桜が咲くこの季節,私の周りでも若い人たちが進級,進学,あるいは就職と,希望に満ちた新生活をスタートします。先日,市立病院では2年目臨床研修医の壮行会が開かれました。院長はじめ指導医たちのエールを受けて各々の抱負を熱く語る研修医十数人の姿に,私はかつての自分を重ねて自身の来し方を顧みていました。全国で後期研修医たちが一斉に旅立ちます。かれらの今後の健闘と活躍を応援したいものです。
さて,今号の「誌上ギャラリー」は世界遺産にも登録された熊野古道です。宇根先生にいただいた写真からは,何やら近寄りがたい幽遠な趣が醸し出されています。
井戸先生と吉浦先生から鹿児島大学大学院医歯学総合研究科教授就任のご挨拶を,島本先生からは鹿児島市刀圭会会長就任のご挨拶をいただきました。
「論説と話題」では日本医師会館で行われた「平成25年度日本医師会医療情報システム協議会」において,オンラインレセプトシステムや医療情報のIT化の現状と課題について,多数の講演と活発なディスカッションが行われたことが報告されました。医療環境のIT化とネットワーク化が今後ますます進んで効率化される一方で,個人情報保護やシステムの安全性の確立には十分な対策が施されてほしいものです。
「医療トピックス」では「大腸癌治療ガイドライン2014年版」で推奨される経口抗がん剤が増えたことを受けて,大腸癌補助化学療法における適応の原則,投与期間,使用可能な経口抗がん剤などが紹介され,経口抗がん剤が患者のQOL向上に資することに加えて治療における患者教育の重要性も指摘されました。
「学術」には米盛先生から術前検査で診断し得たまれな胃石によるイレウス症例が,徳浦先生からは頭蓋内両側椎骨脳底動脈解離による脳梗塞症例が供覧されました。いずれも的確な診断に至るまでの緻密な画像解析のプロセスが示されています。
「医師会病院だより」では徹底した安全管理を実践している高気圧酸素治療部の現況が紹介されました。
「切手が語る医学」には普段なかなか目にすることができない珍しい海外の医学切手を毎号ご紹介いただき,古庄先生には心より感謝申し上げます。
「リレー随筆」は池田先生から「顔は口ほどに嘘をつく」と題してご寄稿いただきました。顔の表情と感情について先生ご自身のご経験や心理学の書物なども交えて,さまざまな視点から感情について考察されています。日頃,殊に感情が顔に出やすい私にとっては,たいへん示唆に富んだ内容でした。
「区・支部だより」では各区・支部会の議題に加えて,楽しそうな新年会の様子なども報告されました。
「各種報告」では,「平成25年度母子保健講習会」で「成育基本法」設立を願う講演と「産科医療補償制度」の現状と成果についての講演とシンポジウム,また「平成25年度学校保健講習会」での「学校健康教育行政の課題」と「学校保健における食物アレルギー対策」についての講演などが報告されました。
「鹿市医郷壇」では今後も多くの会員の先生に,アイデアと知性にあふれたユニークな作品を奮ってご投句いただけますようお願い申し上げます。
いよいよ4月から消費税増税と診療報酬改定が始まります。医療環境はとかくネガティブな雰囲気ですが,希望に燃える若い医師たちを迎えるにはポジティブな気持ちで新年度に突入したいものです。さあ,甲突河畔の桜は今年も満開です。
(編集委員 森岡 康祐)

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