,気温は上がりますが湿度が下がります。洗濯物が良く乾けば,もちろん,私たちの肌も乾きますので,冬以上に保湿を怠らずに健やかな肌を保ってください。
(編集委員 島田 辰彦)

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