編集後記


 北海道では地吹雪で亡くなる方がいらっしゃるという報道が流れてあまり時間が経たない間にどんどん暖かくなり,あっという間に桜が開花し,満開近くなっているこの頃です。みなさんのお手元に医報が届く頃には葉桜になっているのでしょうか。
 誌上ギャラリーでは,橋口先生の「山峡の春」は田んぼの水面に映る桜が寒さと暖かさの混在している春を感じる一枚ではないでしょうか。
 論説と話題では第3回臨時代議員会で現在地に新会館を建設し,建築時期,規模,用途について委員会で検討することが可決されたことの報告がありました。詳しくは別冊にお目通しください。平成24年度日医医療情報システム協議会の報告では,個人情報保護の整理と医療情報共有のための法律の必要性の重要があるものの,各地域での報告を踏まえ「医療連携IT化」は今後さらに全国的に進化していくものと考えられます。乗り遅れないようにしなければと思います。
 医療トピックスでは,薬価収載され,保険請求も可能になった,アナフィラキシー補助治療薬「エピペン」についての報告でした。
 学術では,今村病院より「術前化学療法にて根治切除可能となり術後長期生存中の進行胃癌の一例」をご報告いただきました。術前化学療法により,腫瘍の縮小と多臓器合併切除を回避され,1年間の術後補助化学療法により4年間無発生存されている症例報告です。また,今村病院分院からは「塩酸ドネペジルが有効であった頭部外傷後高次脳機能障害の一例」をご報告いただきました。頭部外傷後,意識障害回復後通過症候群と言われる症状が長期化すると人格変化などで,十分な治療が受けられず,社会生活に不利益が生じることが少なくないものの,今回塩酸ドネペジル内服により,アセチルコリンの生体利用率の増加の影響か,これらの障害が改善し,社会復帰に至った症例報告です。症例提示ありがとうございました。
 随筆・その他では,色鮮やかな各種医学切手です。古庄先生いつもありがとうございます。「日本の灯台あれこれ」は鮫島先生の印象に残っている灯台を長い歴史の中の思い出も織り交ぜながらご紹介いただきました。ありがとうございました。また,リレー随筆では「我が家の育児日記」で四元先生にご寄稿いただきました。長男さんの妊娠時から現在3人のお子様たちの性格,長女さんの体調不良で気付かされた育児と仕事の両立の大変さとまわりの方たちへの感謝を書いてくださいました。これからも無理せず頑張ってくださいね。
 各種部会だよりの女性医師部会では総会報告と野村秀洋先生にご講演についてご報告いただきました。今後も数多くの女性医師の先生方の参加をお願いいたします。
 平成24年度日医母子保健講習会では,昨年トピックスになった“新型出生前遺伝子診断”NIPTについて,母体血内の胎児・胎盤由来のDNA診断による染色体異常の診断で「遺伝子カウンセラリング」は必須であることや今後実施指針に沿って約20の大学病院で実施されることの講演と,日本における体外受精・胚移植などのART出生児が2010年総出生児数の2.7%で19年前の12倍となり,めざましく進歩する生殖医療の現状と未来についての講演報告があり,超少子高齢化社会における小児保健,育児保険構想についてシンポジウムの報告がありました。
 アベノミクスで経済にも変化がみられるようになり,新しい年度,平成25年度に入り,医療にもどんどん変化が出てくるのでしょうか。楽しみながら,時代に乗っていきたいと思います。

                                   (編集委員 中村佐知子
                                              

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