天
上町支部 吉野なでしこ
まこて狡じ線内ゆ走っ一等賞
(まこて狡じ せんなゆはしっ いっとうしょ)
(唱)やい直しじゃちやれ野次が飛っ
(唱)(やいなおしじゃち やれ野次がつっ)
運動会のシーズンです。徒競走やリレーは、単純に走るだけですが、その速さに魅了される花形の競技です。
選手は一生懸命ですが、中にはカーブで白線をはみ出して内側を走る人もいます。偶然か故意かは分かりませんが、この明らかなルール違反に見物人もざわつきます。腹立ちの気持ちが出ています。
地
城山古狸庵
狡じ議員空出張で荒稼っ
(狡じ議員 空出張で あらかせっ)
(唱)こんがんたれを選んだた誰
(唱)(こんがんたれを 選んだただい)
国や地方公共団体の議員は、行政の審議、議決をする人で、それぞれ選ばれた国民・県民・市民・町民・村民の代表者として、安心・安全・豊かな社会の実現のために頑張ってもらっています。
しかし、利権に溺れて私腹を肥やす人々も跡を絶ちません。高い信念で、議員としての責任を果たしてほしいものです。
人
清滝支部 鮫島爺児医
ママは狡じ愛嬌は良どん高け勘定
(ママは狡じ あいきょはえどん たけかんじょ)
(唱)もう来ん思もがまた足す向けっ
(唱)(もうこんともが またあすむけっ)
今はもう夜の天文館を歩いても、会合終わりの居酒屋での二次会ぐらいですので、ホステスさんのいる飲み屋に行ったのもずいぶん過去のことで、懐かしいです。
どうやら美人のママがいる高級店のようですが、楽しく飲ませてもらった後の気になる勘定です。その場面の客の気持ちが、おもしろく表現されています。
五客一席 紫南支部 紫原ぢごろ
今めなっせ尖閣く主張あ狡じ話
(いめなっせ せんかくしゅちょあ 狡じ話)
(唱)またおっ盗ろち欲が突っ張っ
(唱)(またおっとろち よっがつっぱっ)
五客二席 紫南支部 二軒茶屋電停
そういえばおった号泣狡じ議員
(そういえば おった号泣 狡じ議員)
(唱)まこて茶番で呆れっぱなし
(唱)(まこて茶番で あきれっぱなし)
五客三席 印南 本作
半分こじゃって狡じ兄貴沢山取っ
(半分こ じゃって狡じあにょ うごっとっ)
(唱)文句を言うと食わす拳骨
(唱)(文句をゆうと くらわすとっこ)
五客四席 清滝支部 鮫島爺児医
狡じ課長部下ん仕事つば我が物しっ
(狡じ課長 部下んしごつば わがてしっ)
(唱)いっも横取い性根が悪りど
(唱)(いっもよこどい しょうねがわりど)
五客五席 城山古狸庵
狡じ国が俺が島じゃちきし吐えっ
(狡じくんが おいが島じゃち きしかえっ)
(唱)先延ばしじゃろ平和解決
(唱)(さっのばしじゃろ 平和かいけっ)
秀 逸
清滝支部 鮫島爺児医
狡じ休ん診断書をちだっきょ面
(狡じやすん 診断書をち だっきょづら)
じゃいけんないっも後出し狡か奴
(じゃいけんな いっもあとだし えじかわろ)
選挙でな少た狡じ奴が強えごあっ
(選挙でな ちった狡じとが つえごあっ)
狡じ勝負ち判定負けん髷掴ん
(狡じしょっち 判定負けん まげつかん)
紫南支部 紫原ぢごろ
割勘ぬ払るわじ狡じ奴先き帰っ
(わいかんぬ はるわじ狡じと さきもどっ)
正直者狡じ事つしたや寝苦すし
(しょじっもん 狡じこつしたや ねぐるすし)
仕事ちゃせじ議をきし吐す狡か奴
(しごちゃせじ ぎをきしかやす えじかわろ)
上町支部 吉野なでしこ
まこて狡じ終い頃れなっ顔を出っ
(まこて狡じ おわいこれなっ つらをでっ)
狡じもんじゃ何度も並るっ余計貰ろっ
(狡じもんじゃ 何度もなるっ よけもろっ)
城山古狸庵
法案ぬ狡じ手を使こて通過らせっ
(法案ぬ 狡じ手をつこて とおらせっ)
保証金ぬ狙ろたか退かん狡か奴
(ほしょきんぬ ねろたかのかん えじかわろ)
川内つばめ
狡じ事で勝った試合じゃ晴れん顔
(狡じこっで 勝った試合じゃ はれんつら)
印南 本作
狡じこっと賢てこちゃそんた紙一重
(狡じこっと かてこちゃそんた 紙一重)
薩摩郷句鑑賞 79
書留が泥足す畳み這わせっ
(かっどめが どろあすたたみ すぼわせっ)
筧 三平
裸足になって、農作業をしているところへ、書留が届いたのであろう。受領印を押さねばならないのだけれど、足を洗う暇がないので、畳を這っていって、印鑑を取ってきたのであろう。
出稼ぎに行っている主人からか、よそで働いている息子からの送金かであろう。受け取る人の顔も目に浮かんできて、ほほえましい農村の情景である。
親子リレ女房はブラジャを締め直えっ
(親子リレ かかはブラジャを しめなえっ)
鹿児山亜喜緒
小学校の運動会では、たいていの学校で、「家族リレー」とか、「親子リレー」などという名のリレーがあるところが多いと思う。
昔とった杵柄とばかりに、勇んで出たものの、足がいうことを聞いてくれなかったり、せっかく子どもからトップのバトンをもらいながら、見る見るうちに追い抜かれてしまったり、なかなか観衆を沸かせる競技である。
この句は、その親子リレーに出る母親の張り切りぶりを、実にユーモラスに詠んでいる。
流鏑馬に黒すまだった高山豊祭
(やっさんに 黒すまだった こやまほぜ)
抜水 凡凡
高山町(現 肝付町)の四十九所神社では、今日は流鏑馬が行われる。射手は中学生が選ばれるが、数日前から潔斎し、当日は昔ながらの装束で、儀式のあと、宮ん馬場を馬を走らせながら的を射る。
これを見るために、たくさんの見物人が押しかける。「黒すまだった」というのは、この場合「まっ黒くなるほどの人だかり」というような意味。
※三條風雲児著「薩摩狂句暦」より抜粋
薩 摩 郷 句 募 集
◎12 号
題 吟 「買物(けもん)」
締 切 平成26年11月5日(水) ◎新年号
題 吟 「料理(じゅい)」
締 切 平成26年12月1日(月)
◇選 者 永徳 天真
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892-0846
鹿児島市加治屋町三番十号
鹿児島市医師会 『鹿児島市医報』 編集係
TEL 099-226-3737
FAX 099-225-6099
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