編集後記


 凛とした寒さの中にも,春の訪れはすぐそこまで来ています。吉野公園の紅梅は花蕾がほころび始めており,畑の畔に今年も水仙の葉が顔を見せてくれています。海外では水仙は「希望」の象徴であり,ガン患者をサポートする団体の多くで,春の訪れとともに咲くこの水仙が「希望」のシンボルとして募金活動のキャンペーンに用いられています。昨年末に安倍政権が誕生しましたが,失業,医療,老後など国民の「将来不安」をかかえる日本で,子どもたちが将来に「希望」を抱けるよう,目先の景気浮揚だけでなく未来を見据えた政策を期待します。
 今回の誌上ギャラリーは,南国の象徴,椰子の木と早咲き桜です。青い空と椰子の木は単純ながらハワイを連想します。さすがに桜はハワイにはないだろうと思っていましたが,実は寒緋桜があり,沖縄から移民の方たちが植えたのだそうです。
 教授就任のご挨拶を西尾教授,武田教授,西教授よりいただきました。先生方のご活躍や,ご指導を会員一同期待しております。
 論説と話題は,鎌田・河野先生より鹿児島市域糖尿病医療連携について紹介がありました。治療に難渋している糖尿病患者を,循環型の病診連携で少なくする取り組みです。四医師会病院連絡懇談会・同検査センター運営協議会の報告では,どの医師会病院も運営状況は厳しく多くの問題をかかえているようですが,手術件数を増やす,緩和ケア病棟を開設するといった経営努力をされています。今後の鹿児島市医師会病院の経営再建の参考にもなります。検査センター,薬剤部,看護部,事務等コメディカルの方々もそれぞれの努力や苦労があるようです。会員受賞祝賀会では各賞を受賞された11人の先生方の功績を紹介しています。日頃の診療の積み重ね,地域医療への貢献が評価されての受賞です。おめでとうございます。
 学術では,味村先生による慢性便秘症の診断と治療について,具体的症例をもとに提示していただきました。便秘症の原因を個々の症例で検討し,検査結果に基づいた評価と治療方針の決定が必要だそうです。今後,便秘なら単に下剤という発想は改めるようにします。
 随筆・その他では古庄先生より「イスラエルの医学切手A」が紹介されています。小児医療でテディベアという感覚は万国共通ですね。リレー随筆は松尾先生より,ご自身が体験されたシガテラ中毒の一部始終を,医師ならではの観点から随筆にしていただきました。私も釣りをしますが,キスやアジくらいで,食物連鎖の上位の魚は釣ったこともなく,ましてやシガテラ毒も知りませんでした。それにしても救急搬送された翌日からまた一人診療所長をされていた気力,体力には感服しました。Dr.コトー診療所の脚本になりそうな話です。
 特集は,1年間ご寄稿いただいた大勝先生の誌上ギャラリー作品集です。特に先生の撮られた桜島と対岸の鹿児島市の写真は,どれも郷土愛が感じられました。皆,桜島に蓋をかぶせられないかとはいうものの,無くなればという鹿児島人はいません。1年間,本当にありがとうございました。
 各種部会だより,各種報告も多数いただきました。参加された先生方には要点をしっかり報告していただいており,日々の診療の参考となることも多々あります。
 鹿市医郷壇では,天の句は,いかにもがっかりした感じが出ており思わず笑ってしまいました。今月号は投句者が少なく五客が省略されています。初心者も大歓迎ですので,ぜひご投句よろしくお願いします。
 会長雑感で述べられているように,今年は医師会のマークに使われている巳の年。鹿児島市医師会のかかえる病院経営健全化,会館建設問題も,クネクネの曲り道で時間がかかるかもしれませんが,会員皆で英知を集めて解決しましょう。

                                   (編集委員 伊地知 修


                                              

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