=== 随筆・その他 ===

鹿児島市医師会混声合唱団「サザン・エコー」は解散いたしました



鹿児島市医師会混声合唱団「サザン・エコー」世話人   
(西区・武岡支部 耳鼻咽喉科田上クリニック)      伊東 祐久

 平成8年(1996年),当時の市医師会副会長の有馬 桂先生らが,兵庫県医師会混声合唱団の演奏を聴き,鹿児島市医師会にも,会員家族の中に合唱経験豊富な方が沢山いるので,新制鹿児島市医師会創立50周年記念事業の一環として,是非合唱団を作りたいと,中村俊一先生,沖野秀一郎先生らに相談,指揮を貫見進一郎先生,ピアノ伴奏を脇田陽子さんにお願いして,平成9年(1997年)4月8日に,鹿児島市医師会音楽同好会として全国でも珍しい医師会合唱団が誕生しました。以後15年に亘り活動を続けてきましたが,団員の高齢化や医師会関係の団員の減少など色々な事情があり,世話人協議の上,平成24年3月解散いたしました。
 解散に至るまでの経緯と15年間の足跡をたどってみたいと思います。
 平成9年10月30日に鹿児島市民文化ホール第2ホールで記念演奏会が予定され,それを目標に市医師会2階ホールで,毎月第1・第3火曜日の午後7時から午後9時まで練習を行うことになりました。設立当時の団員名簿を見てみますと,医師会会員はもとより,会員家族,職員が大半でしたが,夫婦で参加が7組もあり,代表世話人の中村俊一先生は中村昭典先生とのご兄弟での参加でした。また,谷口良康先生は,当時の市医師会福祉担当理事で合唱団のお世話もされていた関係上,「僕は楽譜が全く読めないけど」と言われながらご夫婦で一生懸命練習されていたのが印象的でした。
 当初は鹿児島市医師会混声合唱団として発足したのですが,愛称を付けようということになり,歌声を「南」からの風にのってきた「こだま」のように患者さんに届けたいという願いを込めて,「サザン・エコー」という名称を河村秀敏先生が提案され,全員の賛同をいただき,鹿児島市医師会混声合唱団「サザン・エコー」となりました。
 記念演奏会のプログラムに関しては,医師会関係者の中には合唱だけでなく,ピアノやヴァイオリン,あるいは歌手として活躍の方が沢山おられるということで,中村俊一先生がそれらの方々に声をかけてくださり,多彩なプログラムが出来上がりました。
 ピアノ独奏には元鹿児島市医師会病院長迫田晃郎先生のお嬢様で外科の迫田晃子先生,歌曲では世界的なテノール歌手,鹿児島大学医学部第二病理学教室教授の米澤 傑先生,ピアノ伴奏は奥様の米澤悦子さん,また弦楽四重奏では当時大勝病院副院長の松本秀也先生,南九州中央病院第一循環器科医長の清永和昭先生とその奥様,また,オペラの名曲では,岩尾病院のお嬢様で現在も鹿児島オペラ協会でご活躍の瀬戸口美希代さんなど豪華なメンバーで記念演奏会を無事に終わることが出来ました。
 記念演奏会も無事に終わり,合唱団の役目も一旦終わったと思ったのですが,折角出来た合唱団だし,このまま解散するのは勿体ないということになり,その後も活動を続けることになりました。
 その後は,毎年秋に行われる会員受賞祝賀会をはじめ,医師会の色々な記念事業に,祝賀演奏という形で何回も出演をさせていただきました。平成12年10月の鹿児島県医師会館落成記念式典での祝賀演奏は南日本新聞にも取り上げられています。平成13年10月の「第15回日本臨床内科医学会」への出演や,平成14年11月の鹿児島市医師会看護専門学校創立50周年記念ならびにサザン・エコー創立5周年記念の鹿児島市医師会音楽会,平成22年7月の「第42回九州地区医師会共同利用施設連絡協議会」での祝賀演奏などがあります。その他,対外的にもいくつかのステージに立たせていただきました。平成11年1月には,指揮者の貫見進一郎先生の「合唱ひとすじ半世紀」,同じく10月には益満美江さんの「春の新人賞記念リサイタル」,平成15年7月には「益満美江メモリアルコンサート」に出演しています。
 平成9年の新制鹿児島市医師会創立50周年記念演奏会ならびに平成14年の鹿児島市医師会音楽会は,サザン・エコーだけでなく,米澤先生や瀬戸口さんなどの応援をいただいての演奏会でしたが,是非自分たちだけの演奏会を行いたいという願いが団員の中からふつふつと湧き上がってきて,平成17年11月,サンエールかごしまで「サザン・エコー演奏会」を行うことになりました。演奏会に向けて実行委員会を作り,練習での貫見先生からの注意を忘れないようにFAXで団員に周知したりして練習に励み,組曲「筑後川」やヴィヴァルディ,シューベルト,ハイドンのミサ曲から「グロリア」,よく知られた童謡,「知覧節」などの郷土の唄などの4ステージと,伴奏の猪俣裕子さんのピアノ独奏のステージを,満員のお客様の前で披露することが出来ました。忘れられない思い出となりました。
 平成22年,協和発酵キリン株式会社が発行している旬刊誌「Dr.Holiday」の地域特集にサザン・エコーを取り上げていただきました。練習の後,医師会員・医師会員家族の団員13人と貫見先生を囲んでの座談会形式でしたが,冊子になって全国の関係者にサザン・エコーを知ってもらえ,誇りに思っています。ただ,この座談会に代表世話人の中村俊一先生が体調不良でご欠席だったのが心残りでした。
 鹿児島市医師会看護専門学校は高等課程が平成20年3月閉課程,専門課程が平成23年3月,最後の卒業生を送り出して閉課程,閉校となりました。この看護専門学校で歌い継がれた校歌は,有馬 桂先生のお父上,有馬 厳先生作詞,田中義人作曲で,入学式,卒業式,戴帽式などの大事な行事に必ず歌われ,サザン・エコーも看護専門学校創立50周年記念などでも歌わせていただきました。閉校になり,この校歌も聴くことはなくなりましたが,このすばらしい校歌をいつまでも記録として残しておきたいということで,校歌のCDを作ることになり,その大役をサザン・エコーが仰せつかりました。斉唱だけでは足りないということで団員の玉利さんに合唱に編曲をしてもらい,かごしま県民交流センターで録音を行いCDが出来上がりました。何か機会があれば是非また歌いたい校歌です。
 改めて振り返ってみますと,当初は新制鹿児島市医師会創立50周年記念の記念事業の一環として作られた合唱団でしたが,いつしか15年も経っていました。団員も高齢化が進み,医師会会員の入団もなく,また代表世話人の中村俊一先生のご病気など,合唱団の維持継続には不安な材料が多く,平成23年12月,世話人で相談の上,平成24年3月末で解散することを決めました。これを平成24年1月の練習の時に皆様に発表し,お別れ会を3月27日に行うことにいたしました。
 お別れ会には鹿島友義市医師会長,海江田健市医師会顧問,また元団員である松英夫鹿児島大学医学部・歯学部附属病院特任教授にもご出席いただき,これまでの歩みを振り返りながら最後のひとときを過ごしました。その時に鹿児島市医師会から感謝状までいただきました。大変光栄なことと思っております。
 私たちを指導してくださった指揮者の貫見先生は,今年87歳,まだまだお元気で,現役の指揮者として活躍されています。解散することを心苦しく思っています。申し訳ありません。ただ,先生の合唱にかける情熱と楽しい指導は決して忘れません。これからもお元気でご活躍されることを団員一同祈念しております。
 最後になりますが,鹿児島市医師会には合唱団結成以来,無償で練習会場の提供をはじめとして物心両面にわたり多大なご支援をいただきありがとうございました。さらに担当理事,担当職員の方々には,業務多忙のなか,本来は団員自身がしないといけないことまでしていただきました。また,鹿島会長には鹿児島市医報第51巻第6号の会長雑感で「サザン・エコーの解散を惜しむ 感謝を込めて」として心温まる文章を書いていただき,瞼が熱くなるのを禁じ得ませんでした。皆様に心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
 遅くなりましたが,誌面を借りてサザン・エコーが解散したことを報告させていただき,会員の皆様からいただいたこれまでのご支援ご厚情に深く感謝申し上げます。

鹿児島市医師会混声合唱団サザン・エコー演奏会(平成17年11月23日 於サンエールかごしま)

市医師会館での最後の練習風景(平成24年3月13日)

お別れ会 参加者集合写真(平成24年3月27日 於 山形屋社交室)



鹿児島市医師会混声合唱団サザン・エコーのあゆみ
月 日 内      容
平成 9 年










平成11年





平成12年


平成13年


平成14年







平成15年


平成17年


平成19年


平成22年








平成24年


4 月 8 日


7 月15日

9 月20日


10月30日


1 月


10月


10月21日


10月 7 日


11月 7 日




12月 8 日


7 月


11月23日


10月10日


2 月 2 日


7 月10日


10月 5 日


3 月27日

鹿児島市医師会混声合唱団設立総会
(於 市医師会館ホール) 29人出席

「サザン・エコー」と命名

「第34回九州首市医師会連絡協議会」出演
(於 城山観光ホテル)

新制鹿児島市医師会設立50周年記念演奏会
(於 市民文化ホール第2ホール) 入場者約600人

「貫見進一郎 合唱ひとすじ半世紀」出演
(於 鹿児島県文化センター)

「益満美江“春の新人賞記念リサイタル”」出演
(於 加治屋町教会)

「鹿児島県医師会館新会館落成記念式典」出演
関係者約500人

「第15回日本臨床内科医学会」出演
(於 鹿児島サンロイヤルホテル)

鹿児島市医師会看護専門学校創立50周年記念・
鹿児島市医師会混声合唱団サザン・エコー創立
5周年記念鹿児島市医師会音楽会
(於 鹿児島県医師会館ホール)

「鹿児島市医師会看護専門学校創立50周年記念式典」出演
(於 城山観光ホテル)

「益満美江メモリアルコンサート」出演
(於 かごしま県民交流センター)

鹿児島市医師会混声合唱団サザン・エコー演奏会
(於 サンエールかごしま) 入場者約430人

「新制鹿児島市医師会60周年記念祝賀会」出演
(於 城山観光ホテル)

協和発酵キリン梶uDr.Holiday(平成22年4月1日発行)」の取材・写真撮影
(於 市医師会館ホール)

「第42回九州地区医師会立共同利用施設連絡協議会」出演
(於 城山観光ホテル) 

鹿児島市医師会看護専門学校校歌録音
(於 かごしま県民交流センター)

「鹿児島市医師会混声合唱団サザン・エコーお別れ会」
(於 山形屋社交室)



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