随筆・その他

リレー随筆

鹿児島市立病院で研修をして


中央区・市立病院支部
(鹿児島市立病院) 西元 彩子

 今回はこのような機会をいただきありがとうございます。このように文章を書かせていただくのは初めてのことで,拙い文章になってしまっていると思いますがご了承ください。
 私は現在鹿児島市立病院の外科で後期研修医として働いています。医師4年目,外科としては2年目のまだまだ新米医師です。出身は鹿児島で,高校まで鹿児島にいましたが大学くらいは県外に出たいという願望もあり愛媛大学に進学しました。なぜ四国の愛媛を選んだのかというと,鹿児島から直通の飛行機があったということと,2次試験の科目が得意な数学・物理のみだったからです。温暖湿潤な気候で人柄もよく,また温泉が有名で(道後温泉),何だか鹿児島に似ているなと思います。
 大学に進学して,中学生から始めたバレーボールを続けたいと思い,女子バレーボール部に入部しました。中学からやっていたといっても,部員がぎりぎり6人程で部活は屋内ではなく校庭。いつも一回戦敗退の同好会のような部活でした。自分の運動神経があまり良くないというのもありましたが,サークルに入部の際に,練習は週2回・初心者大歓迎というふれこみであり,これなら私でも続けられるだろうと思い入部しました。ですが,6月の中国四国大会で2回戦敗退,それもストレート負けという結果に先輩たちは奮起。その時私たち1回生は先輩たちの試合を見て凄いなーと思っていた程度でしたが,この時から部活の雰囲気は熱血バレーボール部に一新しました。部活は週3から試合前には週5,練習もスパルタ指導になりました。練習は厳しく,遠征も多くなりました。愛媛から島根まで日帰り遠征をしたこともあります。ですが,その分先輩や後輩との絆も深まり,遠征のときはみんなで旅行したり,反省会という名の飲み会をちょくちょく開いていました。3回生の時,全医体は北海道まで行きました。愛媛から京都までバスで6時間,京都から北海道まで日本海の荒波にもまれながらフェリーで20時間というお金のない学生時代しかできないハードスケジュールな旅でした。今ではいい思い出です。部活の同期,先輩後輩は今でも付き合いがあり,連絡を取り合ったり,会うこともあります。楽なサークルを選んだつもりが,部活一色の大学生生活となってしまいましたが,大学時代のとてもいい思い出です。
 大学卒業後に鹿児島に戻ることは前から決めていたので,初期研修は鹿児島市立病院を選択しました。初期臨床研修医を始めるころは,のんびりとした性格の自分がまさか外科を選択するなんて思ってもいませんでした。色々な科を回りましたが,人体に直接手を加えて治療するということがとても面白く,開腹手術に入ることも楽しくて外科という選択肢が自分の中で大きくなっていました。初期研修医修了後,今後の選択として他の科も選択肢にはあったのですが,他科に行ってしまったらもう手術ができなくなるかもしれないと思うと,やはり自分の一番やりたいことが出来る科を選択しようと思ったわけです。鹿児島市立病院外科で後期研修医をしたいという唐突な相談を快く受けてくださったM田部長には本当に感謝しています。いつかこのご恩返しが出来ればと思っています。外科はキツイ,厳しい,汚いとか言われているそうですが,どの科も決して楽ではないと思うし,辛いことやキツイこともあっても,やはり自分の好きなことが出来ている方が幸せなのではないかと今でも思っています。
 市立病院外科で1年間後期研修をさせていただきましたが,3年目になると執刀させていただける手術もあり,解剖を把握して手順を覚えて執刀する。やはり手術をしているときが一番楽しいです。勉強不足やたどたどしい手つきで指導してくださる先生方にはいつもご迷惑をおかけしていると思います。また初期研修のときには2〜3カ月で他の科に移動でしたが,同じ科・職場で一年間働くことでまた今まで経験できなかったことも経験することも出来ました。辛いことがなかったといえば嘘になりますが,毎日が楽しく充実した研修生活を送っています。先生方には毎回根気強く指導していただき,困っているときには声をかけて下さったり本当に素敵な先生ばかりで,周りの人や環境に恵まれている私は本当に幸せ者です。
 出来れば今後は外科の専門医をとり乳がんを専門に勉強したいと思っています。外科の中でも乳がんを勉強したいと思ったのは,女性でもできる外科という印象が強かったのと,女性医師が必要とされている場であると思ったからです。また,診断から治療まで一貫してみることも面白いと思いました。実際乳がんについて勉強したり,学会に参加し色々な講演を聞いているとマンモグラフィー,MRI,echoなどの画像診断から病理,治療方針の決定まで勉強しなければいけないことは山のようにありました。また,subtypeやoncotypeによる治療方針の決定など新しい概念が次々と導入されていて,まだまだ勉強不足でわからないことばかりです。市立病院に乳腺外科として来てくださっている金子先生はとても素敵な先生で私の理想とする女医さんです。市立病院に外来や手術で来ていただいた時には,色々と教えていただき大変勉強になります。私も金子先生のような患者さんに優しい素敵な女医さんになりたいと思っています。1人前に働けるにはまだまだ先は長いですが,皆様にご恩返しができるよう頑張りますのでこれからもよろしくお願いします。


次号は,鹿児島市立病院の森岡康祐先生のご執筆です。(編集委員会)




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