春の嵐の到来とともに桜の花も散り,短い春が過ぎ去っていったような気がしました。北朝鮮のミサイル騒ぎも約1分間の飛行のあと空中爆発,国民の食をも犠牲にしての大実験はたった1分で終了となりました。日本においても,原発問題,税金問題と政治問題山積みです。春の嵐の過ぎ去った後の爽やかな初夏の薫風を心待ちにしているこの頃です。
今月の誌上ギャラリーは「白象」です。日常の自分の机の上がどんな状態なのか意識しないものですが,患者さんや他の人にはどのように映っているのか,見直さないといけないと思う次第でした。
挨拶では市医師会新役員と退任される役員の先生方よりご挨拶をいただきました。鹿島会長のご挨拶にもありますように,地域医療の発展のためには医師会の組織力の強化が一つの課題です。各役員の方々のご活躍をお願いするばかりです。
くすり一口メモではPPI(プロトンポンプ阻害剤)について4種類の薬剤の用法,用量の説明,比較のわかりやすい表を提示していただき日常の診療に大変役に立つと思われます。早速,表を拡大して診察室に備えるようにしました。
学術は「糖尿病治療を考える」と題し鹿児島大学大学院医歯学総合研究科糖尿病内分泌内科学教授の西尾善彦先生よりご寄稿いただきました。高齢化に伴ってか,外科疾患においても糖尿病合併の患者さんが増加しているようです。参考にさせていただきます。「サイクロフォスファミドとリツキシマブが著効した難治性血栓性血小板減少性紫斑病の一例」と題し,今給黎総合病院神経内科の丸山芳一先生より私どもにはあまり経験のない症例を提示していただきました。
随筆・その他の「切手が語る医学」はなんとNo.138です。どこから情報を仕入れ,どう入手されるのか,一度古庄弘典先生に語っていただきたいものです。
内山 裕先生からは「昭和天皇と自然薬草の森」をご寄稿いただきました。昭和天皇は太平洋戦争の時代を乗り越えられ,戦後の日本復興に大変ご苦労されたと思いますが,薬草に関しての博識,また内山先生の表現によると自然に接するときの「若やいだ」お顔が目に浮かぶようです。
リレー随筆は栗野浩宣先生からご寄稿いただきました。多くの勤務先でのこと,時系列にご紹介いただきました。時,所,人かわればやはり,自分も変わるのでしょうか。
区・支部だよりでは新旧区長・支部長よりご挨拶をいただきました。医師会の発展のためにはまず末端の区・支部の活動が重要かと思われます。忙しい診療の中ですが,医師会活動へのご協力をお願いいたします。
「訃報」にて山下大藏先生のご逝去を知りました。先生は谷山の伊作街道の踏切近くで開業されていたと記憶しています。私がまだ研修医で何もわからない頃,緊急帝王切開で先生のところに先輩と駆けつけたことを思い出します。手術が終わると食事,焼酎。手術時間より先生とのお話の時間が長かったような気がします。先生からのお話で,腹部に激痛があり,友人の外科医に相談したところ様子を見るようにいわれたが,どうしても症状が軽快せず,とうとうその外科医に「俺の腹はおかしい,開腹してみろ!」と自ら言われ,開腹手術をしたところ胃潰瘍の穿孔があったとお聞きしました。現在では診断技術が発達し,超音波,画像診断などありますが,結局は患者の訴えをよく聞くことが一番だと教えられた一夜でした。
鹿市医郷壇は「匂」がテーマです。今後も新しくご投句いただける先生方をお待ちしております。
会長雑感は「日本医師会定例代議員会に出席して」の報告,感想です。日本全体としても,地域としても医療の今後を皆で考え模索し,患者にとっても医師にとっても,よりよい医療環境が望まれます。
これからしばらくは,初夏の薫風,サツキやツツジの花がまたれる頃です。爽やかな風が皆様の周りに吹きますよう。
(編集委員 大西 義孝)

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