編集後記


 認知度は低いですが11月12日(イイヒフ)は「皮膚の日」です。全国各地で皮膚についての正しい知識の普及と皮膚科専門医療に対する理解を深めるために啓発活動が行われます。鹿児島でも3年前から無料市民公開講座を開いており,今年は11月9日,10日にかごしま県民交流センターで開催される日本皮膚科学会西部支部学術大会の市民公開講座2で私が若々しい肌を保つための秘訣を話す予定なので興味のある方はご来場ください。
 誌上ギャラリーは大勝先生の「イワン大帝の鐘楼」です。鐘楼は高さ86メートル,当初はモスクワで一番高い建物で見張りの塔の役割も兼ねたそうで,クレムリン(ロシア語で城壁という意味)の一角にそびえ立っています。その地域は世界遺産になっているので,大勝先生は楽しい観光をされた事でしょう。
 論説と話題は九州首市医師会連絡協議会の報告です。私も長年携わっている学校保健では,学校医の確保,検診業務,行政との業務提携など共通の問題がある事が分かりました。学校保健現場におけるアレルギー疾患に対する取り組みについて,医師会の委員会から行政に働きかけてもらっていますが,今年度はやっと県で始動しただけで市ではまだ動きがありません。
 くすり一口メモは,肝機能障害患者さんへの薬物投与時の指標になるChild-Pugh分類を解説していただきました。今後,薬剤の添付文書にはこの分類を用いた用法・用量の記載が増えそうなのでこの機会にしっかり勉強をしましょう。
 学術にある内科医会9月例会の抄録は,呼吸器感染症に対するマクロライド系抗菌剤の役割です。すでに耐性菌が8割と言われているのにも関わらず,今でも抗菌活性が十分に認められる理由は抗炎症作用をはじめとする作用で説明できるようです。また,これまでの原因微生物の除菌を主眼にした治療方法と一線を画したヒト−微生物−抗菌薬の3者の相互作用を考慮した新しい感染症の治療戦略の可能性にも言及されています。
 随筆・その他には5つの投稿がありました。古庄先生の医学切手はパストゥールが弱毒狂犬病ワクチンを発見した事にちなんだ救助犬との記念切手などの紹介です。常連の鮫島先生の美しかった錦江湾は,ついに3回目で私も在住している市内南部地区です。40年前から住んでいる私でさえ,驚く程の変貌をとげている地区なので,さらにその前をご存じの先生からすれば,その驚きはいかばかりでしょうか。小田原先生の医師法21条の本質と厚労省医療事故調の問題点は,以前,代議員会で先生が話しておられた問題についての詳細な解説と今後の展望でした。リレー随筆は牛島先生のサッカー人生についてでしたが,今でも現役というのは凄いですね。
 各種報告で気になった話題は2つで,一つ目が代議員懇談会です。猪鹿倉新会長の提案で開催され,執行部からは業務執行状況について,県医師会からも池田琢哉会長,野村秀洋副会長が出席して谷山の県農業試験場跡地問題についての説明がありました。詳細については各区選出代議員にご確認ください。
 もう一つが南先生の第19回日本保育園保健学会の食物アレルギーのシンポジウムの要約で,昨年12月に東京都調布市の小学校で粉チーズ入りチヂミを食べた女児がアナフィラキシーショックで死亡した不幸な事故が発生した事もあり,保育現場での対応の大変さがうかがわれる内容でした。
 温暖化の影響で冬到来が年々遅くなっているように感じます。そのため,冬の洋服の中で一番好きなハリスツイードのジャケットの登場する時期が随分遅くなり,結果,着られる時期が短くなってちょっと残念です。皆さんも思い思いのお洒落をして鹿児島の短い冬を楽しくお過ごしください。

                                   (編集委員 島田 辰彦
                                  
                                              

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