随筆・その他

リレー随筆

ガンバレ日本

西区・伊敷支部
(伊敷台内科)       山田誠一郎

 連日連夜,テレビ・新聞では,FIFAワールドカップサッカーの話題でもちきりである。ほんの2〜3ヶ月前まで我が岡田オールジャパンは,宿敵韓国(サッカーにおける),母国イングランド,アフリカ新興勢力コートジボワールに連戦連敗,辛口サッカー評論家セルジオ越後さんにいたっては,三連敗勝ち点0で予選敗退と大胆予想!しかし,現実は予想に反し,カメルーンに最後まで守り抜き1対0で勝ち,オランダには0対1で惜敗,決勝リーグ進出を賭けてデンマークと対戦し,フリーキックが冴え3対1で快勝!徐々に期待が高まり,試合のたびに気合が入り,深夜のテレビ中継にも拘らずアドレナリンが出すぎ,昼間の診療中,体にキレが出なかったのも事実であります(この随筆を書いている時期が,予選突破・決勝リーグ進出決定で1番盛り上がっている時なので悪しからず)。
 予選リーグを総じて観ると,サッカー強国と言われたフランス(監督と選手との内輪揉めという特殊要因もありますが?),イタリアが予選敗退し,ポルトガル,イングランドが序盤で苦しみ,個々の身体能力がずば抜けているアフリカ勢も結果を残せませんでした。しかし,ブラジル,アルゼンチンなどは順調に勝ち進んでいます。
 ここからは,私の独断と偏見で『今回の岡田ジャパンの快進撃』を解説させて頂こうと思います。(サッカー狂の先生方には大変申し訳ないのですが,しばしお許しを!)よく試合の前に相手チームの戦力分析でFIFA(国際サッカー連盟)ランキングなるものが話題に上ります。私はこのFIFAランキングこそ曲者と考えております。今年の最新ランキング(2010年5月時点)では,1位ブラジル,2位スペイン,3位ポルトガル,4位オランダ,5位イタリア,6位ドイツ,7位アルゼンチン,8位イングランド,9位フランス,10位クロアチア,・・・・19位カメルーン,・・・・36位デンマーク・・・・45位日本,47位韓国となっております。もともとFIFAランキングは,それぞれの国を代表するチームが対戦する国際Aマッチの過去4年間の勝敗に,試合の重要度(FIFAワールドカップ本大会が最高位),対戦国の強さ,その地域のサッカーレベルを勘案して決められるそうです。皆さんは,前述のランキング表を見て何か気づきませんか?やけにヨーロッパの国々が上位を占めているのです!最近のFIFAは,商業主義に走り,セリアA,リーガ・エスパニョーラ,プレミアリーグ(イタリア・スペイン・イギリス各国のトップリーグ)等のビッグクラブの意向を無視できず,また,ヨーロッパ各地の観客(ファン)にとっては,自分たちのリーグが最高峰であることが誇りとなることから,アジア・アフリカ諸国のランキングは下位にくる事が多いのです。今回,日本チームがいた予選Eグループは,4位のオランダ,19位のカメルーン,36位のデンマークが相手でしたので,一般的には45位の日本は予選敗退が濃厚と予測する向きは多かったのです。今回のワールドカップ予選を観ていると,FIFAランク10位以内は強国と認めるとしても,その他の出場国は横一線と考えたほうが理に適っていると思えるのです。それは,まるでマラソンの第一集団(ランク10位までの国々)に少し遅れて走る第2集団のように思えるのです。それ故『日本が勝ったんだ』と私は言いたい!(ワールドカップ後の日本のFIFAランキングは20番台後半を予想しているのですが?)くだらない話ばかりしてきましたが,いよいよ明日から決勝トーナメント,日本の快進撃を期待したいものです。
 最近,民主党では鳩山政権から菅 直人新政権に移行し,『強い経済』,『強い財政』,『強い社会保障』を提唱しております。しかし,ここ20年日本経済は成長するどころか収縮しているように思えます。そのため,菅総理は社会保障費の自然増(歳入の不足)を賄うため消費税増額の検討に着手しています。(もし医療業界に10%の消費税が加算されるようなことになれば経営に与える影響もかなり大きいではないか!)そもそも日本は加工貿易で世界に冠たる地位を築いてきた国です。ソニー・ホンダのような高品質な製品を輸出し外貨を得ることで成長してきた国です。私はその原点に立ち返り技術立国日本を目指してほしいのです。たとえば,リニアモーターカーです。去年JR東海が2025年までに東京―大阪間を70分での営業運転構想を発表しました。鹿児島では来年九州新幹線全線開通で消費拡大を期待しているように,世界の主要都市間ではリニアで結ぶ必要に迫られています。(主要都市間の物流量が飛躍的に増え,その物流を担う自動車・航空機からの二酸化炭素排出による環境破壊を抑えるためにも)奇しくもオバマ大統領は今年の一般教書演説で高速鉄道網の整備を挙げており,80億ドルを先ず投資すると述べています。ここに官民一体となり参入する必要があると思います。日本は40年前からリニアの開発にかかり,1996年には有人で時速500q到達,2003年には時速581qを出し,2009年には営業運転が可能なレベルにあると認定されているのです。現在,希望すれば山梨のリニア実験線(18.4q)に試乗できる段階に来ているのです。しかし,残念ながら世界初の営業運転は中国の上海リニアモーターカーで上海国際空港と龍陽路駅とを結ぶ30qを7分で結んでいます。その中国はリニアの基本技術を開発先進国のドイツから得て(ドイツではリニア技術を無駄に流出させたと批判が沸き起こっています),上海万博に合わせ世界にアピールしているのです。ここで,『ガンバレ日本』と言いたい。大阪府の橋下知事が伊丹空港を廃港にし,その代わり心斎橋と関西空港とをリニアで結ぶことを提案しておりますが,あながち荒唐無稽なことでは無いように思えます。その間約40qをpilot study(試験的な試み)として国が中心となり推し進めるべきだと思います。その結果,外貨を取り込んで国全体が潤うことにより,『強い社会保障』ひいては診療報酬が増額へ向かうことを期待しております。
 


次号は、内村川上内科の川上秀一先生のご執筆です。(編集委員会)




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