天
清滝支部 鮫島爺児医
議を言うなそん一言で騒動いなっ
(議をゆうな そんひとこっで そどいなっ)
(唱)そん押し付けい納得かいかじ
(唱)(そんおしつけい なっとかいかじ)
方言の議とは、文句・屁理屈・口答えなどと解釈されていますので、一般的には議を言う方は目下で、それに対して議を言うなと言い返すのは目上という人間関係の構図があるようです。しかし、一方では意見や主張である議も、互いを理解する上では言うべきは言う、聞くべきは聞くことも大事なことかもしれません。
地
上町支部 吉野なでしこ
三っ子も赤子言葉で議を返っ
(みっっごも あかごことばで 議をかえっ)
(唱)驚いどこで覚えたたろか
(唱)(たまがいどこで おぼえたたろか)
オギャーと生まれた赤ん坊も乳児期を過ぎると、年々発育のスピードも加速し、言葉や知識を吸収しながら物心がついてくる幼児期です。それなりに知恵をつけてくると、注意をしても駄々をこねたりして自己主張をします。そして覚えた言葉で反論したりすると、驚きと同時にその成長を嬉しく思ったりするものです。
人
紫南支部 紫原ぢごろ
議を言たやそん次ぎゃ直き役が来っ
(議をゆたや そんつぎゃいっき やっがきっ)
(唱)あいた言わんなよかったち後悔
(唱)(あいたゆわんな よかったちくけ)
集団社会の中では大なり小なりの会があり、皆さんもそれぞれの会合に出席する機会も多いと思います。その会をより良い方向に運営していくための会合ですが、発言する人は少なく、そんな中でたまたま質問したり、建設的な意見を言ったら、骨がありそうだと見込まれてしまったようです。
五客一席 錦江支部 城山古狸庵
議を言たや拳骨ん返事が戻っきっ
(議をゆたや とっこんへしが もどっきっ)
(唱)問答無用の頑固親父
(唱)(もんどむようの いっこっおやっ)
五客二席 上町支部 吉野なでしこ
議が多えち上役からは睨られっ
(議がうえち うわやっからは ねぎられっ)
(唱)黙っちゃおれん性分じゃっで
(唱)(だまっちゃおれん しょうぶんじゃっで)
五客三席 大崎町 植村聴診器
働っが悪りち小遣い子供が文句
(はたらっが わりちこづけい こどんがぎ)
(唱)唖然なっやら情けんねこっ
(唱)(あけっなっやら なさけんねこっ)
五客四席 伊敷支部 谷山五郎猫
文句を言なち大人達し習ろた五十男
(ぎをゆなち おせんしなろた ごじゅおとこ)
(唱)目上を立てた時代は変わっ
(唱)(目上を立てた 時代はかわっ)
五客五席 清滝支部 鮫島爺児医
高け課税文句を言っみてん言だけ損
(たけ課税 ぎをゆっみてん ゆだけ損)
(唱)政治を変えち酔ろと吠えっ
(唱)(政治をかえち よくろとほえっ)
秀 逸
上町支部 吉野なでしこ
議を言なち先輩面で釘ぐさせっ
(議をゆなち せんぱいづらで くぐさせっ)
あんまいじゃ無理難題に議も出らじ
(あんまいじゃ 無理難題に 議もでらじ)
錦江支部 城山古狸庵
議も言うが成績も良か優等生
(議もゆうが せいせっもよか ゆうとせい)
マニフェスト議をば言たなあ引っ込めっ
(マニフェスト 議をばゆたなあ ひっこめっ)
大崎町 植村聴診器
議を言なち兄御が一言郷中教育
(議をゆなち あにょがひとこっ ごじゅきょいっ)
参観日洒落っ来んなち議を吐えっ
(参観日 しゃれっくんなち 議をかえっ)
紫南支部 紫原ぢごろ
頑固爺が議を言わんとか先か知れっ
(がんこじが 議をゆわんとか さかしれっ)
議を言なち先輩面が押さえ込っ
(議をゆなち せんぱいづらが おさえくっ)
清滝支部 鮫島爺児医
特価品欠点があってん文句は言えじ
(特価品 あらがあってん ぎはゆえじ)
国会じゃ議と議を言合っ法令を作成っ
(国会じゃ 議と議をゆおっ ほをつくっ)
伊敷支部 谷山五郎猫
若者達の議い泣かさるい五十男
(にせんしの 議い泣かさるい ごじゅおとこ)
伊敷支部 矢上 垂穗
じゃが出来い議を吹っ飛べっやっみれっ
(じゃがでくい 議をふっ飛べっ やっみれっ)
作句教室
南日本新聞社と渋柿会の主催の南日本薩摩狂句大会は、毎年春と秋に開催されていて、今年も一〇八回目の大会が十月二十五日に宝山ホールで行われました。
兼題は、「丁寧(てね)」「始終(はいと)」「夫婦(みと)」「息(いっ)」「安(や)し」「灰(へ)」「叱(が)っ」「道楽(どらっ)」の八題で、その入選句の中から着眼が個性的な作品を紹介してみたいと思います。
優し女房け文化財並み丁寧ねされっ
(やさしかけ ぶんかざいなみ てねされっ)
米元 年輪
始終逢てキッスも出来ん初心な青年
(はいとおて キッスもでけん うぶなにせ)
弓場 正己
パチンコい夫婦とめ負けっ飯と汁
(パチンコい みととめまけっ めしとしゅい)
堂園 三洋
息く止めっ抱っ付た相手あレントゲン
(いくとめっ だっちたえてあ レントゲン)
福冨 野人
再就職年す食ろた俺ゆ安す見ちょっ
(にどづとめ とすくろたおゆ やすみちょっ)
上籠 若菜
灰の向くば見てかい着った一張羅
(へのむくば みてかいきった いっちゃびら)
神薗 善弘
実績の無か平和賞を叱い世論
(じっせっの なかへいわしょを がいよろん)
石塚 律子
馬なあ去勢ゆさるそな道楽くしっ
(うんまなあ きょせゆさるそな どらくしっ)
入来院彦六
薩摩郷句鑑賞 31
雪の朝頬被い木戸こさっ
(ゆっの朝 ざんねんかぶい 木戸こさっ)
肥後 凡材
雪が降った朝は、取りあえず玄関から門あたりまでの雪をのけて、人の出入りがしやすいようにするものであるが、その情景を詠んだのがこの句。
おそらく門のあたりが、坂になっているのか、階段でもなっているのであろう。頬被りをして、ハアハア言いながら雪をかきのけているのだろう。まわりの雪景色まで目に浮かぶようである。
※三條風雲児著「薩摩狂句暦」より抜粋
薩 摩 郷 句 募 集
◎2 号
題 吟 「 刺身(さしん)」
締 切 平成22年1月5日(火) ◎3 号
題 吟 「 嬉し(うれし)」
締 切 平成22年2月5日(金)
◇選 者 永徳 天真
◇漢字のわからない時は、カナで書いて応募くだされば選者が適宜漢字をあててくださいます。
◇応募先 〒892-0846
鹿児島市加治屋町三番十号
鹿児島市医師会 『鹿児島市医報』 編集係
TEL 099-226-3737
FAX 099-225-6099
E-mail:t01-arimura@city.kagoshima.med.or.jp |
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