天
武岡 志郎
手配書と同等の人相ん免許証
(手配書と づっの人相ん 免許証)
(唱)凶悪犯のよな顔れ苦笑っ
(唱)(凶悪犯の よなつれわるっ)
免許更新に行くと写真を撮られ、その写真が免許証に貼り付けられますが、ほとんどが、妙に畏まって写っています。
おそらくないでしょうが、笑顔の免許証写真があれば見てみたいものです。
その人相の悪い写真を見て、まるで手配書に載っている写真のようだとは、実に滑稽です。
地
紫南支部 紫原ぢごろ
人相見は何ち観ったろ自分ん顔
(にんそみは なんちみったろ わがんつら)
(唱)鏡ぬ見いが答えは出らじ
(唱)(かがんぬみいが 答えはでらじ)
人相見は、客の占って貰う人には、その人相を見て、学んできた人相学の知識や経験から、運命や吉凶について淡淡と判断を下していますが、見る本人は、自分の人相について分かっているのだろうかという、疑問を抱かれたのでしょう。
逆の立場からの穿った見方で、うまく詠まれています。
人
城山古狸庵
人相見は金が溜まらん相ち吐えっ
(にんそみは ぜんがたまらん そちかえっ)
(唱)如何んないやら御先きゃ真っ暗
(唱)(いけんないやら おさきゃ真っ暗)
ほろ酔い気分の客が冷やかし半分で、占い師に見てもらったのでしょうか。
最初は様子見で、仕事や家庭のことを質問し、最後に金運を訊いたのでしょう。
ずばり言われた答えに、思い当たる節がない訳でもないので、相当なショックを受けたようです。きっと、見て貰わなければよかったと、後悔したことでしょう。
五客一席 霧島 木林
他人ん肚人相だけでな読ん取れじ
(ひとんはら 人相だけでな よんとれじ)
(唱)見かけとな違ごこっが多けわい
(唱)(見かけとな違ご こっが多けわい)
五客二席 武岡 志郎
整形で人相も変わっ玉ん輿
(整形で 人相もかわっ 玉ん輿)
(唱)顔も心もそら明るなっ
(唱)(つらも心も そらあかるなっ)
五客三席 紫南支部 紫原ぢごろ
人相どまいけんでん良ち惚れた仲
(人相どま いけんでんえち 惚れた仲)
(唱)あばたも靨愛や強かこっ
(唱)(あばたもえくぼ あやつよかこっ)
五席四席 上町支部 吉野なでしこ
悪役の人相と違ごた優し声
(あくやっの 人相とちごた やさし声)
(唱)アンバランスい嘘ちたまがっ
(唱)(アンバランスい 嘘ちたまがっ)
五客五席 清滝支部 鮫島爺児医
番犬な人相でしかっ仕分けしっ
(番犬な 人相でしかっ 仕分けしっ)
(唱)怪しち見れば吠ゆいも吠ゆい
(唱)(あやしち見れば ほゆいもほゆい)
秀 逸
城山古狸庵
参考人人相ん悪り人長ご聴取
(さんこにん 人相んわりたな ごちょうしゅ)
人相は娘御い見ゆいニューハーフ
(人相は おごじょいみゆい ニューハーフ)
人ん良か風の人相で凶悪犯
(人んよか ふうの人相で きょあっはん)
上町支部 吉野なでしこ
恐か態の人相んせいで役がきっ
(こわかふの 人相んせいで やっがきっ)
犯人ぬ人相で決めっ見逃せっ
(犯人ぬ 人相できめっ みのがせっ)
清滝支部 鮫島爺児医
手相よっか人相ん占ね分かい易し
(てそよっか 人相んうらね わかいやし)
人相いな人生歴が書かれちょっ
(人相いな じんせいれっが かかれちょっ)
紫南支部 紫原ぢごろ
面接で人相ん分なそのまんま
(めんせっで 人相んぶんな そのまんま)
武岡 志郎
婚活も人相ん良さで先き売れっ
(こんかっも 人相んよさで さきうれっ)
霧島 木林
悪人相外見でわっぜ損ぬしっ
(あくにんそ そとみでわっぜ 損ぬしっ)
作句教室
多くの作品から学びましょう(一)
薩摩郷句誌「渋柿」を発行している渋柿会では、合同句集十集目の「ひとっば」を平成二十年に刊行しましたが、そこには、九十三人の作品一三九五句が収められています。
そこから、「私の好きな作品二十句」を選んでほしいとお願いしたら、少数ですが十四人が選び、それを「渋柿」に載せました。この多くの作品の中からたったの二十句を選び出す作業は、大変だったと思います。中には、選者クラスの作品を、義理で選の中に入れたのもありそうですが、二人以上が選んだ作品がちょうど三十句ありましたので紹介します。
薩摩郷句は、笑いが一つの大きな要素ですが、そればかりではなく、ある事象を的確に捉えて詠まれたり、いろいろな人生の機微やドラマが詠まれています。
薩摩郷句では、他人の作品に学ぶということがとても大事なことですので、多くの作品から、表現や表記のしかた、そして郷句味を学んでほしいと思います。
亭主す葬っやっと女房ん職く辞めっ
(てすおくっ やっとおかたん しょくやめっ)
植村聴診器
叩っ上げ大卒の議を黙らせっ
(たたっあげ だいそっのぎを だまらせっ)
津曲とっこ
お父様言たや返事ずした横ご爺
(おとうさま ちゅたやへずした よんごじい)
石原ミエ子
飲ん友達は多けどん頼い友達しゃおらじ
(のんどしは うけどんたよい どしゃおらじ)
井手上政暎
村ん医者点数いならん愚痴も聞っ
(村ん医者 てんすいならん ぐぜもきっ)
有馬 純秋
金な世ん回いもん言が回っ来じ
(ぜんな世ん まわいもんちゅが まわっこじ)
太良木五徳
絶交の手紙みゃ切手を逆せ貼っ
(みっぎいの てがみゃ切手を さかせはっ)
内村 仏心
珠算な一級じゃっどん赤字世帯
(そろばんな いっきゅじゃっどん 赤字しょて)
北村 虎王
朝帰い夜叉が玄関み腰す据えっ
(あさもどい やしゃがふんごみ こすすえっ)
上薗 佳笑
三日旅び夜逃げすい様な荷を準備っ
(みっかたび 夜逃げすいよな 荷をしこっ)
前田あやめ
薩 摩 郷 句 募 集
◎9 号
題 吟 「 考げ(かんげ)」
締 切 平成24年8月6日(月) ◎10 号
題 吟 「 茶碗(ちゃわん)」
締 切 平成24年9月5日(水)
◇選 者 永徳 天真
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892-0846
鹿児島市加治屋町三番十号
鹿児島市医師会 『鹿児島市医報』 編集係
TEL 099-226-3737
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