日中医学協会主催，第２回伝統医学ツアーin上海・南京の印象
| 東区・紫南支部 有馬 榮德 |
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| 写真 1． 伝統医学訪問団メンバー 上海中医薬博物館前で |
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| 写真 2． 上海万博会場北朝鮮館前で ツアー同行メンバーと |
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| 写真 3． 老朋友，谷 興琳教授（左）と筆者 南京鼓楼医院会議室廊下で |
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| 写真 4． 上海中医薬大学附属曙光医院鍼灸科外来 で現代の鍼灸施療を受ける訪中団の鍼灸 科学生さん |
1984年以来数回訪れている上海はこの10年ほどの間に驚くほど発展しましたが，今なお昔の面影を残している豫園での昼食会，市中の精進料理店での夕食会，太極拳道場での試演会，雑技団観劇，上海夜景観賞の黄浦江クルーズ，さらに上海万博ではすぐ入場できた北朝鮮館やイラン館などを一瞥することができました（写真2）。宿舎のホテルから万博会場への交通機関は地下鉄から会場内の電気バスへの乗り換え。満員の地下鉄内では男子中学生に，またバス内では男子青年にと2度も席を譲られびっくり。経済の発展だけでなく，過去23回の学術訪中では体験しなかった中国人の礼節面での向上ぶりに感動しました。
上海から南京への移動は最近出来たばかりの上海―南京新幹線（子弾頭高速列車）往復で，往路は途中1か所しか止まらず2時間22分で南京站着。途中の最高速度340km/hと車内の電光掲示燈に刻々表示され，揺れも日本の新幹線とあまり変わらず，音はむしろ静か。ただ車内では通路に立って携帯電話でこれ見よがしに大声で話をしている男性を見ました。
南京訪問は私の24回の学術訪中の中でも初めてで，期待と感動の旅でした。私自身，1945年8月の終戦時12歳，旧制中学1年生で，終戦の4日前の8月11日午前10時過ぎ，校舎が米軍の空襲で全焼，学友15人が爆死，多数の重軽傷者を出す地獄絵を現場で体験した日本人の一人として，大戦中の迷惑行為のお詫びと，5年前の地球一周戦没者慰霊の船旅（鹿児島県医師会報，平成18年9・10月号）や昨年の沖縄慰霊の旅に続き，日中戦争犠牲者慰霊を兼ねていました。何よりも嬉しかったのは，日程の関係で会えないと思っていた私の20数年来の老朋友，谷 興琳教授（南京児童病院外科主任，南京大学医学院・南京医学院・湖北医学院等教授）が私共一行のセミナー会場（南京鼓楼医院）まで出向かれ再会を果たすことが出来たこと。日本に留学したことがあるという前総看護師長さんの通訳でセミナー会場や廊下で暫し歓談，お土産まで頂戴しました（写真3）。
ある中医病院では80歳以上の勤務医師ための特別室もあり，80歳の谷教授もなお現役で週数回小児病院に出勤中とのことでした。
以下，印象を略記します。
1． 漢方のルーツ中医葯研究，診療現況の印象
第1日は午後，上海中医薬大学附属中医薬博物館見学と夕食前レストランでの訪中団長日大 酒谷 薫教授の中医学講座受講。
第2日午前は易太極拳養生館で陳氏指導による太極拳を体験。午後，上海中医薬大学附属曙光医院参観と同腫瘤科副主任医師等による，「中医葯による悪性腫瘍予防治療の現状と研究の進展」，「同治療の基礎臨床の特異点と研究の考え方」の講演と討論（通訳付）に参加。蛙の分泌物のがん治療に関する研究報告もありました。討論会で筆者がすかさず，「日本では“蝦が蟇まの油”が切り傷に効くという話があるが，中医では?」と質問したところ，がんへの効用についての報告がすでにあるとのこと。論文があったら教えてくれと聞くと，論文を後でE-mailで送るということでした。
さらに，伝統中医科主任により「鍼灸抗癌」の主題で抗癌針刺法，抗癌草灸法などが提示されました。鍼灸科外来では一般の外来治療患者に混じって，私ども訪中団員の一人，東京某大学鍼灸学科の女子学生さんも自分のからだの各部の痛みに治療体験をと，早速，ハリとお灸の元祖の地で現代風の鍼灸治療を10数分間体験（写真4）。
第3日午前は江蘇省中医院での見学，セミナーへ。
午後，南京鼓楼医院へ。同病院はキリスト教関連の施療医院から始まった病院で，現在教育病院も兼ねた立派な南京大学医学院附属の総合病院の一つ。ここでのセミナーの最中に前記谷教授が訪ねてくれました。4,5年前，南京市児童医院での講演を谷教授に依頼され，航空券まで申し込み，通訳を小生の親友でもある大連の王 興国教授（小児外科）にお願いして準備していましたが，王教授のご都合が悪くなり急遽取り止めたいきさつがあり，20数年間は年賀状などの文通のみでしたので，今回の再会はまさに感動的でした。王教授が谷教授の恩師であることも，今回の南京訪問で初めて聞きました。
2. 日系医療機関の上海森茂診療所，蘇州森茂診療所のご紹介
上海診療所創立の13年前から勤務されている三木秀隆副理事長（薬剤師）は私ども一行と南京に同行され，また上海では同診療所の森ビル（現在HSBCタワー）3階に加え4階に増設予定の検診センター用の部屋なども案内していただきました。森ビルは現在上海一のノッポビルの通称“栓抜き”，陸家嘴站の近くにあり，上海方面に渡航される日本人の方々が万一の体調不良時に受診される診療所としては便利で推奨出来る施設としてご紹介致します。日本人医師や日本語を話せるスタッフのみで旅行者保険が使えます。予約診療可。
受付時間：月－金 午前 8：00-12：15
午後 1：00- 5：45
土・日 午前 8：00-12：15
休 診 日：中国の祭日
上海住所：中華人民共和国上海市浦東新区陸家嘴環路1000号匯豊大厦3楼
（HSBC Tower 3F）
郵便番号200120
Tel：（012）6841-0513
（012）6841-0385
Fax：（012）5066-3200
E-mail：info@senmaoclinic.jp
：kenshin@senmaoclinic.jp
蘇州住所：中華人民共和国蘇州市獅山路199号新地中心字楼8階
郵便番号215011
Tel：（0512）6818-8001
Fax：（0512）6818-8003
E-mail：szinfo@senmaoclinic.jp
今回の学術ツアーでお世話になりました日中両国の関係者の皆様方に感謝しますとともに，日中医学交流がますます盛んになり，進歩した中医葯，漢方等が人類の健康福祉にますます貢献することを期待し，皆さまのご健勝を祈念いたします。
第3回伝統医学ツアーは来年度広州方面の可能性もあるとのことで，筆者は同市の解放軍第1軍医大学前客員（座）教授時代に訪れた同市街地や周辺の発展ぶりが見られるのを期待いたしております。（2010.09.10）
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