緑陰随筆特集

37年振りのハワイ
中央区・城山支部
(高見馬場リハビリテーション病院) 林  敏雄


写真 1 ハナウマ湾

写真 2 クアロア・ランチ(上:チャイナマンズハット)

写真 3 この木なんの木

写真 4 ルアウのダンス

写真 5 花火

写真 6 ダイヤモンドヘッド(空撮)

写真 7 真珠湾の戦艦ミズーリ(空撮)

写真 8 “田中オブ東京”の鉄板焼き

写真 9 ホテル群とダイヤモンドヘッド(クルージング)

写真 10 サンセット(クルージング)

 趣味の海外旅行は37年前,昭和50年3月のハワイ旅行が最初で,常夏の国だというのに海に入れば少し冷たかったし,周りは外人さんばかりで,日本人はまばらだったのを思い出す。今年(2012)の6月で満83歳になるのを記念して,老人や子供に優しいハワイに行ってみることにした。4泊6日の日程で,6月3日21時,福岡からハワイに向けて飛んだが,朝食まで熟睡出来て良かった。日付け変更線を通過した関係で,同じ3日の朝10時過ぎにホノルル空港に着いた。私達夫婦と家内の姉の気楽な3人旅で,迎えの車で宿泊予定ホテルのヒルトン・ハワイアン・ビレッジに向かった。観光なしのフリーなので,オプショナル・ツアーを色々利用することになった。
 2日目はオアフ島一周の1日ツアーで,60人乗りのバスは満席で出発した。ガイドさんは真っ赤なドレス姿のオシャベリ上手な中年女性で,綾小路きみまろ顔負けのギャグを飛ばしながらワイキキ・ビーチを東に走った。ダイヤモンド・ヘッドの麓で写真を撮り,ハナウマ湾の上に出た(写真1)。青い海と白砂の眺めは絶景で,サンゴ礁や平らな岩礁で囲まれた大小のタイド・プールでは,大勢の海水浴客が多分美しい熱帯魚と戯れながら泳いでいる様が見て取れた。この海中公園は人気絶頂で沢山の人が押しかけるので,サンゴ礁や熱帯魚の保護が大変らしい。
 ここから北上して海水が10mも噴き上がるというハロナの潮吹き穴で暫く観察したが,残念ながらこの日はだめだった。平等院そっくりの寺院があるというカネオの街を通り抜け,東海岸の丁度真ん中辺りのクアロア・ランチの“道の駅”で昼食を取った。ここも景色の良い所で,沖に中国人の被る三角帽子に似た島(チァイナマンズ・ハット)があり,裏には険しいギザギザの山が聳え,映画「ジュラシック・パーク」撮影の舞台になったという(写真2)。更に北上してポリネシア文化センターの近くを通ってノースショアに出た。
 ノースショアのサンセット・ビーチは秋から冬にかけて波が荒く,サーファー達のメッカとなり車が渋滞するという。ラニケア・ビーチは通称「海ガメビーチ」と呼ばれ,10頭あまりのカメが砂浜に上がって日光浴をするので有名だ。ここも車が渋滞する所で,この日も徐行して行くと,浜辺にはカメラを構えた人達がずらりと並んで,波打ち際で泳いでいるカメの写真を撮っているようだった。カメが上陸すると保護のため直接触ってはいけないらしい。
 やがて車は南下してハレイワ・タウンをゆっくり通過した。ここはのんびりした雰囲気のオールドハワイの面影を残した小さな町で,古びた木造のマツモト・ストアなど日本風のかき氷やTシャツ,サーフ用具,軽食など売る店がずらりと並び,短パン姿の若者達が大勢たむろしていた。更に南下すると赤土のパインナップル畑が延々と続き,ドールプランテーションでバスを降りた。ここのギフトショップは観光客でごったがえしており,パインのソフトクリームがお勧めというので,長蛇の列に並んでやっと手に入れたアイスは美味しかった。ここでは玩具のような機関車がパイン畑を走り,1万本のハイビスカスなどで出来たギネス認定の巨大迷路があるのだが,時間がなく遊べなかった。
 旅の終わりはテレビ「世界・ふしぎ発見」のCMに「この木なんの木,気になる木」(小林亜星作曲)と歌われている“日立の樹”を見に行った(写真3)。真珠湾に近いモアナルア・ガーデンにある巨大なネムの樹であった。この木は公園内に一杯ある同じ樹の内の1本で,管理会社に年間4,800万円支払っているので,他の企業が“日立の樹”をCMに使用することは出来ないのだという。このあと参加者をそれぞれのホテルに降ろしてツアーは終了となった。
 夜はヒルトン・ホテルのルアウ(ハワイ語の宴会)に参加した。コンファレンス・センター屋上の青空会場で,バイキングのハワイ料理を食べながら,中央の舞台で太平洋の島々の踊りや歌を楽しんだ(写真4)。勇壮なファイヤーダンスや観客を巻き込んだ腰ふりダンスが笑いを誘った。金曜日だと最後に花火が打ち上げられるのだが,27階の自室に帰って寛いでいたら,いきなりドンドンと海面から花火が上がり始めた(写真5)。たまたまよその企業の催しで30分にわたり3万発が打ち上げられ,素晴らしいショーが見れてラッキーだった。
 3日目の朝,ヘリコプター・ツアーを申し込んでいたので迎えの車で空港まで行った。客の定員は5人で,パイロットは若い黒人女性で驚いたが,少し高いがファースト席を予約していたので彼女の隣に座れて,カメラもビデオも良く撮れてよかった。コースはワイキキ海岸を東に飛び,ダイヤモンドヘッド(写真6)から北上,左折して島の中央に出て南下,真珠湾(写真7)を眼下に収めてから空港に着陸する30分のフライトであった。ホテルに帰る途中で,アラモアナ・センターで降ろして貰い,家内達と合流した。
 アラモアナ・センターはメイシーズ,白木屋など4つのデパート,高級ブティック,各国料理のレストランなど240店舗が入居しているハワイ州最大のショッピングモールである。家内達は個人的に女性ガイドさんを頼んでショッピング中であったが,東京の親類お勧めの中華店で飲茶の昼食を取ったら凄く美味しかった。このあと付近を散策してカメハメア大王像などを見た。昔は軍人墓地のパンチボール展望台から市街を眺められたが,いまは観光客が多すぎて出来ないらしい。
 夜は“田中オブ東京”で和食を取り,シーフードの鉄板焼きが美味しく,シェフの奇術師のような包丁さばきが面白かった(写真8)。食後,タンタルスの丘から街の夜景を眺めたが,生憎,にわか雨が降ってきたので早々に引き揚げた。
 4日目は真珠湾観光で太平洋戦争緒戦の奇襲で撃沈した戦艦アリゾナの記念館や,終戦時,降伏調印式が行われた戦艦ミズーリ記念館を見学した。しかし今回の旅行は戦跡めぐりの一貫として考えていたので,詳細は別の機会に紹介したいと思っている。
 夕方,純白で4階建ての豪華観光船(全長70m,定員1,500人),スター・オブ・ホノルル号でサンセット・クルージングに出掛け,美味しいカニのディナーを食べながらハワイアンダンスを楽しんだ。デッキに出ると心地よい海風が頬を撫で,ワイキキのホテル群,ダイヤモンドヘッドの全貌を眺め(写真9),素晴らしいサンセットに遭遇して(写真10),至福の気分で満たされた。
 最後にホテルの紹介をしておくと,ヒルトン・ハワイアン・ビレッジは9万平方mの広大な敷地に,7つの客室タワーに3,000を超える客室,6つのプール,22のレストラン,90店以上のショップを備えたハワイ州最大のホテルである。予約ではオーシャンビューの部屋だったので,てっきり海辺に近いレインボウ・タワーと思っていた。だが海は見えるが27階なのにダイヤモンドヘッドが少ししか見えないので不思議に思っていたら,一般道路に一番近いタパ・タワーだった。しかしツアーの参加者はここで送迎車を待つようになっていたので便利だった。シーズン・オフの時期だったが宿泊客が多く,日本人は3割位という。ペンギンやフラミンゴなどがいて,専用の海水ラグーンもあり小さい子供達も遊んでいた。和洋中のレストランはいつも満席で,ABCストアもあるので牛乳やサンドイッチで朝食を済ませることも出来た。最初は迷ったりしたが,慣れると街にでなくてもホテルの中だけで楽しむことが出来る素敵なホテルだと思った。
 ワイキキ海岸はヒルトン始め大型リゾートホテルが林立し,37年間の変貌にただ驚くばかりの旅行であった。





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