天
紫南支部 二軒茶屋電停
はやぶさが根性で宇宙ん謎を解っ
(はやぶさが こんじょでうちゅん 謎をとっ)
(唱)身を削い切っ果せた使命
(唱)(身をけずいきっ 果せた使命)
地球から三億キロメートルも離れた小惑星「イトカワ」を目指して、宇宙へ打ち上げられた小惑星探査機「はやぶさ」が、幾度も困難を乗り越えながら七年間も飛行を続け、二〇一〇年六月十三日に、「イトカワ」の粒子を持ち帰りました。この人類初の偉業を称える句であり、正にその根性に拍手を送りたいです。
地
清滝支部 鮫島爺児医
後何年生きいか謎は謎で良よし
(後あとどしこ いきいか謎は 謎で良よし)
(唱)其ゆ考ぐれば寝いもならんが
(唱)(そゆかんぐれば ねいもならんが)
皆これまでに、身近な人たちが亡くなって、数多くのお別れを経験してきていますが、元気である自分たちは、その死を真剣に考えることはまずないでしょう。
年を重ねれば寿命も短くなるのは確かでしょうが、人の寿命は分かりません。
今を一生懸命に生き、運命に身を委ねるしかないだろうと思う心は皆同じです。
人
紫南支部 紫原ぢごろ
金催促謎を掛けてんうつらんふ
(ぜんせずつ 謎をかけてん うつらんふ)
(唱)返す気はゼロ詐欺師と同等じゃ
(唱)(もどす気はゼロ 詐欺師とづっじゃ)
事情があって金を借してくれと頼まれると、金を貸すこともありますが、その貸した金が返ってこないということもあるようです。借りたら返すという当たり前のことができず、人間関係が悪くなっていくのも当然です。貸した人、借りた人の温度差が、よく表現された句であり、借りた人の人格を疑わざるを得ません。
五客一席 武岡 志郎
コンパでな謎があろそな娘い集っ
(コンパでな 謎があろそな おごいよっ)
(唱)如何な女性かち興味津々
(唱)(いけなひとかち 興味津々)
五客二席 清滝支部 鮫島爺児医
北朝鮮ん衆の為い事ちゃ謎が多え過ぎっ
(きたんしの すいこちゃ謎が うえすぎっ)
(唱)仲良ゆち言どん持たん聞っ耳
(唱)(なかゆちゆどん もたんきっみん)
五客三席 印南 本作
男いな女心は常と謎
(男いなおなごごころは はいと謎)
(唱)魔性も居っで気を付けやんせ
(唱)(魔性もおっで 気を付けやんせ)
五客四席 川内つばめ
何故か俺ばっかいが持てじ謎
(ないごてか おいばっかいが もてじ謎)
(唱)何処か救いの女神がおいが
(唱)(どっか救いの 女神がおいが)
五客五席 紫南支部 宇宿ガサ医者
飲んけ出っ裏返め穿ちょい新品パンツ
(のんけでっ けしんめへちょい にけパンツ)
(唱)どげな言訳も通用せんじゃろ
(唱)(どげなゆわけも つうよせんじゃろ)
秀 逸
城山古狸庵
謎ん多か事件い刑事ん目が集っ
(謎んうか ヤマい刑事ん 目がたかっ)
如何ん言て美人ぬ口説でたか謎んまま
(いけんゆて シャンぬくでたか 謎んまま)
モナリザん謎にゃほどとえ見合写真
(モナリザん 謎にゃほどとえ みえしゃしん)
清滝支部 鮫島爺児医
銘刀の秘めた切れ味じゃ今も謎
(銘刀の ひめたきれあじゃ 今も謎)
未解決事件の裏にゃ多か謎
(みかいけっ 事件の裏にゃ おおか謎)
好っ言えじ謎を掛けたが上手も釣れっ
(すっちゅえじ 謎をかけたが うもつれっ)
紫南支部 紫原ぢごろ
女房殿の初恋の主しゃ謎んまま
(かかどんの 初恋のぬしゃ 謎んまま)
大袈裟い謎を穿じくい週刊誌
(大袈裟い 謎をほじくい 週刊誌)
武岡 志郎
核弾頭並べっ凄だ謎ん国
(かくだんと 並べっすごだ 謎んくん)
引っ合てん男女ん中は謎だらけ
(ひっきょてん だんじょん中は 謎だらけ)
紫南支部 二軒茶屋電停
謎ん病切なか胸は恋煩れ
(謎んやん せっなか胸は こいわずれ)
印南 本作
子の喋い何時覚えたかいっも謎
(子のしゃべい いっ覚えたか いっも謎)
薩摩郷句鑑賞 67
埒ちゃあかじ囮の鮎も背ごししっ
(だちゃあかじ おといのあいも 背ごししっ)
市来野頬朗
甲突川などでは、昨日から鮎の解禁。
待ちあぐねた釣り天狗たちが、どっと押しかけていることだろう。
「埒ちゃあかん」は、「らちがあかない」ことで、この場合釣果のないこと。そこで、友釣りの囮を、「背ごし」(背骨をとらず、小口切りで食べること)にしたというわけである。
まさか囮まで食べるようなことはすまいが、そうしたくなるほど、川原で食べる鮎のおいしさは格別であるということを誇張したもの。
長病気寝巻か薬の匂がしっ
(ながねおい ねまかくすいの かざがしっ)
境 戸緒流
長い間入院生活をしているのか、自宅で療養生活をしているのであろう。毎日薬を飲んだり、注射をしたりしているために、着物までその匂いがしみついているようだということを、多少オーバーに表現したわけである。
いっこうに全快しない焦りもあろうし、薬の匂いの中での生活の寂しさ、そういうものが漂っているような句である。
じゃんけんも石しか出さん握いごろ
(じゃんけんも いししか出さん 握いごろ)
書川 水平
よく鹿児島では、「貰(も)ろ物(もん)なら、便所(つっどこい)の紙(かん)ずい貰(も)ろが、出す物(もん)な舌も出さん」と言う言葉を耳にするが、そのような欲張り、けちを、「にぎいごろ」という。
そんなにぎいごろなら、じゃんけんをさせても、拳をいわゆる誇張法で、オーバーな表現をしているのだが、それがおかしさを出すのに効いている。
※三條風雲児著「薩摩狂句暦」より抜粋
薩 摩 郷 句 募 集
◎8 号
題 吟 「 親類(しんじ)」
締 切 平成25年7月5日(金)
◎9 号
題 吟 「 箒(ほっ)」
締 切 平成25年8月5日(月)
◇選 者 永徳 天真
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892-0846
鹿児島市加治屋町三番十号
鹿児島市医師会 『鹿児島市医報』 編集係
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