緑陰随筆特集

手話で繋ぐ輪

北区・錦江支部
(長嶺整形外科医院) 長嶺 隆徳
 私と手話との出会いは英会話レッスンに通っている時でした。英会話のレッスンの中で“sign language”という言葉を聞いた時に,妙にその単語が気にかかり調べてみると,それは「手話」という意味で,ちょうど4月から鹿児島市で初級手話講習会が開催されることを知り,早速申し込み受講できることになりました。
 約8カ月間,毎週1回夜に開催される講座は30回,時間的にも厳しいものがありましたが,それにも勝る「手話」の魅力に仕事の疲れも忘れ,講習会会場に車を走らせました。
 ある日,講師(ろう者)の方から,ろう者が医療機関受診の際に感じている不安や不便について伺うことがあり,医療関係者に手話を広めて欲しいと相談を受けたのです。しかし,私一人の力で何かが出来る訳もなく,鹿児島市医師会へ何度となく足を運び,その都度親身になって話を聞いていただき,鹿児島市医師会のご協力でようやく「医療従事者向け初心者の手話講習会」開催の運びとなりました。
 市内の医療機関に講習会開催の案内を致しましたところ,100人を超える受講申し込みが寄せられ,医療機関側でも感じていた聴覚障害者への対応等への不安・戸惑いに改めて気付かされました。
 講習会には鹿児島市聴覚障害者協会から,ろう者の講師をお招きし,手話技術だけでなく,受診時に感じている不便(例えば自分の症状を医師に伝えることが出来ない,筆談で説明されても十分に理解出来ないことが多い),また,医療従事者側に配慮して欲しいこと(補聴器を填めていても病状・治療などの説明等は殆んど理解出来ていないという事実:聴覚障害者は補聴器を填めていても音として聞くことはできても,言葉としての明瞭な聞き分けは殆んどできません)等,多岐にわたり話をして頂きました。ろう者の生の声(手話)に受講生全員が釘付けになり,その手の動きに見入っていたのが昨日のように思い出されます。
 途中,諸事情により約4年弱の中断期間がありましたが,その間も会員一人一人が学習を続け,また鹿児島県及び鹿児島市聴覚障害者協会の後押しで昨年2月に再開することが出来ました。
 第1回目の医療従事者向け手話講習会開催より約15年,多くの方々に助けられ今日まで続けてこられたことに感謝の気持ちでいっぱいです。私が最初に感じた手話の魅力も全く色褪せていません。これからも皆様に背中を押してもらいながら,会員と一緒に活動を続けて行きたいと思っています。
 最後になりましたが,「医療従事者のための手話同好会“かたつむり”」は月に2回,鹿児島市真砂本町58−30 鹿児島市心身障害者総合福祉センター(ゆうあい館)で学習会を行っています。より多くの方々にご参加いただき,学習の輪を広げていきたいと思っています。
 詳しくは下記までお問い合わせ下さい。

お問い合わせ先
 医療法人 長嶺整形外科医院
 電話:099−224−6350
  FAX:099−224−2533
 E-mail:nagamine@po.minc.ne.jp
URL:http://nagamine-seikei.jp/
追記;当院のホームページにアクセスして頂き,「かたつむり事務局」をクリックして下さい。



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