経済は低迷,被災地そっちのけ,社会保障像は示さず消費税増税を成立させ奇襲解散。師走総選挙をめぐって政治家たちは離散集合,政党乱立し攻防が激化していますが,負担増の時代を誰にどの党に託せるかどうかが問われる選挙といわれています。明るい話題としてはiPS細胞を開発した京都大学の山中教授が2012年のノーベル医学生理学賞を受賞したことで,難治疾患を治療する再生医療の実現が期待されています。
「誌上ギャラリー」には大勝先生より行き交うフェリーおおすみから臨んだ旅心を誘われる桜島の雄姿をいただきました。
「論説と話題」には池田副会長から2012年度の市医師会の1年を総括してもらいました。夜間急病センター担当の松田理事には夜間急病センターの受診状況,医師出向状況などを分析,小児科の土曜・休日の過重労働による出向医の確保困難と対策を報告していただきました。
恒例の「1年を振り返って」には各専門医会の会長,中央事務局・臨床検査センター・医師会病院・夜間急病センターの責任者に今年の1年間の運営状況等について報告していただきました。多くの方が医師不足の及ぼす影響の大きさに言及されています。
「くすり一口メモ」は医師会病院で分離された緑膿菌に対するピペラシリン(PIPC)の感受性試験と最小発育阻止濃度より,PK/PD理論に基づいたピペラシリンの最適な投与量・投与回数・点滴時間についてご教示いただきました。
「学術」には平成24年9月の市内科医会例会で講演された九州大学教授の池松先生の「インフルエンザ診療最新情報:2012/2013シーズンに向けて」の講演要旨を掲載しました。A型とB型インフルエンザの特徴,抗インフルエンザ薬の4種のノイラミニダーゼ阻害薬の使い分けなどご教示いただきました。医師会病院神経内科の野村先生から肺小細胞癌に傍腫瘍性神経症候群と抗利尿ホルモン不適合分泌症候群を合併した症例を提示してもらいました。傍腫瘍性神経症候群は頻度が少ないため神経症状発現時には60%以上の例で悪性腫瘍の存在を捉えられないとされ,一過性脳虚血発作,うつ病などと診断される可能性があり注意を喚起する貴重な報告例でした。
「随筆・その他」では古庄先生から6点式点字を考案したルイ・ブライユの2009年に発売された生誕200年の記念切手シリーズが紹介されています。米寿を迎えられた内山先生からは上手な生き方・死に方についてご教示いただきました。上手な生き方五カ条(禁煙,塩分控えめ,腹八分目,適度な運動,頭を使う)を心がけたいものです。上手な死に方として天寿を全うする自然死つまり尊厳死の意思表示を勧めておられます。西橋先生からは戦前小学5年生から6年生の1年間暮らしたサハリンの思い出についてのご寄稿いただきました。リレー随筆でご披露されたモデルガンマニアの東先生の映画やテレビの銃撃シーンで使用されている銃器の解説には感服いたしました。
「会長雑感」では10月の日本医師会臨時代議員会で池田県医師会長が代表質問で地域の中心的な医療機関として機能している医師会病院を公的病院の認定が受けられるよう要望され,日本医師会としてもお手伝いしたいと答弁されたことを報告されています。実現して欲しいものです。
冷え込みが厳しくなり感染性腸炎やインフルエンザが増えてきているようです。体調管理に気をつけて忘年会シーズンを乗り越えましょう。来年も会員の先生方からのご寄稿よろしくお願い申し上げます。
(副編集委員長 田畑 峯雄)

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