緑陰随筆特集
続報〜必要とされる検査室を目指して〜 |
|
社団法人 鹿児島県臨床検査技師会 会長 有村 義輝
|
|
鹿児島市医師会の先生方におかれましては,ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。また,日頃から鹿児島県臨床検査技師会の運営に際しまして,心温かいご理解とご支援を賜り心から感謝申し上げます。
さて,前回は「必要とされる検査室を目指して」について寄稿いたしました。今回は,その続報について記載いたします。
今の臨床検査は出来高払いから包括化,生産性から非生産性部門に移行しつつあるのが現状です。その対策として,省力化・効率化の促進と品質の改善を行わなければなりません。まず,集中管理システム・自動再検システムによる省力化を行う。また,機材および試薬コストの軽減を行う。さらに,重要な事柄として人件費45%以下(理想40%)を目標として業務改善を行う。その一環として,一人二役=何でもできる人材育成を行い,経費削減,さらに勤務シフト制を導入し超勤削減を行い,働きやすい職場環境を構築し効率化を目指す。
理想的な検査体制の構築として,1)迅速,2)正確,3)システム効率の向上,4)コスト追及の考慮,5)チーム医療の連携などが挙げられます。そして,管理者(技師長)として院内で実施している検査項目について,より正確で精密なデータを臨床に提供するために,品質の管理を必須条件とし,さらに,自施設の検査室の強み・弱みを把握し,それらを上手く活用・克服し技師の存在を明確にすることで病院経営者からの評価向上に繋がるのではないでしょうか。
検査の価値について言えば,一般的に精度と正確そして速さが必須条件であり,さらに,いつ,どこで,だれがやっても同じ結果が出ること,すなわち「検査の標準化」が求められます。このことが診療部の先生方と臨床検査技師の間に信頼関係を築き,「絆」のあるチーム医療を誕生させるには大事であり不可欠なことではないでしょうか。
ただの給料取りでなく,職員は自分の病院を守ること,自分の家庭を守ること,すなわち生活と仕事のバランスを見直し業務改善を行い,前向きに動ける仕事環境の構築,さらに人材育成に力を入れる組織が必要です。そうすれば,経営者と労働者がうまく機能し病院経営の向上に繋がると確信しております。具体的になりますが,臨床検査技師はオーダーを出す医師の要望は何なのか,オーダーより検索する必要性があると思います。また,「チーム医療の連携」とよく耳にしますが,重要なことは医師・看護師の業務負担軽減に協力すること,すなわち,今までの検査業務は内部に留まり外部との連携が不足しておりますのでICT(感染対策チーム)・NST(栄養サポートチーム)の活性化を行い,病棟検査技師を誕生させ,早朝の検査結果を読み取り担当医へ報告することで業務軽減を行うことができるのではないでしょうか。
さらには,理想として,直接患者様に検査結果を説明する検査業務環境の構築が必要と考えます。
最後に技師会の機能を十分に発揮するために,鹿児島市医師会の先生方の診療支援チームの医療一員として,しっかりと臨床検査技師の仕事をこなすことができるような技師会活動を行う所存でありますので,ご指導・ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。

|
|
このサイトの文章、画像などを許可なく保存、転載する事を禁止します。
(C)Kagoshima City Medical Association 2012 |