=== 年頭のあいさつ ===
昨年の反省(10大ニュース風に)と新年への期待 |
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東日本大震災の被害者のことを思うと,「おめでとう」がはばかられる新春ですが,皆さま,ご家族,職員ともども,よい新年をお迎えのことと心よりお喜び申し上げます。震災,さらに原発事故の被害はまだ収束の見込みが立っておりません。しばらくは全国民を挙げての復興への努力が求められています。
医師会病院,臨床検査センター,夜間急病センター等の運営,地域保健,学校保健,産業保健,介護保険活動等への参加・協力,市民健康まつり,救急医療週間の諸行事,学校保健フォーラム等々,通常の医師会活動は会員のご協力によりいずれも滞りなく実行されています。それに加えて,昨年は鹿児島市医師会にとって誠に大きな試練の年でありました。本来なら12号に掲載すべき内容ですが,この文章を書いているとき,2011年もまだ1ヵ月が残っています。それで新年号では遅きに失するのですが,2011年のことを新しい年への決意につながることを願いながら,10大ニュース風に振り返って医師会の動きをもう一度考え直してみたいと思います。
1.公益社団法人の準備完了
法人制度改革にあたって鹿児島市医師会が公益法人を選択することを代議員会,総会で決定していただき,昨年は担当理事,職員の努力により定款案が完成し代議員会の了解を得ました。新しい役員が決定次第申請し,4月から公益社団法人として出発する予定です。情報公開の徹底等,さらなる運営の透明性が求められます。
2.臨床検査センターの機構改革
検査料収入の減,民間検査センターとの競争等で,今までの規模で運営していくことが困難になり,規模縮小して再出発することになりました。人員削減による経営合理化の裏で3に述べるような痛みがありました。先輩が築かれた伝統ある検査センターを残すために,今後のさらなる利用促進をお願いします。
3.職員の退職勧奨の実施
上記の臨床検査センター機構改革の最大の問題でした。再就職が難しいなか,今まで長く医師会のために働いていただいた有能な職員からご協力をいただきました。自分たちも関わった計画の成功のために自己の損失を省みずに退職勧奨に応じられた方も少なくありません。退職された職員の心中を思い,心苦しい新年となりました。退職された方々の今後の人生の幸を祈ります。
4.看護専門学校閉校
数年前に看護専門学校閉鎖が決定されたときの事情を考えると止むを得ないことではありましたが,閉校のための諸行事に寂しさを感じました。熊本市医師会が看護専門学校を規模拡大,レギュラーコースも新設して立派な校舎を新築されたのを見せていただき,さらに寂しさが増しました。若い人たちの姿が消えた鹿児島市医師会館も寂しくなりました。教員のご努力により,昨年も新卒者の国家試験合格率は好成績でした。新しい職場に移られた専任教員のご多幸を祈ります。
5.医師会病院小児科の小児救急医療拠点病院指定の返上
事情は既刊号に述べたので省略しますが,小児科医の不足に起因する苦渋の決定でした。鹿児島市立病院に異動された先生方のこれまでの医師会病院でのご貢献に感謝するとともに,鹿児島市立病院でのご活躍を期待いたします。
6.JMAT(日本医師会災害医療チーム)参加
3月の東北の災害の直後から,日本医師会,鹿児島県医師会の呼びかけに応えて,まずは鹿児島市医師会病院が,引き続き市内の会員の病院から多くの参加希望があり,多くの医師,医療従事者が災害現場に赴き,援助活動に参加できたことは大変喜ばしいことでした。参加された会員からは人生観が変わるほどの痛みを感じたと聞いております。今後も国を挙げての援助活動が求められます。東北のため,日本のため頑張りましょう。
7.大園県議,トップ当選
組織内候補でもあり,支持政党の違いを超えて会員のご協力をいただき,トップ当選が実現しました。地方分権が進むなか,地方議員の働きはますます重要になってきます。会員の価値観も多様化し,医師会の医政活動は今までと同様にはいきませんが,その重要性は今後さらに大切になってきます。活動のあり方を話し合いたいと思います。
8.4疾病等の医療連携計画の推進
各県は4疾病5事業について,国民にわかりやすい医療連携を含む地域医療計画(具体的に受診できる医療機関名を挙げる)を立てることという国の方針に従って,鹿児島でも脳卒中,心筋梗塞,糖尿病に続いて現在,がん,5事業 (救急医療,災害医療,離島・へき地医療,周産期医療,小児医療・小児救急医療)の医療連携について検討中です。
9.尾辻達意先生,ご逝去
鹿児島市医師会長を務められた先生がご逝去されました。享年102歳の大往生でした。先生の医師会でのご活躍を具体的には知らない年代ですが,個人的に大変お世話になった先生です。生前を偲び先生が市医師会報に投稿された文章を読ませていただきながら,ユーモアあふれ,暖かかった先生のお人柄に触れることが出来ました。
もうひとつ大変重要なことをあえて省略いたしました。今年も谷山支部,鹿児島県医師会,県下の郡市医師会の協力を得ながら,重要な問題として,医師会病院の将来計画ともども取り組んでいきたいと思います。いつも申し上げているように,どこの医師会もそうですが,先輩たちの時代と比較すると医師会の求心力,社会に対する発言力は弱まってきています。一方で,現在まで営々と続いてきた世界に冠たる我が国の国民皆保険制度が,総医療費の増加と経済成長の低迷による税収の減少等によって,今までのようには維持困難とも言われています。TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加の問題,受診時一部負担の問題も含めてひとときの油断も出来ません。鹿児島市医師会においても臨床検査センター,医師会病院の運営強化が求められています。こういう時代だからこそ,地域医療の守り手としての医療専門職集団の存在意義は大切になってきています。本年も会員一同の一層の医師会活動への参加,ご協力をお願いして新年の挨拶といたします。

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