緑陰随筆特集

これからの臨床検査技師のあり方

社団法人 鹿児島県臨床検査技師会 会長
                    有村 義輝
 鹿児島市医師会の先生方におかれましては,ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。また,日頃から鹿児島県臨床検査技師会の運営に際しまして,心温かいご理解とご支援を賜り心から感謝申し上げます。
 現在,医療を取り巻く社会環境は,少子高齢化の進行,疾病構造の変化,医療技術等の進歩による医療費の増大などで急速に変化しております。厳しい話題ばかり多く,明るい材料を見つけ難い社会であり,また,高齢化社会を迎えるにあたり,必要不可欠となる在宅医療や医療費の膨大化に伴い臨床検査も集約化・省力化が叫ばれております。
 臨床検査技師の仕事内容は大きく検体検査と生理機能検査の2つに分けられます。
 検体検査は,血液や尿をはじめ,体内のあらゆる部位に存在する体液中の各種物質の濃度や機能を測定します。この検体検査は,ハイテクを駆使した自動化が検査業務の主流となっています。しかし,その中で,経験と技術が欠かせない検査として形態学的検査,輸血検査などは実務過程での手技や検査結果の判定基準など,何らかの仕組みのもとで標準化対策をとることが望まれます。
 一方,生理機能検査は,生体現象を電気的・物理的にとらえる検査です。具体的には,患者様の心臓や脳などの動きを電気的にとらえて波形として表す心電図・脳波検査や,身体の内部の状態を超音波や磁力線などを利用し,画像にして観察する超音波検査などがあり,検査の結果は,数値でなく主にグラフや画像として報告します。
 いずれも職能技師として,専門スキルを発揮する舞台を自施設の中に作っていこうとする気力が必要と考えます。具体的には,自己研修の中で,検査技師に対する心構えとして「専門職としての高度な知識を得て常に新しい情報に対応すること」や,「自己管理と積極的な行動力を身に付けること」が重要であります。
 さらに,これからの臨床検査技師は検査結果を提出するだけでなく,共有化できるデータを維持,管理することで技師の存在を明確にすることが望まれます。また,医療の高度化・専門化に対応するための医療政策であるチーム医療への参加として,@迅速検査体制,A診療・治療支援,B看護支援を行うことが必要です。具体的には「栄養サポートチーム(NST),感染制御チーム(ICT),糖尿病療養指導士(CDE),治験コーディネーター(CRC),内視鏡チーム,心臓カテーテルチーム」などに積極的に参加し,これらを「新たな臨床検査室の業務」として取り入れることが重要であると思われます。そして,「目標設定」を明確にして積極的に情報を交換し,医療の変化に対応できるようにしたいと考えます。
 最後に鹿児島市医師会の先生方の診療支援チームの一員として,しっかりと臨床検査技師の仕事をこなすことができるような技師会活動を行なう所存でありますので,ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い申し上げます。



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