富士山とわたし：世界文化遺産登録2013傘寿の想い
| 東区・紫南支部 有馬 榮德 |
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| 写真 1 老健施設近郊の茶畑から 富士山，新富士駅，東海道新幹線方向を望む |
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| 写真 2 野生イノシシが出没した沼津千本松原。 左が医師会地引網大会の磯海浜 |
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| 写真 3 富士宮下山口方向から望む頂上・噴火口 |
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| 写真 4 紅葉さかりの河口湖西岸より富士山を望む |
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| 写真 5 恩師米田敏長先生を囲んで （右より米田先生，増沢，木，戸島，有馬） |
以下，こころに残る富士の想い出等を記します。
1． 夫婦での晴天下富士山登頂
医学生，インターン時代を含めると6度山頂を極めていますが，2003年夏には家内を伴って富士宮口5合目に車を置いて出発。1時間ごとに水と精製食塩を一定量づつ飲用しながら休息を取り，予約済みの7合目の山小屋に1泊。翌朝未明に起き，登山杖，登山路脇の張り綱を握りながら9合目に到着。このあたりは酸素も薄くなり，マッターホルンに長姉と電車で登ったことのある家内も，ここでは3歩進んで2歩後退といった状態。頂上に着くやいなや座台に横になるといった疲れようでしたが，ほどなく回復。好天に恵まれ360度の見晴らしの効く山頂から早速携帯電話で自宅や子供達，知人に登頂の喜びを報告。弁当の昼食をとり，頂上の火口等を巡遊しつつ（写真3）往路を下山，無事古希（筆者）の夫婦富士登山はお開きとなりました。
2． 河口湖畔1泊・小学校恩師招待の小クラス会
人吉市ご出身で筆者の旧制鹿児島県立加治木中学校先輩でもあり，太平洋戦争たけなわの1943年，筆者らの姶良郡（現姶良市）帖佐町の三叉国民学校（現三船小学校）初等科5年生，男女50余名の担任代用教員（戦時中出征などで教員不足のため中学校卒で臨時の教師となる）を務められたあと満洲（中国東北地方）に出征。1945年8月の終戦でソ連に抑留され，極寒極地のシベリアで刻苦の抑留生活3年を過ごされて帰国。ご郷里の人吉から私どもがふるさとの田舎で毎年催していた三叉小学校（国民学校）のクラス会には毎年，高速道路を車で1時間ばかりの会場にご家族の送迎で参加していただいていました。筆者が富士市に勤務したことをお話しますと，“シベリア抑留生活の厳しい労働の中で，「生きて帰って一目富士山を見たい」といつも思い続けて頑張ってきた”と。
この恩師の夢を実現すべく筆者は紅葉の季節に富士山を河口湖の東方間近に望む湖西岸の宿に1泊の小クラス会を設営。2003年11月の秋晴れの2日間，米田先生のご来駕を仰ぎ，新富士駅から富士市在住の筆者がマイカーで送迎。東京，大阪と長野（夫婦で）から参加の4人と筆者の5人で遠来の米田先生をお迎えして‘小学校恩師の富士山眺望の夢’達成の宴を催すことが出来ました。朝夕の湖畔で温泉浴中の富士山の眺め，翌昼湖岸の紅葉最盛期のくれないに一段と映える河口湖畔からの富士の山容等は恩師の心を慰めたものと確信いたします（写真4，5）。
温泉も引かれている人吉市の米田先生のお宅には60歳を過ぎた教え子の私ども三九会（1939年三叉小学校入学＝Thank you会）の男女20人ほどが宿泊させていただいたこともあります。筆者は人吉の隣村に山林の管理をしていただいている亡父勇二郎の知人の毎年の墓參等の途次，温泉宿などにお招きして尊顔を拝し，会食など続けてまいりお元気でしたが，一昨年，永久埋め込みの心臓人工弁の不調等で急逝され，ご令嬢からの訃報電報を頂戴して，クラス代表も兼ねご葬儀に参加。シベリア抑留中のご苦労を殆んど口にされることのなかった故米田敏長先生の安らかな旅立ちのご尊顔を拝しつつお見送りすることが出来ました。皆様のご健勝・ご長壽を祈念致します（2013.07.01）。
(C)Kagoshima City Medical Association 2013