編集後記


 先日,知人が台湾旅行に行くというので,お土産に“肉鬆”(ロウソンと読むらしい)をせがんで買ってきてもらいました。これは豚肉で作ったでんぶ様のふりかけのようなもので,台湾ではごくポピュラーな食べ物だそうです。子どもの頃に台湾土産でもらってあまりの美味しさに感激した記憶があり,今回も楽しみにしていたのですが,いざ食してみると「ん?・・」。買ってきてくれた知人はあまりに普通過ぎて土産店に置いておらず,結構探した上,しかも高級品を買ってきたとのこと。自分の味覚が贅沢になったせいでしょうか?子どもの頃の思い出が一つ消えたような気がして寂しい気分になりました(少し大げさですかね)。
今月の「誌上ギャラリー」は山口淳正先生より“初秋”と題して熊本県山鹿市菊鹿町の風景を収めた作品をいただきました。手前の草原と遠くの山裾に咲く彼岸花の鮮烈な紅色が印象的な一枚です。
「論説と話題」では7月5日に開催されました鹿児島市医師会病院開設30周年記念行事に関しまして,鹿児島市医師会病院の近況報告を園田院長から,また昨年から新設されました緩和ケア科について,岩本先生からご紹介いただきました。特に緩和ケア科については今後も一層力をいれるようですので,会員の先生方にも是非ともご利用をお願いいたします。また,牧先生より7月26日に東京で行われました“日本医師会第10回男女共同参画フォーラム”についてご報告いただきました。発足から10年目の節目の年であり,過去の取り組みの評価と今後の課題についての活発な討議がなされたようです。
「医療トピックス」では中島先生から“心房細動患者における血栓塞栓症の発症を抑制する薬剤”についてご紹介いただきました。最近,従来のワーファリン療法に替わってでてきた薬剤ですが,予防効果も高く,凝固系のモニタリングや食事制限も不要とのことで,急速に普及してきています。それぞれの特徴についてわかりやすくご紹介いただき大変参考になりました。
「学術」では7月11日の市内科医会例会で自治医大消化器内科の大澤博之先生にご講演いただいた“患者目線から考える上部消化管内視鏡における画像強調診断”を掲載させていただきました。また,鹿児島医療センター血液内科の大恊謳カから“AIDS関連カポジ肉腫の2症例”をご紹介いただきました。HIV感染患者の合併症として非常に有名な病態ですが,HIV感染患者の増加に伴って,今後一般診療でも経験する可能性もあり,このような詳細な経過報告は大変参考になります。ありがとうございました。
「随筆・その他」では2人の先生からご寄稿いただきました。古庄先生からは【ダウン症と嚢胞性線維症】と題して3枚が紹介されています。毎回珍しい切手のご供覧ありがとうございます。鹿児島大学附属病院メンタルケアセンター神経科精神科の春日井先生からは“うつ病診療について思うこと”と題してご寄稿いただきました。最近では一般内科などでも診る機会が多いようですが,専門医の診断・治療の重要性やプライマリでの安易な薬物治療の危険性などを解説いただき,反省するとともに大変参考になりました。
「鹿市医郷壇」9号の題吟は「がっつい」でした。いつも洒落の効いた楽しい作品のご投稿ありがとうございます。
 去る7月12日に肥後公彦先生がお亡くなりになりました。「訃報」の欄にもありますように,開業以来の永きにわたって地域医療に尽力され,また市医師会活動にも精力的に力を注がれた先生でした。同じ中洲支部でもあり,日常診療での相談や,また私が市医師会の代議員一年生だったときも先輩としていろいろご教授いただき大変お世話になりました。まだ62歳と若すぎるご逝去を悼むとともに謹んでご冥福をお祈りいたします。

                                   (編集委員 寺口 博幸

                                              

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