=== 年頭のあいさつ ===

新 年 の ご 挨 拶
会  長

     鹿 島 友 義
 あけましておめでとうございます。ご家族、職員の皆様、おそろいで良い新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
 昨年も大変厳しい一年でした。規制改革を叫ぶ一派に引きずられた診療報酬削減が続き、病院も診療所も厳しい経営を強いられ、医療従事者は疲労困憊といった数年を過ごしております。医療崩壊ともいえる状態がやっと国民、マスコミにも理解されて、今春の診療報酬は久しぶりにプラス改定と期待を膨らませておりました。加えて、昨年度の流行語大賞にも選ばれた「政権交代」を掲げて登場した民主党が総選挙の際に掲げたマニフェストでは、地域医療崩壊を防ぐための診療報酬の増加が記載されていました。しかし、行政刷新会議ワーキング・グループによるいわゆる「事業仕分け」では財務省の筋書きのままに診療報酬もその対象となり、診療報酬の国庫負担額の見直し(削減)を行うという結果でした。
 昨年夏の衆議院選挙に際して、鹿児島市医師連盟が1区で自民党の候補者を推薦することに決定したときに、医師連盟を脱退された方がおられ心が痛みました。民主党の圧勝は予想されなかったわけではありませんが、医療制度、診療報酬が完全に政治的に決定されている中で、日本医師会が長い間政権与党の座にあった自民党に頼らざるを得なかった事情もご理解をいただきたいと思います。日本医師会代議員会では現在の日医執行部の責任を強く追求する意見もあり、同じ批判は鹿児島市の医師連盟にも当てはまります。今後どう対応すべきか会員の皆様のご意見を聞かねばなりませんが、医師会の医政活動が大きな方向転換を迫られることは間違いないと思います。選挙が医師会の組織力、求心力を低下させることがあっては、本末転倒といわざるを得ません。会員のための医政活動ですので、ご意見をお聞かせください。
 小児科を中心に昨年末からの新型インフルエンザの診療、予防接種等でご苦労の中で新年を迎えられた会員も多かろうとご推察申し上げます。初めてのこととはいえ、国の方針がいく度となく変更され、それに加えてワクチン不足も重なり、かなりの混乱が見られています。少ないとはいえ重症患者もあり、まだまだ警戒が必要です。医師会も会員のご協力を得て、行政と協力して対応していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ここからは昨年の新年のご挨拶にも申し上げたことと重なる鹿児島市医師会の喫緊の課題です。まずは新公益法人制度に関することです。現在のところ、鹿児島市医師会は公益法人を目指して準備を進めています。公益法人の認可の事務に当たる県の担当者の指導を受けつつ、医師会の事業の中で公益と認められるもの、認められないものを仕分けし、認められないものをどうしていくかを検討し、執行部の考えをまとめて会員の皆様にお示しし、最終的な決定を代議員会にお願いしなければなりません。会館の建て替えも待てません。昨年は会館建設検討委員会の検討状況の報告もいただきましたが、これも新公益法人制度と絡みます。どうしても一緒に検討して会員のご意見を聞かねばなりません。臨床検査センターは今年、経営改善計画の2年目に入ります。3年目には進捗状況の中間評価が可能になると思います。会員のために必要な施設として存続するためには会員の、特に大きな病院の検査センター利用が必須です。ご協力をお願いいたします。
 市民の安心、安全に欠かせない夜間急病センターも、特に小児科医の不足によって現在の診療時間帯の維持が困難になってきました。内科医の協力を増やしていただくか診療時間帯の短縮を検討する等の決断が迫られています。診療時間の短縮はその時間帯の急病患者の診療をどうするのか、市民の困惑、市内の医療施設の時間外患者の急増に結びつきます。鹿児島市からの委託事業ですので、契約期間内の勝手な変更はできません。小児科医会、公的病院の小児科医、鹿児島市と協議して実行可能な計画にしたいと思います。
 医師会病院は共同利用施設として多くの会員にご利用いただき、良質の医療を提供してきていると自負していますが、数年来の診療報酬削減のあおりを受けて、経営は次第に厳しくなってきています。昨年は田畑院長の就任、DPC(診断群分類別包括評価)の採用、院外処方箋の導入と経営改善に努力をしていただき、やや回復しつつはありますが、診療報酬のプラス改定がなければ、今年もかなりの苦戦が予想されます。一方で鹿児島でも医師不足が顕在化してきました。今までは給料は安くても医師会病院は豊富な症例があり、勉強になるということで、勉強中の若手医師がかろうじて大学から派遣されていましたが、大学も特に外科系入局者が激減しており、医局からの医師派遣が困難になってきています。若手医師の給与がかなり低く抑えられておりますが、生き残りをかけて優秀な若手医師の確保のために世間並みのアップが必要です。会員のための施設です。会員のご理解をいただきたいと思います。
 支部・区の役員、代議員会、各種委員会や夜間急病センター、産業保健センター等への出向、学校医、介護認定審査会、専門医会の役員等々、地域の医療・保健を守るための活動にもご協力いただき感謝しています。各施設の経営が困難になってきており大変ですが、まだご経験のない会員の方々も積極的なご協力をお願いいたします。
 新しい年が会員の皆さま、ご家族、従業員の皆さまにとって輝かしい年になることをお祈りいたします。




このサイトの文章、画像などを許可なく保存、転載する事を禁止します。
(C)Kagoshima City Medical Association 2010