=== 年頭のあいさつ ===

年 頭 の ご 挨 拶
会  長

     猪鹿倉 忠 彦

 新年明けましておめでとうございます。
 会員の皆様方には,ご家族はじめ医療施設の職員の方々ともども,晴れやかなお気持ちで,新しい年をお迎えのことと,お喜び申し上げます。
 本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。

 昨年の6月末に,鹿児島市医師会長2期目を拝命し,瞬く間に半年が経過いたしました。昨今,日本の医療情勢は一段と厳しくなり,それらは鹿児島市医師会を取り巻く状況はむろん,地域医療へも大きな影響を及ぼしています。総じて慌ただしい一年であったように思えます。しかしながら,新年のあいさつに際し,鹿児島市医師会の昨年を振り返りつつ,そして今年の抱負につなげたいと思います。
 まず昨年1年間は,巷では豪雨災害,猛烈な台風の災害,そして火山の噴火災害などの自然災害の脅威に曝されつつ,4月からの消費税増税,円安基調や財政の不安定さ,原発問題の紛糾などあまりいいニュースは聞かれませんでした。また,少子高齢化社会の脅威が叫ばれ,それに伴う社会医療情勢もさらに厳しさを増し,4月の診療報酬改定では決して満足のいくどころか,結局は不満が残るという結果でした。また,病床機能報告制度が取り入れられ,来年の地域医療構想へのお膳立てがなされ,さまざまな不安と危惧が脳裏を横切ります。しかし,日本医師会では,横倉会長が2期目を善勝なされ,「組織を強くする,地域医療を支える,将来の医療を考える」という理念の下,地域医療の活性化と安定化に日医執行部の強さがさらに期待されたことは,唯一のポジティブなニュースでありました。
 鹿児島市医師会は,公益社団法人になり早くも3年目に入りました。法人運営としては大きなトラブルはなく,比較的スムーズに運営されていると思いますが,公益法人の規定上,役員の任期は2年までとなっており,また日医や県医と任期を合わせる必要性から,前々期が1年3カ月,前期が1年と任期を小分けにせざるをえず,1年の任期満了による今回の選挙をもって,ようやく今まで通りの2年の任期に落ち着きました。公益社団法人での役員選挙は代議員による選挙で,それだけに代議員の役割と意義が今まで以上に重要になります。前回は14人の公募が充足せず1人欠員の13人で法人規定ギリギリの人数でしたが,今回の選挙でも同じく13人となりました。どうしても個人の医療施設の業務が忙しく執行部を続けられなくなった4人の役員が,入れ替わりました。いずれもベテランであっただけに残念でしたが,理事のご経験をもとに地域医療や支部会活動など,今後もさらにご活躍なされるものと祈念いたしております。
 ところで,鹿児島市は人口60万の都市で,これは全国の市と行政区を入れても二十数番目の規模です。一方,鹿児島市医師会は会員数1,450人以上,医療施設数500もの入会を抱え,九州首市の中でも福岡市に次いで2番目に大きい市医師会です。また地域エリアも広く,その構成規模から各共同利用施設の運営,救急,地域医療や介護保険,産業保健,学校保健業務をはじめ,市や県の保健福祉衛生業務にも多く関与し,役員の各担当業務量も年々増えております。しかし,現在の役員数が公益社団法人の定款上の定数(13人)ギリギリですので,何らかの理由で1人でも欠員になると,直ちに選挙をせねばならなくなります。やはり体調維持や健康管理,安全管理にはくれぐれも留意したいところです。
 鹿児島市医師会病院は,昨年6月に開設30周年を迎え,7月5日には鹿児島サンロイヤルホテルで開設記念式典と祝賀会を執り行いました。多くの会員の先生方をはじめ,日本医師会の横倉会長,大学関係や行政福祉関係,各医師会関係と,多くの方々にご臨席いただきました。その節は大変ありがとうございました。記念式典・祝賀会の詳細は,鹿児島市医報平成26年8号,9号,平成26年度医師会病院誌第30号(30周年記念特集号)をご覧ください。
 当医師会病院は,昨今の医師不足や診療の偏り,そのニーズの変遷の影響を強く受け,ここ数年の間に急激にその経営状況が不安定になっていることはご存じだと思います。これは他県をふくめ多くの郡市医師会立の病院でも同じ状況かと推察いたしますが,市内はもちろん総体的な県下の医療体制の安定的発展のためにも,まずはここ数年で過去にない厳しい状況に至った,当医師会病院の経営建て直しが必須だと思います。悔しくも小児科や産科の閉科を余儀なくされ,その他にも呼吸器科やICUなど診療科のカバーにも影響が出ましたが,目下,既存病棟の再編成を行い,緩和ケア病棟や地域包括ケア病棟の新設や急性期リハビリテーションの強化,外部のコンサルタントの助言など,新たな対応と経営改善策を企画し鋭意取り組んでおります。しかしながら,これらは,医師会病院の収支バランスを支えるための一助であり,医師会病院の存在意義は,会員の医療施設との連携を第一に,地域医療の中で会員の先生方からの急患を受け入れるのが本来の姿であり,それは循環器疾患,腹部疾患,婦人科疾患,神経疾患,呼吸器疾患など内科系外科系さまざまな幅広い分野をカバーすることが本体であります。目下,先の取り組みに加え,病院長の権限を強化すべく院内に企画室を置き,医療連携・相談室の機能強化などふまえ,院内のスタッフの取り組み方,考え方,モチベーションの向上など,理事会も含め全員体制で臨むよう努力しております。10年後の2025年でも当医師会病院が地域医療の中で必要とされ続けるように,またその頃には新病院建て替えの構想を具現化していかねばなりません。これは院内スタッフから出された将来目標でもあります。これを目指して,5年後,3年後の中期,短期目標,そして1年後の極短期目標を設定して,鋭意取り組んでおります。何とぞご理解の上,さらなるご利用やご紹介の促進をお願いいたしたいと存じます。一方で,市立病院の新築移転や大学病院の救急医療への参画,など鹿児島医療圏の再構築も話題になっておりますが,これら公的病院との連携をさらに深め,またその機能を相互に補完しながら,会員のための医師会病院としてのあり方,その存在意義と価値をしっかり再確認しつつ,会員の医療施設との関わりと併せて,積極的に臨んでいかねばならないと考えております。また,マンパワーの充足には,独自の召喚も可能なかぎり努力せねばなりませんが,やはり地元の鹿児島大学各医局のご理解とご協力が不可欠で,そのためにも若手あるいは専門職の教育研修機関としての魅力性,機能性を十分に整備しアピールしていく必要もあると感じております。今後も医師会病院の安定化,各種連携,会員と地域医療貢献へのアイデアなど,率直なご意見をいただけましたら幸いです。
 最後に,待ちに待った新鹿児島市医師会館が11月末に予定通り竣工し,12月2日に引き渡しを完了,12月14日(日曜)に新会館の見学会ならびに落成記念式典がめでたく挙行されました。その節は多くの方々にご来場いただき,大変ありがとうございました。建設に際し,会員の先生方には何かとご心配やご苦労をおかけいたしましたが,晴れて立派な会館が建立されましたことも,先生方のご厚情の賜物であると,心よりお礼申し上げます。事務局は12月中に引っ越しを完了し,当医師会館の行事での供用は平成27年1月5日(月曜)の年始会からとなっております。1階は屋内駐車場(約30台)とエントランス,2階は事務室,小会議室,産業保健センターなど,3階はパーテーション式の大会議室(約270人収容),中会議室(約80人収容)などとなっています。鹿児島市医師会にふさわしい,とてもモダンで明るく,使い勝手のいい会館に仕上がっております。今後も鹿児島市医師会会員の皆様方の交流の場として,末永く親しまれますことを祈念いたします。
 今年の干支は未年です。「未」とは,果実が熟し切っていない状態,もしくは味が生じ始めた状態をいうそうです。また,未(ひつじ)は,めでたい善良な動物の代表で,群れをなして穏やかに行動します。干支の未(ひつじ)にもあやかり,われわれ医師会にとっては,会員の先生方と一致協力して,またさらに各関係の連携を深めることで組織を強化し,地域医療を支え守り,地域医療の将来を考え,正しい方向へ導いていくことを共通の理念として持つ,専門集団として臨めば,より安定した地域医療へと発展していくものと信じております。多方面の動向をしっかりと見据えつつ,会員のための医師会として,そして,地域医療のための医師会として,恥ずることのなきよう,今年一年,誠心誠意臨んで参りたいと決意する次第です。
 年始にあたり,医師会と地域医療の力強い発展,そして皆様方のさらなるご多幸とご健勝を祈念しつつ,本年も何とぞよろしくお願い申し上げます。



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