新年あけましておめでとうございます。会員の皆様におかれましては,ご家族おそろいで健やかな新年をお迎えのこととお慶び申し上げます。昨年中は鹿児島市医師会病院に対する多大なご支援を賜り感謝申し上げます。
昨年は1月の52年ぶりの新燃岳の爆発的噴火,3月11日の東日本大震災,6月から8月の記録的な猛暑,9月の台風12号による豪雨,11月の徳之島竜巻と人知の及ぶところでない大自然の猛威に見舞われた1年でした。東北・北関東沿岸の被災地では機能停止に陥った医療機関も続出し,DMAT(災害派遣医療チーム),JMAT(日本医師会災害医療チーム),日本赤十字,大学病院など全国の医療者が支援に当たりました。当院のDMATは福岡空港航空自衛隊駐屯地での広域搬送拠点施設(SCU)の設置に携わり,JMATは余震の続く福島県境の北茨城市立総合病院での診療支援に当たりました。震災後の復旧・復興は徐々に進んでいるものの,瓦礫の受け入れ先が少ない,心的外傷後ストレス障害など多くの問題点が指摘されています。福島原発事故は初動の間違いから莫大な放射性物質が放出され,適切な被曝防御策も取られないまま多くの避難・転居者を出し,原発の安全神話は崩壊しました。今後エネルギー政策やライフスタイルの見直しは必至と思われます。
鹿児島県医師会は,平成23年度の地域医療再生特例交付金(当初は100億円×10地域,25億円×84地域で計3,100億円)を活用して,鹿児島市医師会病院をセンター病院と位置づけ移転・新築させることと,県下各医師会病院群ならびに中核病院を整備する計画を鹿児島県に提出しました。東日本大震災後に変更となり(25億円×94地域で2,350億円),県は災害医療体制の再生,急性期医療を中心とした地域医療体制の再生,全県下を対象とした政策(三次)医療体制の整備に総事業費26億円を見込む事業計画を国に提出しました。東日本大震災で被害を受けた東北3県に重点交付する影響で交付内示額は約3割減額され,大半は被曝医療と災害拠点病院の整備に交付されることになり,交付金を活用しての当院の移転計画は絶たれました。
平成23年度は当院にとって病理部門の所属変更,小児救急医療拠点病院の指定返上,病院機能評価(Ver6.0)受審,病床の一部休止など大きな動きがありました。市医師会臨床検査センターの縮小に伴い,病理部門は検査センターから病院所属となりました。病院で働く病理部門の職員は今まで検査センターの所属であることに違和感を持っていましたのでモチベーション向上の効果が期待されます。細胞診,生検・切除標本組織・術中迅速病理診断は正確・迅速なレポートを提供いたしますので検体のお申し込みをよろしくお願い申し上げます。平成16年から県の小児救急医療拠点病院として6人ないし5人の小児科医による24時間常駐勤務体制で,会員紹介以外にも救急車による一次救急から対応してきましたが,小児科医不足による小児医療の集約化の問題が起こりました。平成23年4月からは鹿児島市立病院と当院で分担して救急医療に当たり,9月から拠点病院は市立病院に移管し,小児科医が減員された当院は時間内の救急の対応となりました。病院機能評価Ver5.0受審から5年経過して更新の時期になり,全部署の職員が各種規約・マニュアルの見直し,Ver6.0の変更点の確認を行いました。職員の多大な協力のおかげでサーベイヤーの講評では大きな指摘はありませんでした。医師不足だけでなく看護師不足も深刻な問題となり,7対1入院基本料算定の維持が困難となり,4階病棟を小児科の27床を9床,産婦人科の18床を11床に縮小しました。産休・育休後に復職する看護師が減少し,新卒者が応募人数に満たないことなどが続いていることより,処遇改善や院内保育所の設置を本格的に検討しなければなりません。
医師の過重労働軽減目的でメディカルクラークを3人から10人,土・日曜勤務体制のため理学療法室職員を5人から7人に増員しました。最近2年間医師臨床研修マッチングが得られない事態になり,臨床研修医獲得のための処遇改善,研修プログラムの見直しも必要になってきました。平成24年度の電子カルテ導入で医療情報システムの整備を行うことで効率的な運営を図る予定です。
平成23年度の病院運営実績は小児救急医療拠点病院の指定返上,病床休止などの影響もあり病床稼働率が低下し,外科手術・検査依頼も減少しました。64列CTへの更新,MRIのバージョンアップも行いましたので是非ご利用お願いします。泌尿器科の増科,平成22年度診療報酬改定による救急医療関連の加算,手術料の増点等で何とか凌いでいる状況です。平成24年度の診療報酬と介護報酬の同時改定の行方が気になるところですが,骨子案の1つの急性期医療の適切な提供を踏まえた医療従事者の負担軽減に期待したいところです。
会員の先生方とさらに密接でスムースな連携に取り組んで参りますので,今年もご指導・ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

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