編集後記

 朝夕はめっきり冷え込み,寒さを感じるようになりましたが,会員の先生方には益々ご活躍のことと思います。
 経済では歴史的な円高が続いています。つい先日までは,米ドル安だけであったものが,豪ドル,BRICS(ブラジル,ロシア,インド,中国,南アフリカ)通貨にも影響し円ひとり高になっています。“9月危機”に対して投機マネーが円へ流れ込んだためという話です。円高のおかげで石油価格も国内ではそれほどの価格上昇とはなっておらず,世間はデフレ基調のまま推移しています。どうやったらこの悪循環から抜け出し,景気回復,さらには我々医療界の反映へとつながるのか,不安は尽きません。次はギリシャを発端とする“10月危機”到来です。EU圏では,GIIPS(ギリシャ,イタリア,アイルランド,ポルトガル,スペイン)の各国もデフォルトの危機に陥っており,GIIPS向けの債務残高の多いフランスやドイツの金融機関も金融危機が懸念されています。日本自身もデフォルトの危機にあるわけで,年金,生活保護,福祉などの維持には,もう増税もやむなしというところでしょうか。政府にはなんとか対応してほしいところです。
 さて,今号もたくさんの投稿をいただきました。
 「誌上ギャラリー」は妙見祭りの写真です。躍動感あふれる疾走する馬の写真です。動きをいかに一枚の写真に収めるのかが撮影の醍醐味なのですね。山口先生ありがとうございました。
 「論説と話題」では,年永理事より全国医師会共同利用施設総会の報告があります。医師会病院は,地域住民からは公的病院と同等の評価を受けており,行政から公的病院と同等の支援を受けるべきであること,検査センターのISO5189取得の話題,新法人制度への移行についての他医師会の動向などがあります。一読をお願いします。また鹿島会長より日本医学会総会特別企画の報告があります。パーソナルゲノムを利用したテーラーメイド医療,iPS細胞を用いた再生医療の話題などは興味深く思いました。
 「学術」は,内科医会9月例会での特別講演,“認知症のリスクを見据えた糖尿病治療”です。認知症を糖尿病の合併症の1つと捉え,糖尿病の治療と並行して行うことで治療成績を向上させるというまったく別の着眼点から見た話題です。ぜひ,日頃の診療に役立たせていただきたいと思います。
 「随筆・その他」の切手が語る医学のコーナーでは古庄先生より看護師の切手が紹介されています。世界にはいろいろな切手があるのですね。また随筆のコーナーでは3人の先生方からご投稿をいただきました。植松先生からのご投稿は最近の女の子の名前にまつわるものです。確かに女の子の名前に子がつく人が少なくなった気がしますね。でもこれが子孫繁栄を願ってのこととは知りませんでした。鮫島先生からは敗戦後の学生運動を見続けた際のお話をいただきました。戦後復興を目指す日本の学生らが懸命に生きた時代を回想した内容です。楊先生からは昔の宇宿町についてご投稿いただきました。以前の宇宿地区も昔の自分の田舎と同様であり,懐かしい思いがしました。ご投稿ありがとうございました。
 「鹿市医郷壇」のお題は“返事”です。いろいろな場面での返事が作品となっており,今回も楽しく読ませていただきました。ご投稿をいただいた先生方,ありがとうございました。
 「会長雑感」は,新法人移行後の意思決定機関としての医師会のシステムについてのご報告です。代議員制度を採らざるを得ないこと,同時に各会員からの意見の吸い上げが簡単には進まなくなる可能性があることなどがレポートされています。関心をもって議論に参加したいと思いました。
 早いもので今号がみなさんのお手元に届くころには,もう11月です。本年も残すところあと2ヵ月あまり,やり残しがないようラストスパートでがんばりましょう。

                                    (編集委員 竹元 雅一
                                                                                                        

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