天
紫南支部 紫原ぢごろ
セクハラち冗談くものわる言て大騒動
(セクハラち わやくものわる ゆてうそど)
(唱)後の祭りじゃつまらん言こっ
(唱)(後の祭りじゃ つまらんちゅこっ)
投句者の十名中三名が、冗談とセクハラに関わる句を詠まれていました。それほど関心の高い、身近な題材です。
「ものわる」とは、うかつに、考えなしにという意味の方言です。冗談を言う方と言われる方では立場が違います。セクハラになる冗談だとしたら、軽率だったということです。注意したいものです。
地
市立病院支部 甲突五差路
俺が言た冗談か食卓き空す散っ
(おいがゆた わやかしょくたき むなすちっ)
(唱)センスが悪りち睨い女房
(唱)(センスがわりち ねぎいうっかた)
ある辞典で冗談を引くと、ふざけて言う言葉や話、またふざけてすること。とあり、なんとなく悪いイメージですが、実際は、気のきいたしゃれで周りを和ます話が、冗談だと受け取られています。
そんな冗談好きが、食事中に言った冗談に、なんら反応もありません。そのなんともいえない白けた空気が切なく滑稽です。
人
上町支部 小石 助六
冗談の幼児腹い描た絵を医者しぇ診せっ
(冗談のこ 腹いけた絵を いしぇみせっ)
(唱)鏡の前で描たドラえもん
(唱)(かがんの前で けたドラえもん)
これは行動の冗談です。病気になるといつも行く病院ですから、子どもはそのお医者さんとも顔馴染みです。
毎回聴診器を当てられていますから、裸を見せるのは知っています。先生を笑わそうと考えた策でしょうが、まさに奇想天外です。この「小才(こだ)ん利(き)た」子どもには感服ですし、温かみのある句です。
五客一席 印南 本作
冗談でな済まんネットん悪ふざけ
(冗談でな すまんネットん 悪ふざけ)
(唱)まこて幼稚な事つすっもんじゃ
(唱)(まこて幼稚な こつすっもんじゃ)
五客二席 紫南支部 宇宿ガサ医者
平然しっ面白て冗談く言う血統
(しれっしっ おもしてわやく ゆうちすっ)
(唱)頭ん切れが人とは違ごっ
(唱)(びんたん切れが 人とはちごっ)
五客三席 清滝支部 鮫島爺児医
好っじゃっち言たや冗談が本気き成っ
(すっじゃっち ゆたや冗談が ほんきなっ)
(唱)言たとが吉で嬉しか誤算
(唱)(ゆたとがきっで うれしか誤算)
五客四席 城山古狸庵
冗談じゃち言たて立腹けっ道ちゃ切れっ
(冗談じゃち ゆたてはらけっ みちゃきれっ)
(唱)相手を考げっ言うとも大事
(唱)(えてをかんげっ ゆうとも大事)
五客五席 紫南支部 紫原ぢごろ
冗談どま言みっも知らん石部金吉
(冗談どま ゆみっもしらん かたかわろ)
(唱)側べ居いだけで息苦すなっ
(唱)(そべおいだけで いっぐるすなっ)
秀 逸
武岡 志郎
曲尺焼酎が入ったや冗談く言っ
(ばんじょがね しょちゅがいったや わやくゆっ)
徒然ね身外じゃ冗談で弾ませっ
(とぜんねみ 外じゃ冗談で はずませっ)
気があっで冗談き口説も織い交ぜっ
(気があっで わやきくどっも おいまぜっ)
清滝支部 鮫島爺児医
当たったち冗談で言たて寄付が来っ
(あたったち 冗談でゆたて 寄付がきっ)
同窓会冗談が弾ん笑る通えっ
(どうそかい 冗談がはずん わるどえっ)
冗談でん好っち言われっ嬉し爺
(冗談でん すっちいわれっ うれしじじ)
城山古狸庵
いじめをば冗談じゃったち言い直えっ
(いじめをば 冗談じゃったち いいなえっ)
中年の冗談き若け衆はしれったん
(中年の わやきわけしは しれったん)
紫南支部 紫原ぢごろ
酔ろぼが冗談が原因で喧嘩しっ
(よくろぼが 冗談がもとで 喧嘩しっ)
市立病院支部 甲突五差路
セクハラいならん程度い冗談く言っ
(セクハラい ならん程度い わやくゆっ)
上町支部 小石 助六
冗談をば言うちゃみたどん鬼の女房
(冗談をば ゆうちゃみたどん おんのかか)
紫南支部 宇宿ガサ医者
相手次第じゃドクハラせえもない冗談
(えてしでじゃ ドクハラせえも ない冗談)
紫南支部 二軒茶屋電停
祝話しょ冗談で言たて実を結っ
(ゆえばなしょ 冗談でゆたて みをむすっ)
川内つばめ
冗談過ぎどいが本当か分からん世
(冗談過ぎ どいがまこっか わからんよ)
作句教室
今月は、投句作品の中に、破調句(字余り・字足らず)が、多くありました。中七では、「冗談(わやっ)ち取(と)られじ」「叱(が)いかて冗談(わやっ)も」など、下五では、「冗談(わやっ)じゃすまん」「冗談(わやっ)を言(ゆ)っ」など、八音字や七音字・六音字となっています。
薩摩郷句では、この破調句は認められず、五・七・五の十七音字の定型詩の型を守っています。
作句では、表現のことばが十七音字になかなかまとまらず、字余りになることが多いですが、そうならないように、ことばを変えたり、ことばの位置を変えたりして、きちんと五・七・五に、ことばを組み立てる(つなぎ合わせる)ことが大事です。「きゃ」「きゅ」「きょ」などの拗音は、一音字と数えることに注意して、文字の数は指折り数えれば分かりますので、常に破調句は作らないという意識と、作品として未完成という認識が必要です。
この字数を合わせることが、作句での難所であり、思案のしどころですが、労を惜しまず、表現を工夫してほしいです。
題が与えられて詠む句が課題吟で、題はなく自由に詠む句が自由吟や雑吟と呼ばれています。鹿市医郷壇や薩摩郷句の大会は課題吟で、これは選をするのに、同じ題の方が作品を評価しやすいからです。
しかし句を詠むという本来の姿は、日常の中で感じたことを自由に詠むことだと思います。例えば日記を書くように、一日に一句が詠めるはずです。この自由吟を意識して詠むことで、作句力がより磨かれていくのだろうと思います。
薩 摩 郷 句 募 集
◎新年号
題 吟「 客(きゃっ)」
締 切 平成25年12月2日(月) ◎2 号
題 吟「 惜れ(あったれ)」
締 切 平成26年1月6日(月)
◇選 者 永徳 天真
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892-0846
鹿児島市加治屋町三番十号
鹿児島市医師会 『鹿児島市医報』 編集係
TEL 099-226-3737
FAX 099-225-6099
E-mail:ihou@city.kagoshima.med.or.jp |
 |