天
霧島 木林
汗臭せち着替えをすいも汗がでっ
(汗くせち 着替えをすいも 汗がでっ)
(唱)水風呂で長す冷やすいこっじゃ
(唱)(みっぶろでさす ひやすいこっじゃ)
気温や湿度が高くなる夏は、 うっとおしい汗の季節です。クーラーが効いている室内以外では、 動くほどに汗をかき、 じっとしていても汗が滲み出てきます。
特に汗かきの人にとっては大変な夏で、 汗をシャワーで洗い流した後も、 その着替えの最中に汗が出てくるという、 汗との苦闘をさらりと詠まれています。
地
紫南支部 紫原ぢごろ
世のためい一汗かこち立候補
(世のためい ひとあせかこち 立候補)
(唱)初当選で期待や高まっ
(唱)(はっとうせんで きたやたかまっ)
参議院選挙の選挙熱は、 中ぐらいの盛り上がりだったような気がします。
選挙戦で汗を流した立候補者も、 結果は勝者と敗者とに分かれ、 その中で五十五人の新議員が誕生しました。
苦い汗をかくこともあるでしょうが、 初心の情熱を忘れずに、 国政の為に全力投球をしてほしいものです。
人
錦江支部 城山古狸庵
農作業の汗嫌ろた子供な都会い出っ
(さっの汗 きろたこどんな まちいでっ)
(唱)残念じゃいがそいも子ん道
(唱)(残念じゃいが そいも子んみっ)
農業で朝から晩まで汗を流して働く両親の姿を、 子供は小さい頃から見ていますが、 その一生懸命な働きの割には、 金銭面での豊かさは得られないことも感じています。尊い汗ではありますが、 そんな苦労をするよりはと、 子供たちは離れていく、 農業後継の厳しい現実を浮き彫りにしている切実な句です。
五客一席 川内つばめ
稽古ん汗試合が終わっ涙でなっ
(けこん汗 試合がおわっ なんでなっ)
(唱)精一杯戦こた勝者と敗者
(唱)(せっぺたたこた 勝者と敗者)
五客二席 伊敷支部 矢上 垂穗
汗臭かそいがまだまし加齢臭
(汗くさか そいがまだまし 加齢臭)
(唱)情けん無どん軍配や上がっ
(唱)(なさけんねどん ぐんばやあがっ)
五客三席 紫南支部 紫原ぢごろ
汗かっがパンツ一枚でビール飲ん
(汗かっが パンツいっちょで ビールのん)
(唱)冷えた後いなドッち出い汗
(唱)(ひえたあといな ドッちでい汗)
五客四席 錦江支部 城山古狸庵
切い方い冷や汗が出い新米医
(きいかたい 冷や汗が出い しんまいい)
(唱)稽古ん蛙とな勝手が違ごっ
(唱)(けこんびっとな 勝手がちごっ)
五客五席 清滝支部 鮫島爺児医
汗だっの笑顔が映ゆいインタビュー
(汗だっの 笑顔がはゆい インタビュー)
(唱)こぼるい汗も爽やけ見えっ
(唱)(こぼるい汗も さわやけみえっ)
秀 逸
清滝支部 鮫島爺児医
柔道と政治ん汗は似て異質じゃろ
(柔道と 政治ん汗は にてひじゃろ)
汗をけっ育てた牛が処置されっ
(汗をけっ 育てたべぶが 処置されっ)
汗をかっ元気が欲しか高齢者
(汗をかっ 元気がほしか といなもん)
霧島 木林
暑き季節少と動けば汗をけっ
(ぬききせっ ちっといごけば 汗をけっ)
凄ぜ汗かって体重は減いもせじ
(わっぜ汗 かってたいじゅは へいもせじ)
紫南支部 紫原ぢごろ
赤ひげは汗臭せ患者じぇ目を瞑っ
(赤ひげは 汗くせかんじぇ 目をつぶっ)
作句教室
ここに一冊の本がありますが、 それは渋柿会編薩摩郷句集「ひとっば」です。
この本には、 九十三名の代表作品一三九五句が収められていますが、 その中から健康や病気、 医療に関する作品を拾い上げてみました。
人はそれぞれ物の見方、 感じ方は違いますが、 一般の人がどのように見て、 感じているのかがよく分かると思いますし、 また薩摩郷句の表現のしかたについても学ぶ点があると思いますので紹介します。
作品その一
村ん医者点数いならん愚痴も聞っ
(村ん医者 てんすいならん ぐっもきっ)
有馬 純秋
見舞め行たや病人の方が元気きあっ
(みめいたや びょにんのほうが げんきあっ)
池端田の神
命ちゃまだ惜らし言て薬よ飲ん
(いのちゃまだ あったらしちゅて くすよのん)
石原ミエ子
効っ言えば雑草も木の葉も煎じっ飲っ
(きっちゅえば くさも木の葉も せじっぬっ)
井手上政暎
病床け寝込ん余計考げた後期医療
(とけねこん じんじかんげた 後期いりょ)
猪八重清香
健康すなっ入院代どま安しち法螺
(さかすなっ にゅういんでどま やしちぎら)
入来 創雲
癌じゃ無ち嬉し答えが出た検査
(癌じゃねち うれし答えが でた検査)
植村聴診器
異常無しち聞た途端婆は軽か足
(いじょなしち きたとたんばは かいか足)
大脇 保子
長寿国言どんベッドい久す寝せっ
(ちょうじゅこっ ちゅどんベッドい さすねせっ)
上薗 佳笑
見舞客きな元気な素振ゆ爺あ見せっ
(みめきゃきな 元気なそぶゆ じあみせっ)
上別府印句
長生っも心次第よち笑る爺婆
(ながいっも こころしでよち わるじばば)
仮屋 三唱
胸が無でざっぺらっ這た聴診器
(胸がねで ざっぺらっほた 聴診器)
楠八重渓流
治癒れよち萎えた兄貴ん五体を揉ん
(ゆなれよち なえた兄貴ん ごてをもん)
桑元 行水
薩摩郷句鑑賞 39
花筒も新け竹け替えた墓ん掃除
(はなたても にけたけ替えた 墓んそっ)
田代 彦熊
最近は田舎にも納骨堂が増えてきたし、 花筒も陶器製のものを使っているけれども、 昔は七夕には「墓こしたえ」(墓掃除)をして、 竹の花筒も新しいものに取り替えたものである。
木六、 竹八と言って、 旧八月ごろに切った竹がいちばん良いとされるので、 墓の花筒にする竹を切る時には、「竿竹」(物干し竿)も切ったものであった。
※三條風雲児著「薩摩狂句暦」より抜粋
薩 摩 郷 句 募 集
◎10 号
題 吟 「 欠伸(あくっ)」
締 切 平成22年9月6日(月) ◎11 号
題 吟 「 占ね(うらね)」
締 切 平成22年10月5日(火)
◇選 者 永徳 天真
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892-0846
鹿児島市加治屋町三番十号
鹿児島市医師会 『鹿児島市医報』 編集係
TEL 099-226-3737
FAX 099-225-6099
E-mail:ihou@city.kagoshima.med.or.jp
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