天
紫南支部 紫原ぢごろ
雑巾掛け魂しゅ磨けち仕込まれっ
(雑巾がけ たましゅみがけち しこまれっ)
(唱)何事じゃろと一生懸命
(唱)(ないごっじゃろと いっしょけんめい)
昔のことを思い出しますと、学校では美化のための掃除が付き物でした。その掃除に関して、恩師から「掃除には終りはなく、自分で見つけ出すもの」というような意味のことを教えられました。
撫でるだけのたかが雑巾掛けではなく、魂のこもったされど雑巾掛けの精神は、人生と相通じているような気がします。
地
上町支部 吉野なでしこ
また噴火雑巾の出番増えたこっ
(また噴火 雑巾の出番 増えたこっ)
(唱)のさん事じゃが仕様が無かろで
(唱)(のさんこっじゃが しよがなかろで)
桜島の噴火活動は記録更新づくめで活発化しており、その爆発の置き土産となる降灰にはうんざりさせられますが、蓋をする訳にもいきません。
風向きの影響で、夏場は鹿児島市内が降灰の的となり、隙間から入り込んだ火山灰で家の中も「ざらんざらん」となりますので、雑巾が大活躍となります。
人
錦江支部 城山古狸庵
雑巾き似た 汚れ手拭を 腰提げっ
(ざふきにた 汚れちょのげを こしさげっ)
(唱)長ご使われっ手拭も本望
(唱)(なごつこわれっ ちょのげもほんも)
一般的には使う程に色褪せたり、生地が傷んできたら、手拭いから雑巾へと転身となりますが、この使用限界の判断は人によって違うようです。
倹約家はその限界ぎりぎりの手拭いを未だに使っており、他人から見ると丸で雑巾です。他人に見られても恥ずかしくないよう汚れ手拭いへの見切りも必要です。
五客一席 錦江支部 城山古狸庵
手作いの雑巾で婆はボランティア
(てづくいの 雑巾でばばは ボランティア)
(唱)役き立っがなっ嬉しこっじゃっ
(唱)(やきたっがなっ うれしこっじゃっ)
五客二席 紫南支部 紫原ぢごろ
長廊下尻ゆ鉾立てっ雑巾掛がけ
(長廊下 しゆほこたてっ 雑巾がけ)
(唱)並るべば直き競争どんしっ
(唱)(なるべばいっき きょうそどんしっ)
五客三席 伊敷支部 矢上 垂穗
公約くば雑巾扱けん政権党
(こうやくば 雑巾あっけん せいけんと)
(唱)政治不信な相当ん高こなっ
(唱)(政治不信な じょじょんたこな)
五客四席 清滝支部 鮫島爺児医
ボロ着物ん袖は立派な雑巾きなっ
(ボロいしょん 袖は立派な ざふきなっ)
(唱)使ことが惜ねよな色と柄
(唱)(つことがたしねよな 色と柄)
五客五席 上町支部 吉野なでしこ
雑巾掛け膝が痛かち棒を使こっ
(雑巾がけ 膝がいたかち ぼをつこっ)
(唱)思もごっ拭けじ勝手が悪し
(唱)(おもごっふけじ 勝手がわるし)
秀 逸
清滝支部 鮫島爺児医
近頃は雑巾く使こえん娘が増えっ
(こんごろは ざふくつこえん こがふえっ)
臭せ雑巾塵箱けポイを祖母が叱っ
(くせ雑巾 ちいばけポイを ばばががっ)
古り雑巾母親ん手縫いの跡があっ
(ふり雑巾 かかん手縫いの 跡があっ)
紫南支部 紫原ぢごろ
雑巾掛けモップでさっさ楽なこっ
(雑巾がけ モップでさっさ だっなこっ)
雑巾もモップ言た方が早分かい
(ぞうきんも モップちゅたほが はやわかい)
錦江支部 城山古狸庵
転婆娘うんだも足で雑巾掛け
(いなばおご うんだも足で 雑巾がけ)
長ご使こた父ん浴衣が雑ざ巾なっ
(なごつこた ととん浴衣が ざふきなっ)
上町支部 吉野なでしこ
ミシン縫やよんごいなった新け雑巾
(ミシンぬや よんごいなった にけ雑巾)
伊敷支部 矢上 垂穗
尻ゆ上げっ雑巾くかくっも若か内っ
(しゆあげっ ざふくかくっも わっかうっ)
作句教室
今月号も含めて五回に渡り、「渋柿」の巻頭言を紹介してきましたが、薩摩郷句をどのように詠むべきかについて、少しでも参考にしていただければ幸いに存じます。
上達に近道はない
薩摩郷句に手を染めた以上、誰でも上手になりたい、秀れた句が詠めるようになりたいと思わない人はあるまい。よく「上達のコツを教えてほしい」とか、「どんな勉強をすれば上手になるか」と聞かれるけれども、こうすれば上手になれるというようなコツなどない。
結局、自分で努力すること以外に方法はあるまい。その努力というのは、句を作り続けることである。そして句会や大会に積極的に出て、自分の作品を爼上に載せることである。
「上達に近道はない」し、「上手になるコツもない」のであって、こつこつと努力を積み重ねることが大事であろうと思う。勿論、人にはそれぞれのペースがあるので、上達には遅速はあるわけだが、人と比較してのぼせたり、腐ったりするのは愚である。
薩摩郷句鑑賞 37
飲ん方てにゃ先祖代々遅刻きゃせじ
(のんかてにゃ 先祖代々 ちこきゃせじ)
伊堂寺天吹
普通の会合には薩摩時間でくるのに、宴会には定刻にきっかり現れる人への皮肉である。
しかも、「あそこの家は、父さんも、じいさんも、そんな人だったから、先祖代々そんな血筋だ」と、大へんオーバーな言い方で、皮肉を、噴き出したくなるようなおかしさにしている。今日は時の記念日、こんな汚名は返上返上。
薩摩狂句の笑いを、下品卑猥なものと考えている人々が、狂句人の中にさえいるようだが、この句のようなのがほんとの笑いであり、ユーモアである。
※三條風雲児著「薩摩狂句暦」より抜粋
薩 摩 郷 句 募 集
◎8 号
題 吟 「 汗(あせ)」
締 切 平成22年7月5日(月) ◎9 号
題 吟 「 団子(だご)」
締 切 平成22年8月5日(木)
◇選 者 永徳 天真
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892-0846
鹿児島市加治屋町三番十号
鹿児島市医師会 『鹿児島市医報』 編集係
TEL 099-226-3737
FAX 099-225-6099
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