天
紫南支部 紫原ぢごろ
朝帰いがっついの事ちゃ言わならじ
(あさもどい がっついのこちゃ ゆわならじ)
(唱)関係や無かが友人の名を出っ
(唱)(かんけやなかが どしの名をでっ)
若い頃、オールナイトの映画を観たり、徹夜マージャンをしたり、台風が来て天文館で一夜を過ごしたりして、朝帰りをしたことを思い出します。
この句は既婚者でしょうが、朝帰りの理由を正直に言えないということは、何か事情がありそうです。もっともらしい嘘も方便で、秘密を守ったのでしょう。
地
印南 本作
腹が減っ時計やがっつい十二時じゃっ
(腹がへっ とけやがっつい じゅにしじゃっ)
(唱)時報代わいで鳴い腹ん虫
(唱)(時報がわいで ない腹ん虫)
食事のとり方も人それぞれで、三食が一般的ですが、朝食や昼食をとらない人もいれば、間食の多い人もいます。
病院食は、決まった時刻に配られてくるので、規則正しい食事ができていますが、この病院食のように日常きちんと食事をしている人は、空腹になると腹の虫が鳴いて、時刻を知らせるのでしょう。
人
城山古狸庵
がっついの予算で締めた名幹事
(がっついの 予算でしめた 名幹事)
(唱)また頼んどち肩どん叩てっ
(唱)(またたのんどち 肩どんたてっ)
歓迎会、歓送会、懇親会や、今流行りの合コン、女子会などでの食事会では、幹事の役割が大きいです。予算、日時、場所、人数の決定、手配や連絡などと、まとめ役の仕事は大変です。
予算内で、出席者も満足の楽しい食事会ができてお開きとなりましたが、これも幹事のお陰で、ご苦労様と感謝です。
五客一席 清滝支部 鮫島爺児医
がっついち会わせっみたや出来た仲
(がっついち あわせっみたや でけた仲)
(唱)順調い交際結婚も近け
(唱)(じゅんちょいつっけ 結婚もちけ)
五客二席 上町支部 吉野なでしこ
持っ合わせがっついあっせぇほっとしっ
(もっあわせ がっついあっせぇ ほっとしっ)
(唱)汗を掻たどん恥ず掻かじ済ん
(唱)(汗をけたどん はずかかじすん)
五客三席 紫南支部 二軒茶屋電停
がっついち言っ釣銭ぬちょろまけっ
(がっついち ゆっついせんぬ ちょろまけっ)
(唱)こんた駄賃ち平然したもん
(唱)(こんた駄賃ち しれっしたもん)
五客四席 紫南支部 紫原ぢごろ
一円もがっつい計算消費税
(一円も がっついさんにょ 消費税)
(唱)一円硬貨で財布あ膨れっ
(唱)(一円ドロで ふぞあふくれっ)
五客五席 城山古狸庵
末子いがっついじゃった長男が服
(しったれい がっついじゃった すよがふっ)
(唱)こいも倹約家計や助かっ
(唱)(こいもけんやっ かけやたすかっ)
秀 逸
清滝支部 鮫島爺児医
爺様と孫はがっつい友人しけなっ
(じいさまと 孫はがっつい どしけなっ)
ロケットはがっつい0で発射しっ
(ロケットは がっついゼロで 発射しっ)
五七五がっつい合わにゃ郷句には駄目
(ごうしちご がっついあわにゃ くにはぼっ)
紫南支部 紫原ぢごろ
爺の浴衣孫いがっつい夏祭い
(じの浴衣 孫いがっつい なつまつい)
城山古狸庵
禿親父じがっつい似ちょい息子が頭
(はげおやじ がっついにちょい こがびんた)
上町支部 吉野なでしこ
子い買とはがっついよっか大か服
(子いことは がっついよっか ふとかふっ)
川内つばめ
俺が一張羅がっつい合うち子の寝巻
(おいがふっ がっついおうち 子のねまっ)
作句教室
破調句にならないように
今月の題は「がっつい」で、丁度・全く・きっかり・ほんとうになどと、広く意味があります。
このことばは、文字の数が四なので、作句では上五・中七・下五のどの位置にもってくるかが限られてきます。下五には使えないので、上五か中七で使うことになりますが、中七で使われている句の中に、今回次のような中八となっている字余りの句がありました。
「がっつい計算(さんにょ)し」
「時計はがっつい」
「がっついはがいち」
「がっついじゃったち」
中七にするためには、「がっつい」が四文字ですから、残り三文字のことばをつなげて表現しなければなりません。破調句は許されませんので、ことば選びの推敲が必要となります。なかなかつなげることばが浮かんできませんが、この難所を突破するところに句作りの達成感があるでしょう。
安易な字余りや字足らずを避ける努力を惜しまず、五・七・五の調子の良いことばでの句作りを心掛けることが大切だと思います。
薩摩郷句鑑賞 78
髪む染めっみてんやっぱい五十顔
(かむそめっ みてんやっぱい ごんじゅづら)
重久自在鈎
人間だれでも年はとりたくないし、いつまでも若々しくしていたいというのが人情である。髪が白くなれば染めたくもなろうし、毛がうすくなれば、かつらでもかぶりたくなるだろう。
しかし、いくら髪を染めてみても、五十歳の顔そのものはどうにもならない。「やっぱり五十顔」に、さびしさがあり、ため息がある。そしておそらく、外見を繕うことより、五十歳は五十歳なりに生きようと思ったのであろうし、心まで老けこむまいと考えたのであろう。
※三條風雲児著「薩摩狂句暦」より抜粋
薩 摩 郷 句 募 集
◎11 号
題 吟 「恥ね(げんね)」
締 切 平成26年10月6日(月)
◎12 号
題 吟 「買物(けもん)」
締 切 平成26年11月5日(水)
◇選 者 永徳 天真
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892-0846
鹿児島市加治屋町三番十号
鹿児島市医師会 『鹿児島市医報』 編集係
TEL 099-226-3737
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