編集後記

 旧暦では一年の始まりは立春からと考えられていたため,立春を基準に様々な決まりや節目の日が存在しています。立春以降初めて吹く南よりの強風を春一番(気象庁の定義で「春一番」とは,立春から春分の日の間に,日本海で低気圧が発達し,初めて南よりの強い風 〔8メートル以上〕 が吹き,気温が上昇する現象)と呼びますし,八十八夜はお茶を摘みます。昨年は来ませんでしたが,二百十日ないし二十日は台風が襲来することになっています。禅寺では立春の早朝に,魔除けのため山門に「立春大吉」と書いた紙を貼るそうです。この文字は縦書きすると左右対称になり,一年間災難にあわないというおまじないだそうです。本号は,おそらく立春までにはお手元に届くと思います。是非お試しあれ。
 昨年9月に鹿児島大学大学院医歯学総合研究科循環器・呼吸器病学講座呼吸器外科学分野の教授に就任されました佐藤雅美先生から就任のご挨拶をいただきました。鹿児島の呼吸器疾患治療の発展について,よろしくお願いいたします。
 論説と話題では,当会会員の受賞祝賀会が取り上げられ,3人の叙勲の先生方,9人の先生方および鹿児島市立病院の表彰の功績が紹介されています。そもそも叙勲というのは何時始まったのかと疑問に思いインターネットで調べたところ,本邦の叙勲というものは孝謙天皇が始めたものらしいとのことでした。昨年は平城京遷都1300年に沸いた年でしたが,かの都で叙勲は始まっていたのですね。
 医療トピックスでは副作用の少ないとされる弱オピオイド製剤「トラマドール」について,柿本先生がコデインとの比較を表にしてまとめてくれました。「静脈血栓塞栓症診断におけるDダイマー検査」のタイトルで原田先生からは,「急性肺血栓塞栓の診断においてDダイマーが正常であれば,除外診断できる」というclassTのエビデンスを紹介してくれました。
 学術では職業的アレルギー疾患としてのアクリル樹脂による接触性皮膚炎の一例と,関節リウマチの治療方針決定に関節エコーが有用であるとの発表でした。正直,関節の滑膜内血流がエコーで見えること自体知りませんでした。
 随筆では,いつもながら西橋先生の記憶力には驚きを隠せません。日記として記録を残しておられるのでしょうか。記録を残しておられるとしても,こんなにも詳細に覚えていらっしゃるとは,すごいの一言に尽きます。リレー随筆では上山先生に家庭菜園への情熱を語っていただきました。「植物はいい。植物は女と違って人を裏切らないから。」と,知り合いの泌尿器科の先生が以前語っていたのを思い出しました(今は結婚されたそうで,幸せに暮らしていることと思います)。
 誌上ギャラリー作品集では大山先生の昨年2月から本年1月までに寄稿いただいた季節の写真12枚が掲載されています。毎号巻頭で見るのとは違い,並べて見ると季節の移り変わりがよく分かります。第6号の「梅雨の露」は校正の段階ではモノクロ写真で,何が写っているのかよく分かりませんでした。試し刷りのカラー写真になって3つの水滴にバラの花が映っているのが分かり,やっと作者の意図が理解できました。大山先生,一年間ありがとうございました。今号からは山口淳正先生による誌上ギャラリーが始まりました。また新たな視線での季節だよりを期待しております。よろしくお願いいたします。
 最後に個人的な話なのですが,昨年値上げの直前に買いだめした煙草100箱を吸い切ったのをもって,禁煙しました。今のところうまくいっているのですが,何をしても自分へのご褒美がない感じで物足りないし,間が空いてしまいます。休煙くらいにしとこうかなとも思う,今日この頃です。
                   
                                    (編集委員 山口 剛司

         


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