=== 随筆・その他 ===
ウ ロ 溢 流 逸 話
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伊佐市医師会
(水間病院) 水間 良裕
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ウロ医で,わりに社交的であると自分では思っている。住友金属鉱山(菱刈金山)の産業医もしていて,午前中ウロ医,午後金山医,夜会合の二次会で下ネタ医。
これを「三きん交代と言う」と数年前にある会報に書き,もっとまじめにやれと,やんわり諭された記憶がある。55歳の今は,何ともない。
昨年暮れ,午後4時頃,外来からコールのピッチが鳴った。私は血尿の入院患者さんのボーセンをしていたので,少しお待ちいただくように伝え,4時半頃足早に外来へ向かった。
アラエイティーの患者さんがきちんと私の常席の3番外来の前で待っていらっしゃる姿が,一瞬のシャッター音とともに目に刻みこまれたように思えた。
「どうぞお掛けください」と声をかけた。少し沈黙の後,「センセイ,ゼンリッセンミギ,チュウモンハ,ナカトナ」と言われた。
外来看護師とともに,私の目が点になっていた。この方はもしかして,前立腺の右葉と左葉をご存じなのかと思ったが,数秒後「センセイハ,アタイニ,ゼンリッセンヒダイト,イヤッタ。ゼンリッセンミギ,チュウモンハナカトナ」と若造を諭すようにおっしゃった。
LeftがあるならRightもあると考えていらっしゃったのだった。少しshort memoryの低下はあるが,私も似たようなものだ。
なんて,熟思される方だろうと思い,その数日後,ウロ地方会後の忘年会で皆に聞いたが,ウロの中川教授も含め,誰もこの質問を受けた経験が無かった。
座は和み,ウロ医はみな笑いながらも何か考えているようだった。PSAの値や,残尿の有無などがほろ酔いの脳裏に浮かんだのだろうか。
4週に1回,この方がお見えになるたびに,何か温かくなり,ウロで良かったなと思う。

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